なぜ、あのお店はリピーターを、お見送りによって獲得できるのか。~人気美容室からヒントを学んでみた~②

なぜ、あのお店はリピーターを、お見送りによって獲得できるのか。~人気美容室からヒントを学んでみた~②

今回は、飲食店においてお客様を送り出す重要性について、シリーズでコラムをお届けしています。

前編では、送り出すをする目的は、リピーターを獲得するためにすべきだと書きました。

さらに再訪問の実態ついて調査した結果でわかったのは、お声がけが効果的であること。

とくにコラムで着目したのは、お客様が帰られる際(または会計時)のお声がけです。では一体、どのようなお声がけをすればいいのでしょうか。

前回示唆したのように、他業界からヒントをもらうことにしましょう。

飲食業界と同じく接客術が重視されている美容業界に目をつけました。
実際に筆者が聞いた、美容室の事例を紹介します。

送り出しで、リピーター・新規顧客を獲得する美容院

東京都内にある美容室の話です。
激戦区でサロンを構えているにも関わらず、連日リピーターで予約が取れない人気店。

支持される理由の1つが、お見送りです。
お客様が帰られる際、スタッフが集まって来て話しかけるそうです。

一般的なお声がけであれば、『よくお似合いですね』とか『次回もお待ちしております』といった内容が考えられるのではないでしょうか。

しかしながら、こちらの美容院は違います。

『○○さん、今回のカラーお似合いですね。印象が軽やかになりましたよ。季節感のあるファッションに合わせやすいですね。これから買い物に行かれるんですって。ショッピングがますます楽しくなりますね。今日一日いい気分で!』

という具合です。

さて、ここでのポイントは何でしょうか。

褒めることでも、お世辞を言うことでもありません。取って付けたような誉め言葉はむしろマイナビイメージを与えます。

常連のお客様は、この美容院を再訪問する理由について、こう述べるそうです。

「スタッフと仲が良いから」

ポイントは、すなわち人間関係です。
スタッフとお客様とが、いかに良好な人間関係を構築出来ているか。

どちらかというと親友や兄弟・姉妹のような感覚が近いのかもしれません。
なぜ、このような信頼関係が必要なのでしょうか。

2つあります。

1つは、髪の毛という大切な身体の一部を他人にゆだねるためです。任せるなら、安心・信頼できる相手を選びたい、このような心理が働いています。

2つ目は、常連客にとって美容院は、自分が求められている居場所です。ただ髪の毛を切ったり、染めたりする場所ではありません。

スタッフとの会話によって、自分のことを理解してもらっている、受け入れてもらっている、特別視されていると感じられる場所なのです。

そこで帰り際の送り出しが功を奏します。お出迎え・施術中は、印象や記憶に残りにくいためです。

終わり良ければすべて良し!?心理学の「親近効果」とは

これを心理学では「親近効果」と呼びます。

アメリカの心理学者、N・H・アンダーソンが1976年に実験をして、以下のような提唱をしました。

「最後に示された特性が記憶(印象)に残りやすく、後の判断に大きな影響を与える」(1)

模擬裁判による実験では、最後の証言をした方に有利な判決がもたらされたそうです。

これを飲食店に置き換えると、とても面白いことが言えます。

例えば、どんなに美味しい料理や上質なサービスを提供しても、お客様の帰り際に不快感を与えてしまうと、悪い印象が残ってしまうということです。

一方でオーダーミスや料理を出すのが遅いといった不手際があったとしても、お見送りをする際、誠実に謝罪をすれば良い記憶として刻まれます。

ここで話を、さきほどの美容院に戻します。

家族や親友とするような会話を最後にすることで、もしかすると親友に「また会いたい」、家族がいる「家に帰りたい」という感情を生み出しているのかもしれません。

だからこそ常連客は、「スタッフと仲が良いから」という理由で再訪問をしてしまうのではないでしょうか。

さいごに

今回は帰り際のお声がけで、良い印象を残すことによって再訪問につなげる美容室の事例を紹介しました。

しかし得られるヒントは、これだけではありません。
話の内容について、まだまだ学べるポイントがあります。

次回、そこを紐解いていきながら、飲食店でどのように活用すればいいのかを解説します。

【参考文献・サイト】
(1)初頭効果と新近効果とは?最初と最後で印象が変わる心理学の使い方|ビジネスのためのWeb活用術

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