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外国人・留学生を採用したい飲食店が知るべき「特定技能」入門(後編)

外国人・留学生を採用したい飲食店が知るべき「特定技能」入門(後編)

2018年、訪日外国人は3,000万人を突破して、過去最高の記録となりました。飲食店ではインバウンド対策が早急に求められています。拡大する海外需要に対応するため、即戦力となるのが外国人・留学生人材です。

外国人材を受け入れるべく「特定技能」という在留資格が、人手不足が加速する外食業で2019年4月に設けられました。

前編・中編とシリーズにわたって「特定技能」の基本的な内容と、外食産業における活かし方を、外国人・留学生の採用を考えている飲食店関係者に、シリーズで紹介してきました。

■外国人・留学生を採用したい飲食店が知るべき「特定技能」入門(前編)
http://colum.shokujob.com/news/2019/04/5881/

■外国人・留学生を採用したい飲食店が知るべき「特定技能」入門(中編)
http://colum.shokujob.com/news/2019/04/5902/

今回は、インバウンド対策における「特定技能」の注意点と、成功するポイントを解説します。

「特定技能」の注意点

「外国人は、日本人よりも低賃金で雇用できるからメリットがありそうだ。」
「ハードで負担の多い仕事を外国人に任せて、どんどん働いてもらおう。」
「仕事だけの関わりで、身の回りの世話をしなくてもいいから楽そうだ。」
「お客さんの接待を外国人にしてもらったら喜ばれそうだ。」

このような考えを持っている飲食店は、注意が必要です。法律や規約違反になる可能性があります。

外国人を受け入れる特定技能所属機関(以下、受入企業)が、法務省と農林水産省によって、課される条件が2つあります。

法務省では、以下の基準⁽¹⁾が設けられています。

(1)外国人と締結する契約は,報酬額が日本人と同等以上であることなどを確保するため,所要の基準に適合することが必要
(2)適格性に関する基準 ・労働関係法令・社会保険関係法令の遵守 ・欠格事由に該当しないこと等 (3)支援体制に関する基準(特定技能1号外国人材の場合に限る) ・支援計画に基づき,適正な支援を行える能力・体制があること等

報酬だけでなく、外国人労働者に対する不当な扱いが問題になっています。賃金不払い・長時間の過酷な労働など、労働関係法令の違反をする企業が後を絶ちません。

海外の労働力は、日本にとって都合の良い存在ではなく、企業体質を改善させるきっかけとして活かされるべきではないでしょうか。

農林水産省⁽²⁾については、2点あります。

1つ目が、以下の通りです。

① 農林水産省、関係業界団体、登録支援機関その他の関係者で構成される「食品産業特定技能協議会(仮称)」(以下「協議会」という。)の構成員になること。
② 協議会に対し、必要な協力を行うこと。
③ 農林水産省又はその委託を受けた者が行う調査等に対し、必要な協力を行うこと。
④ 登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託するに当たっては、上記 ①~③の条件を全て満たす協議会の構成員となっており、かつ、農林水産省及び協議会 に対して必要な協力を行う登録支援機関に委託すること。

「特定技能」で外国人を受け入れるためには、協議会の構成員になり、外国人支援計画書を作成・実施する必要があります。

受入企業は、外国人を雇用するだけでなく、日常生活を含む全般的な活動を安定的・円滑に送れるようにサポートしなければなりません。

例えば、空港までの出迎え・見送り、住居の確保、生活相談などです。その計画を書面で作成する必要があります。

2つ目は、とくに重要な禁止事項です。

① 1号特定技能外国人に対して、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 (以下「風俗営業法」という。)第2条第4項に規定する「接待飲食等営業」を営む営 業所において就労を行わせないこと。
② 1号特定技能外国人に対して、風俗営業法第2条第3項に規定する「接待」を行わせ ないこと。

風俗営業で飲食店に関わることを風俗法⁽³⁾から抜粋します。

一 キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
二 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計つた営業所内の照度を十ルクス以下として営むもの(前号に該当する営業として営むものを除く。)
三 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル以下である客席を設けて営むもの

接待は固く禁じられていることを理解できれば大丈夫です。

法的な文章を並べましたが、筆者が伝えたいことを含めて、要点は3つです。

①給与をはじめ労働条件・環境で不当な扱いをしない。
②受入企業は、仕事だけではなく生活全般を支援する。
③接待業務には関わらない。

インバウンド対策で「特定技能」を活かすために

外国人・留学生を採用したい飲食店が知るべき「特定技能」入門(後編)

注意点を踏まえた上で、「特定技能」を成功させるためのポイントを説明します。

大阪市内のある創作居酒屋では、中国人アルバイトを採用することで、訪日中国人の満足度が上がったといいます。

そのお店の店主曰く、「中国人スタッフが、中国語で接客してくれるだけじゃなくて、おすすめの買い物スポットや観光名所など耳寄り情報を、中国人のお客さんに話してくれるんです。これが好評なんですよ。」

