焼肉市場学~A5ランク・炭火焼肉・国産和牛だけでは、なぜ勝てないのか~②

焼肉市場学~A5ランク・炭火焼肉・国産和牛だけでは、なぜ勝てないのか~②

今回は焼肉市場分析をテーマにしたコラムを、5回のシリーズでお届けしています。

前回は伸び続ける焼肉市場の現状を見てきました。「焼肉・ステーキ・ハンバーグ等の専業店」の業態で約300億円の売上があり、今もまだ拡大し続けています。

とりわけ焼肉が好まれる理由は、どこにあるでしょうか。
それは焼肉に対する日本人の価値観と、独自の食事スタイルが関係しています。

一体、どういうことなのでしょうか。
今回は、日本の音楽シーンから考察を試みてみます。

というのも、ヒットソングや注目の楽曲には、現代社会の考え方や風潮が色濃く反映されるためです。焼肉に関連する楽曲を紹介することで、焼肉に対する日本人の価値観を炙りだしていきます。

その上で成立している、焼肉にしかない食事スタイルを明らかにしていきます。

焼肉を賛美してきたミュージシャンたち

焼肉を賛美してきたミュージシャンたち

まずは取り上げたいのは、日本の音楽シーンです。
焼肉に対する価値観を、音楽文化の中で確認することができます。

その価値観とは、焼肉への特別視です。
今までロックバンドやアイドル、アーティストは、焼肉を称える楽曲を発表してきました。

一例を挙げてみましょう。

■『ヤキニクタベイコ!』打首獄門同好会

■『人の金で焼肉食べたい』劇場版ゴキゲン帝国

■『焼き肉パーティー』SEX MACHINEGUNS

■『黒毛和牛上塩タン焼680円』大塚愛

古くは、桂雀三郎withまんぷくブラザーズによる『ヨーデル食べ放題』が、焼肉のキャンペーンソングを展開。JR西日本環状線「鶴橋駅」の発車メロディーとしても採用されています。鶴橋と言えば、大阪を代表する焼肉の街として定着しています。

どの楽曲にも共通するのは、焼肉を食べることが「贅沢体験につながる」、または「力が得られる・喜びがもたらされる」というメッセージです。

このような楽曲からもわかるように、”焼肉を食べたいという強い欲求”は特別視される傾向にあります。

一方で寿司や牛丼、お好み焼き、ラーメンといった焼肉以外の料理を称える楽曲は、あまり頭に浮かばないのではないでしょうか。実際にはほとんどありません。

なぜ焼肉だけが特別視されるのでしょうか。
それは焼肉独自の食事スタイルが関係しています。

焼肉だけノウハウ本がある

自分で調理できる!

近年では、焼肉を美味しく食べるためのノウハウ・知識について書かれた書籍が売れ筋となっています。

一例を挙げれば、以下の通りです。

■小池 克臣「肉バカ。 No Meat,No Life.を実践する男が語る和牛の至福 」、集英社

■田辺晋太郎「焼肉の教科書 最新版 (e-MOOK) 」、宝島社

■田辺晋太郎「焼肉のすべて」、宝島社

■藤枝 祐太 (監修)「焼肉美味手帖 (知ればもっとおいしい! 食通の常識) 」、世界文化社

それぞれの書籍には焼肉・精肉のプロによる具体的で、専門的な解説が紹介されています。
各部位にどんな特徴があって、どう焼くともっとも美味しく食べられるのか事細かに書かれています。

ここでのポイントは、ノウハウ本が注目されているということです。

飲食店が紹介されるガイドブックは焼肉店だけではなくイタリアンやフランス料理、ラーメンなど、どのジャンルでも出版されています。

しかしながら、ノウハウ本は焼肉店に限られます。
「お客様が自分で調理しなければならない」という独特なサービスを焼肉店が展開しているためです。

焼肉店がやるべきことは、メニューを提供するまで。
調理は、シェフや料理人が介在しなくてもかまいません。
客側は受け身ではなく、主体的で能動的な行動が求められるのです。

さいごに

ここまでの内容をまとめておきましょう。

“焼肉を食べたいという強い欲求”を、お客様が精肉を焼くことによって、自分で解消しなければならない独自の食文化。

これが焼肉というグルメジャンルの特徴です。

次のコラムでは、唯一無二のスタイルを確立した焼肉が、なぜ今の社会に求められているのか。どこに注目をして対策すればいいのかを解説していきます。

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