コラム157『沙門・空海から学ぶ、飲食店経営3つのコツとは』②【タイトル】

沙門・空海から学ぶ、飲食店経営3つのコツとは②

日中共同の超大作映画『空海 ―KU-KAI― 美しき王妃の謎』が話題になっていますが、その主人公である僧侶・空海にちなんだコラムをお届けしています。

前回は、空海の言葉や考え方が、飲食店経営にも活かせることを簡単に紹介しました。今回からは彼が残した文献より、入門として学べる文章を3つ紹介していきます。

アイデアが出ない時は休む!

<原文>

こころぶんを作らんと欲せば、きょうに乗じて便すなわち作れ。はんに似れば即ち止めて、しんましむる無かれ。常にくの如く之をめぐらさば、即ち興、休歇きゅうけつすること無く、神終しんついに疲れず。」

<現代訳>

創作意欲が湧けば、その勢いでつくること。思うようにアイデアが出ない時にはすぐにやめて、心が疲れないようにしましょう。いつもこのように心を働かせていれば、アイデア力が枯渇してしまうことはなく、精神が疲れてしまうこともないでしょう。

<事例①>

以前、京都市内で鉄板串焼き屋を営む店主にインタビューをしたことがあります。季節ごとにかわる創作串メニューについて、どのように発案をしているのかコツを伺いました。

「ロードバイクやわ。ロードバイク持ってるねんけど、それで走るねん。京都だけじゃなくて、しまなみ海道は知ったり、大阪とかもロードバイクで行くよ。つるむの嫌いやから、一人でね。気楽でいいよ。その時間は好きやし、大事にしてる。気持ちえぇねん、無心で走れるし最高やわ。料理とか店のことは考えてないよ。そしたら仕事中に思い浮かぶねん。パッといいアイデア出てくるねん。出てきたら試作とか仕入れも一気に済ませる。ロードバイクの時間なかったり、誰かといつもおらなあかんかったら、しんどなって考えが鈍るわ。」
ロードバイクの時間

店主が行っていることはシンプルに言えば、オンオフの切り替えです。しかしながら、ポイントは意識的にやること。

より正確には、アイデアを出そうと躍起になることではなく、自分を疲れさせないことにフォーカスすることが重要です。

少しテーマは変わりますが、最新の脳科学で脳を鍛える、驚きの方法(1)が明かされました。

ハーバード・メディカル・スクールで教鞭を執る「脳の専門家」スリニ・ピレイ博士によると、集中力だけでなく非集中力を高めることです。

集中力のみではマイナスとなり、非集中力のスイッチを入れることで「前頭前皮質の活動を取り戻し、思考をフル回転させ、疲労を抑制する」働きが、神経学的にあるとのこと。

もし新商品や集客、人材育成について良いアイデアが出てこない場合、思考力や努力が足りないのではなく、リラックスが足りていないのかもしれません。

<事例②>

もう一つの事例を見ておきましょう。

筆者の知人で創作和食店を経営するオーナーは、自分が第一優先にしたいことに時間を費やしています。

それは子供(満1歳)との時間。

「まだ子供が育つまでは、子供との時間に全力を注ぎたいと考えています。そこで、どうすれば理想的な子育てができるのか、必要な時間を設定してから逆算をして、営業時間や定休日を決めました。営業時間は18時から22時30分。まわりのお店は23時とか24時が多いですけどね。定休日は月曜日です。月曜日は、妻が外出できるように終日空けるようにしました。子育てって疲れてしまいそうですが、むしろ安らぎますね。おかげで、いい仕事もできるようになりました。売り上げもアップしたんですよ。」

どうすれば早く仕事を切り上げられるか、家族を養うためにより安定した売上を生み出せるか、ということも意識をしたそうです。
子供との時間

さいごに

空海の言葉を紐解くために、2つの事例を紹介してきました。

今の仕事ぶりを見て、自分を疲れさすような働き方、時間の使い方をしていないでしょうか。ただし安らぎを求め過ぎて、仕事もさぼってしまうのは論外です。

なにをしている時が調子よく仕事を続けられるか、いい思考ができているか、一度考えてみてください。

スポーツ観戦や読書、音楽鑑賞、アウトドアといった趣味。お風呂や犬の散歩といった日課。好きなものがなくても、ただ意図的にオフモードにする時間を設定するだけでも構わないのです。

意図的にいい状態を保ちづつける工夫をしてみてはいかがでしょうか。
次回移行のコラムでは残りの2つを紹介します。

【参考文献・サイト】
(1)これで一生衰えない!最新理論でわかった「脳の鍛え方」|DIAMOND online

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