今日からでも試したい、お店の圧倒的なウリを簡単に作れてしまう意外な方法~お料理の基礎・出汁(だし)編~②

今日からでも試したい、お店の圧倒的なウリを簡単に作れてしまう意外な方法~お料理の基礎・出汁(だし)編~②

今回のコラムは、お客様に興味を持ってもらえるお店のウリがテーマ。
ありそうでなかった視点から、ウリを作れてしまう簡単な方法を探っています。

前回から注目をしているのが“出汁”です。
出汁をウリにすることで成功した事例を紹介しました。

「だし離れ」だと言われる現代だからこそ、出汁の魅力や美味しい味わい方を打ち出す必要性を訴えました。

では、具体的にどのような対策をすればいいのか。
今回はさらに掘り下げて、実例とともに検証していきます。

そもそも、なぜ出汁は必要なのか

そもそも、なぜ出汁は必要なのか
日本食において、料理の基本とされる伝統的な出汁。
そもそも出汁は、なんのために必要なのか、あらためて整理しておきます。

少し長くはなりますが、龍谷大学農学部の教授・伏木亨氏による出汁に関する解説を見ておきましょう。

うま味を持つ成分にはグルタミン酸のようなアミノ酸と、イノシン酸やグアニル酸のような核酸と呼ばれる2つのグループがあります。これらのうま味成分は、食料になる動物や植物に多く含まれており、これを私たちは好ましく味わっているのです。
うま味は舌の上にある、うま味受容体というセンサーを刺激します。重要なことは、グルタミン酸などのアミノ酸のうま味と、イノシン酸などの核酸のうま味が一緒になると、うま味が何倍にも強く感じられることです。これはうま味の相乗効果と呼ばれており、合わせだしの原理です。合わせだしでは、昆布にはグルタミン酸が、動物性のかつお節や煮干し、焼き節などにはイノシン酸が大量に含まれており、これらが出会うと著しく強いうま味が現れるのです。
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旨みを拡大させて、すべての食材を調和させてくれるのが出汁です。
飲食店において、ここから学べきポイントは2つあります。

1つは、出汁そのものを美味しくすること。
2つは、食材の旨みを際立たせる出汁を作ること。

この2つは、出汁に求められている役割であり、飲食店が守るべきルールです。

このルールに沿って仕事をしてくれる一般的な出汁は、以下の通りではないでしょうか。

・かつお
・昆布
・煮干し(いりこ・あご)
・焼きあご
・椎茸

これも世間で普及しており、上等な味わいがあります。
煮物やおでん、鍋をする際に本領を発揮してくれる伝統的な出汁です。

しかしながら、出汁で勝負をするには、少しインパクトに欠けていることは否めません。

獺祭出汁のように圧倒的なウリになる素材かと言えば、難しいところです。
そこで成功事例からヒントをもらうことにましょう。

出汁で成功をおさめた2つの実例

■『田そば』

まずは、東京・日本橋の小伝馬町にある立ち食いそば(https://tabelog.com/tokyo/A1302/A130204/13180804/)

この近隣は、立ち食いそば店の激戦区。

それにもかかわらず『田そば』は、繁盛店として客足を伸ばしています。2016年の10年から本格的に営業をスタートさせたにも関わらず、連日お客様で混みあっています。

評判の理由は、1つは妥協しない素材選び。
添加物・保存料・着色料・化学調味料は一切不使用。

お手頃価格で味わえる立ち食いそばにも関わらず、一級品の食材を選び抜いています。

一本釣りをした本枯節

とくに出汁は、鹿児島産近海で一本釣りをした本枯節(荒削り)を使用。文京区にあるかつお節問屋(http://ukaikatsuo.webcrow.jp/)から仕入れているそうです。

本枯節から上品な鰹の風味がよく出て、群を抜いた出汁の旨みを実現しました。
おかげで、蕎麦はもちろん天ぷらといった具材の美味しさもアップさせることに成功。

『田そば』から学べるポイントは、

王道の素材であっても、産地や製造方法にこだわれば差別化できるというところです。

■『京おでん だいすけ』(https://www.eparkgourmet.com/detail/EG00550941)

京都駅駅前のアパホテル1階で、2017年にオープンした『京おでん だいすけ』(https://www.eparkgourmet.com/detail/EG00550941)

祇園の老舗『和食 のんき亭』の店主が手がけた京おでんが味わえるお店です。こちらも連日、常連客から通りがかりの観光客で賑わう繫盛店。

出汁でお酒が飲めるおでん屋といったところでしょうか。

陸奥湾の焼き干し鰯、いしる醤油、干し椎茸、昆布、かつお
3時間以上かけて仕込む出汁に使っているのは、陸奥湾の焼き干し鰯、いしる醤油、干し椎茸、昆布、かつお。

珍しいのは能登で使われているという、いしる醬油。独特な風味を醸すレアな魚醬です。

そして、青森県の陸奥湾から焼き干し鰯。こちらは煮干しに比べて5倍もの旨みが出るそうです。

看板メニューは、出汁と喉ごしで味わえる「三陸とろとろワカメ」。そして出汁で作る〆の雑炊も大人気です。

このように『京おでん だいすけ』からは、珍しい素材を巧みに組み合わせることで唯一無二の出汁が完成することを教えられます。

さいごに

以上、出汁にこだわることで成功してきた実例を見てきました。
いかがでしょうか。

どちらの店舗も、出汁そのものが美味しいだけではなく、食材の旨みを際立たせる出汁の鉄則を貫いています。

これらをヒントにして次回は、貴店でも活用できる方法を探っていきます。

【参考文献・サイト】
(1)「出汁(だし)のおいしさの科学」(視点・論点)|解説実行委員会(NHK)

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