焼肉市場学~A5ランク・炭火焼肉・国産和牛だけでは、なぜ勝てないのか~③

焼肉市場学~A5ランク・炭火焼肉・国産和牛だけでは、なぜ勝てないのか~③

今回は焼肉市場分析をテーマにしたコラムを、5回のシリーズでお届けしています。

前回のコラムでは、日本の音楽シーンと食文化から、日本人の焼肉に対する価値観を見てきました。

お伝えしたことは2点です。
特別視、固有のスタイル
まず焼肉に対する特別視(「贅沢体験につながる」「力が得られる・喜びがもたらされる」)を日本人が持っていること。

そしてシェフ・料理人ではなく、食べる側の人間が調理するという固有のスタイルを確立している点です。

今回は、第3弾。なぜ焼肉が現代日本社会で必要とされているのか。なにに着目をすればいいのか、消費動向から解明していきます。

日本人の消費動向からみる焼肉

さて私見にはなりますが、焼肉店での飲食にはエンタテインメント性があると考えられます。
なぜなら焼肉に対する特別視は、テーマパークや旅行と同じような非日常性があるからです。

フレンチや割烹といった高級店でも、特別な食体験は可能です。非日常体験もできるでしょう。しかしながら料理や食材、お酒について専門的な知識に、高い経済力が求められます。

一方で手に届く範囲でできる、とっておきの食事が焼肉でしょう。

ここでエンタテインメント性に紐づけて話せば、「国内観光旅行」が好調です。
公益財団法人日本生産性本部余暇創研による『レジャー白書 2017』(1)で発表されています。
余暇市場
現在の余暇市場は、70兆9940億円。
この20年間で20兆円近く市場規模を低迷させてきました。

マーケットが縮小する中で、売り上げを拡大しているのが「国内観光旅行」です。
身近なレジャーを楽しむ消費者が増えているためだと、本白書では分析されています。

この見解に従えば、国内の旅行は手軽にできる非日常体験ではないでしょうか。
週末や連休を利用すれば、遠出・連泊も可能です。しかし海外旅行や長期的な旅行は決して簡単ではありません。

さらに旅行を満喫するためには、主体性が問われます。
積極的に消費者が旅行に関わることで、満足度の高い経験がもたらされるからです。

自ら計画・スケジュールを立てたり、調査や準備をしたりする過程を楽しむ方も少なくありません。

旅行業界の書籍においても売れ筋は、ハウツー本、ガイドブック、ナビ本です。まるで焼肉のノウハウ本が話題となっているように。

これらのことから「国内観光旅行」の特性は、焼肉市場のそれと類似していると言えます。

株式会社リクルートライフスタイルの「外食市場市場調査(2017年10月度)」(2)では、外食平均単価は、全業態で2,518円だったことがわかりました。「焼肉・ステーキ・ハンバーグ等の専業店」については3,343円と、全業態の平均を上回っています。

まさに、ちょっとした贅沢。
身近に楽しめる、食のエンタテインメントではないでしょうか。

そのためには、消費者の主体性が大いに問われています。

さいごに

焼肉店が注目すべきポイントは、このエンタテインメント性です。
主体的に楽しめるサービスを展開すること。これが今の焼肉店には求められています。

次回からは、今までの考察を踏まえながら焼肉市場を勝ち抜くポイントや考え方を、実例とともに紹介していきます。

【参考文献・サイト】
(1)レジャー白書 2017|公益財団法人 日本生産性本部

(2)外食市場市場調査(2017年10月度)|株式会社リクルートライフスタイル

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