『メンバーズカードはいらない!リピーターを獲得するシンプルだけど意外な方法』(後編)【タイトル】

『メンバーズカードはいらない!リピーターを獲得するシンプルだけど意外な方法』(後編)

今回は、お店の強い味方である常連客を獲得する方法についてコラムをお届けしています。

前回の内容で紹介をしたのは「返報性の原理」。
施しを受ければ、お返しをしたくなるという人間心理の法則です。

事例に挙げたのは「くろしを」というマグロをウリにした酒場。すき焼きやスナック菓子、缶飲料など無料サービスを受けることで、リピートをしてもらう動機づけに成功することができました。

後編では、先行投資というリスクをとらずに常連客を獲得する方法を取り上げます。

常連客が「また来たってや」と新規客を誘う居酒屋とは

『メンバーズカードはいらない!リピーターを獲得するシンプルだけど意外な方法』(後編)
はじめに考えておきたいことがあります。
常連客には一体どんなニーズがあるのかという問題です。

調査・マーケティングプロデュースを専門にするセルウェル株式会社が発表した「20代以上の男女1,000人、個人飲食店のオーナー100人に聞く、「近所の飲食店利用実態調査」」⁽¹⁾を手がかりにしてみましょう。

お客様がお店にやってもらいたいこと1位は「お会計割引」(53.9%)でした。さらに「メニュー外の料理」(39.3%)が続きます。

ただ安くしたり特別なメニューを出したりすることが求められているわけではありません。ここを見誤ってしまうと、とりあえずメンバーズカードやクーポンを作って解決する道を選ぶことになります。

もちろん、これらの効果は期待できます。しかし、お店から大切に扱われているという気持ちにお客様がなれるか、という顧客心理の本質を押さえることが重要だと筆者は考えています。

それを証明するかのように、同調査では以下のようなことが明らかになっています。

近隣の飲食店を継続的に利用している常連客に、その理由を聞くとトップから「自宅から近い」(78.6%)、「美味しい」(67.4%)が続きました。

着目すべきは3位以下。「お店の人と親しい」 (62.0%)、「よく一緒に行く友人のお気に入り」(57.8%)、「他の常連客と親しい」(45.5%)と、店主・スタッフ・顧客との人間関係がリピートをする動機となっているのです。

飲食店が美味しいものを食べて飲む場所ではなく、会いたい人がいる・話したい人がいる場所になった時に、顧客はリピーターになるのではないでしょうか。

実際にこのような顧客心理に応えている居酒屋を実例で挙げてみましょう。
取材をさせていただいたのは大阪府枚方市にある居酒屋オーナーです。

名物の大将が切り盛りをするお店です。
お造りや煮物、だし巻きなど定番の居酒屋メニューが充実。

グルメサイトには掲載していませんが、連日のように常連客で賑わいを見せています。
最寄り駅からは徒歩6~7分と決して通いやすい距離ではありません。

でもリピーターが集まる理由があるとオーナーは言います。

「うちはお客さんが仲いいんですよ。はじめて来た人でも、隣にいる常連さんが絶対に話しかける。席が離れていても、わたしがちょっと話をふると、いつの間にかみんなで話が盛り上がるんです。」

実際に筆者が、客の1人として訪問させていただきました。
座ったのはカウンター席。1杯目のドリンクを飲んで、しばらくしてのことです。

隣席で飲食をしていたご夫婦が気さくに話しかけてくださいました。いつの間にかお店にいたお客様みなさんと会話が弾んでいました。

ワイワイがやがやというよりも、ハートウォーミングで大人の落ち着いた雰囲気。さらにお店が混んでくれば、電話対応を常連客がするなど、面白い一場面も。

帰るときには「また来たってや。」「遠いやろうけど、またおいでや。絶対やで(笑)」と大将からではなく、お客様みなさんからアピール。

これには筆者も感銘を受けました。自分が必要とされているし、また訪れたい気持ちにも強くなりました。

オーナーの人情味あふれるキャラクターが影響していることは間違いありません。
それ以上に工夫していることはあるのか探ってみました。

「ポイントカードとかメンバーズカード作る店って、よくあるでしょ。うちはやってなんですよ。カード作ってもなくすでしょ(笑)。あとクーポンとかね。作るのにお金かかりますし、もっとお客さんが喜ぶことせんとあきませんねん。うちはね、こんなことしてます。これ見てください」

と言いながら目の前にあった棚を開くと、そこには色とりどりのグラスが丁寧に並べられていました。

「3本以上ボトルを空けてくださったお客さんにオリジナルのグラスをプレゼントしているんです。これは全部、お客さん専用のグラス。常連さんはマイグラスで飲んでもらいますねん。グラス作ってしまったら、よそ行けないでしょ(笑)。」

自分だけのグラスがある店だから、リピートせざるをえなくなる。しかもマイグラスを持った常連客が集まり、気の合う仲間でお酒を飲みかわす、それがお店の一員であると認められている証にもなります。

お店にとっては先行投資をしなくても済みますし、リスクもありません。
ちなみに3本のボトルが空くまでに、きっちりと顧客の心をつかんでいます。

例えば、ついでや試しに作った漬物・酒肴や余分に残ってしまった日本酒・焼酎をサービスして、損失を出さずしてお得感を演出しているのです。

さいごに

『メンバーズカードはいらない!リピーターを獲得するシンプルだけど意外な方法』(後編)
居酒屋の事例を挙げながら、リピーターを獲得する方法について紹介してきました。

先行投資をしなくても、メンバーズカード・クーポンでコストをかけなくてもファンを味方にすることは可能です。

ぜひ貴店でも、今回の記事を手がかりにしてみてください。

【参考文献・サイト】
⁽¹⁾20代以上の男女1,000人、個人飲食店のオーナー100人に聞く、 「近所の飲食店利用実態調査」|セルウェル株式会社
https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M104667/201710277281/_prw_OR1fl_aKcJIwP8.pdf
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