「特定技能」による外国人材の採用は、人手不足はもちろん、インバウンド対策にも活かせます。海外の集客に成功させながら、お店の魅了を向上させることにもつながります。

例えば、

・外国人に好まれる新メニュー開発
・海外で使用される調味料・食材の導入
・外国人に喜ばれる接客サービスの向上

などが挙げられます。

インバウンドの実情に目を向けてみましょう。

大阪を事例にすれば、大阪府を訪れた訪日外国人数は、2017年に1,000万人⁽⁴⁾を突破しました。5年前に比べると約5倍に拡大しています。

大阪観光局は「大阪都市魅力創造戦略」として目標に掲げた人数が1,300万人(2020年)。スマートフォンのGPS、SNSといった観光ビッグデータを駆使して、マーケティングに力を入れています。

新たな市場として、大阪では訪日外国人をターゲットにしたナイトカルチャーに注目が集まっており、その主役となるのが飲食店です。現地でしか食べられない名物料理は、訪日外国人の満足度を上げることでしょう。

しかし、海外の観光客は決して満たされているわけではありません。観光庁は、訪日外国人が旅行中に困ったことについて、アンケート調査⁽⁵⁾を実施しました。1位を記録した回答は、「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」(26.1%)。

料理がおいしくても言葉が通じないことに、訪日外国人は不満を抱いています。見方を変えれば、言語さえ対応できれば、海外からの顧客を満足させる可能性が高くなるということです。また他店が行っていない差別化になるでしょう。

わたしたちが運営する、飲食店に特化した求人サイト「食ジョブ」でも、外国人労働者を積極的に募集する飲食店が増えてきています。

■CAFE CHARBON
https://shokujob.com/offer/detail/305

■DELASOUL CHARBON
https://shokujob.com/offer/detail/301

■本格四川料理 中村屋
https://shokujob.com/offer/detail/138

■黒毛和牛ダイニング 様 ~YO-U~
https://shokujob.com/offer/detail/92

これから数年間で、さらに加速するインバウンド需要に対応するためには、海外の労働力を活かすほかありません。語学だけでなく、母国の顧客の心をつかむのも長けているでしょう。「特定技能」でフルタイム雇用をすることで、外国人スタッフを常駐させることで、サービスの質向上につながります。

法務省が、重要な方針⁽⁶⁾を示しています。

「店舗内調理等の機械化や作業動線の見直しによる省力化、食券販売機・セルフオーダーシステム・セルフレジ等の導入やキャッシュレス化によるサービスの省力化、その他店舗運営に係る各種業務のICT化等によって業務の省力化、省人化を進め、この効率化によって得られた余力人員、資金などを糧に新たな価値やサービスの創出(新しいメニューや業態の開発等)、付加価値向上(国産食材の積極的な使用、高付加価値食材の使用等)につながる取組が各企業の規模や業態に応じて行われている。」

ただ生産力や労働力を補うだけでなく、付加価値を上げるために「特定技能」の外国人労働者を活かすべきという方針です。さまざまな商品・サービス・アイデアを創出させることが、「特定技能」によってインバウンド対策を成功させるカギを握っているのではないでしょうか。

さいごに

外国人・留学生を採用したい飲食店が知るべき「特定技能」入門(後編)

インバウンド対策において「特定技能」の注意点と、成功するポイントを解説しました。今回の内容を、5点にまとめておきましょう。

①給与をはじめ労働条件・環境で不当な扱いをしない。
②受入企業は、仕事だけではなく生活全般を支援する。
③接待業務には関わらない。
④訪日外国人の不満は語学対応。外国人材の採用によって解決できる。
⑤「特定技能」では、外国人材を活かして、付加価値を創出すべき。

2019年4月から始まる「特定技能」。今後の動向を追いながら、外食業での活用を成功させていきましょう。

わたしたちは、関西に特化した飲食業界で働くための求人サイト「食ジョブ」(https://shokujob.com/)を運営しています。飲食で働くことに興味のある幅広い世代の方から高い評価をいただいています。掲載や採用に関して、お気軽にお問い合わせください。

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(*本文は2019年4月15日時点の情報です)

【参考文献・リンク】
⁽¹⁾法務省|新たな外国人材の受入れに関する在留資格「特定技能」の創設についてhttps://www.kantei.go.jp/jp/singi/gaikokujinzai/kaigi/dai2/siryou2.pdf
⁽²⁾農林水産省|外食業分野における新たな外国人材の受入れについて
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaisyoku/attach/pdf/gaikokujinzai-5.pdf
⁽³⁾電子政府の総合窓口|風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail/323AC0000000122_20180615_429AC0000000065/0?revIndex=4&lawId=323AC0000000122
⁽⁴⁾大阪府 大阪府観光客受入環境整備の推進に関する調査検討会議
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/33874/00294944/02shiryou1.pdf
⁽⁵⁾国土交通省 観光庁|訪日外国人旅行者の受入環境整備における国内の多言語対応に関するアンケート http://www.mlit.go.jp/common/001226100.pdf
⁽⁶⁾法務省|外食業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針
http://www.moj.go.jp/content/001278461.pdf

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