【実録】 大阪の“下町ロケット”⁉父の「情けない」という思いが生んだ『次世代農業』 -前編-【サムネ】

父の「情けない」という思いが生んだ『次世代農業』 前編

今回のコラムのテーマは「農業」です。
普段私たちは消費者として食材を買い、食べている側の人間。

今回はその逆、生産者の目線に立って
私たちのくらしを支える飲食業界を考察していきたいと思います。

生産者の思いが伝わる名作:下町ロケット

【実録】-大阪の“下町ロケット”⁉父の「情けない」という思いが生んだ『次世代農業』-前編-
出典:「日曜劇場『下町ロケット』|TBSテレビ」より

というのも、筆者がこのコラムを書こうと思ったのは『下町ロケット』というドラマをみたことがきっかけでした。

『下町ロケット』は『半沢直樹』などの名作を著した池井戸潤の小説の代表作。
2018年12月現在ではTBSによるテレビドラマ化も。出演者には阿部寛、土屋太鳳、竹内涼真、イモトアヤコなど多数の有名芸能人が抜擢され、豪華キャストで話題の人気作です。ファンの方も多いのではないでしょうか?

『下町ロケット』の作中では、現代における農業経営の厳しさと未来の農業存続に対し危惧の念が濃く描かれています。また、普段私たちが普段知らないような生産者の思いも描かれていて、感慨深い内容となっているのが特長です。(あらすじはこちら

そんな『下町ロケット』のストーリーを思い起こさせる企業が大阪にあるということを知った筆者は、実際に代表のもとへ取材に行きお話を聞くことに成功しました。

株式会社アルンとは?

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ご紹介するのは、大阪府大東市で葉物野菜を中心とした農業経営を行う
株式会社アルンという企業です。本社のある大東市ではハウス農場を行っていますが、大阪市内でも気軽に耕作が出来るよう、都会での農業の普及にも努めています。

この会社の面白いところは、

1.従業員が20代の若者~60代以上の退職経験者までと幅広い

2.従業員の誰しもが農業のプロフェッショナルである

3.他とは少し変わった農法で食物を栽培している

といった特徴がある点です。特に「3.他とは少し変わった農法で食物を栽培している」に関しては、年々衰退している第一産業に、新たな革命をもたらすであろう「近未来的な農法」が会社を代表するキーになっていることが分かりました。

農業のプロが選ぶ「水耕栽培」

ではその「近未来的な農業」とはいったいどんな農法なのでしょうか。

代表のH氏に直接取材をしたところ、株式会社アルンでは「水耕栽培」という農法で野菜を耕作しているということを教えて頂きました。

「水耕栽培」(ハイドロカルチャー)とは、その名の通り、土を使わず水を用いた農法です。これは皆さんもよくご存知の観葉植物(ヒヤシンスやクロッカス)と同じ原理で、植物の根の部分を水と液体の肥料(溶液)に浸すことで野菜を成長させる方法です。

実際に水耕栽培で育てられている葉物野菜を見せて頂くと、このようにロメインレタスやグリーンリーフ、ほうれん草や水菜など様々な種類の葉物野菜が立派に育っていることが分かりました。

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☝土は一切使っていない新・農業!

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☝信じられないほどすくすく育っている!

代表のH氏にこの農法について尋ねると

「うちでは農作に土は一切使っていません。育てているのは、水と酢で作った安心安全な肥料だけなんです。土が要らないから、手は汚れないし、高い農機を買わなくても良い。
たった一枚のプラスチックトレイと水があれば家の中みたいな屋内でも農業が出来る。面白いでしょう?」

と、水耕栽培が、これまでの固定概念を覆す革新的で新しい農業のスタイルであり、今後の農業界を一助することができるだろうと教えてくださいました。

何が良いの?水耕栽培をするメリット3つ

しかし、世の中には数えきれないほどたくさんの農法が存在します。

その中でも株式会社アルンの代表はなぜ水耕栽培という
選択肢にたどり着いたのでしょうか?

その理由は、水耕栽培をする3つのメリットが
今後の農業界を支える要になると考えたからでした。

1.お金がかからない

1つめはお金がかからないことです。
皆さんは農業を始めるためには、いくら費用がかかるかご存知でしょうか?
農業経営は技術の習得、資金・農地・機材・施設・住宅の確保が必要とされており、莫大な資金を要します。

例えば、稲作であればコンバインやトラクタ-、田植え機、育苗ハウス、倉庫などの設備に平均561.8万、肥料や、種苗、燃料費、出荷手数料含む農業を一年間営むにあたってかかるお金が159.7万、農地を差し引いても初年度で721.6万はかかると言われています。(平成22年全国新規就農相談センター調べ)

ここまでお金をかけて始める農業ですが、実際に市場で販売されるのは白菜1つ200円、キャベツ1玉100円、じゃがいも1袋80円といった低価格。しかも市場やスーパーに納品する際は、生産者が自分で値段を決められないことも多々あります。この農業社会の行先が不安で踏み出せないという方も多くいます。

しかし水耕栽培だと、農地がなくてもビルに数畳のスペースがあれば、農機がなくてもたった1000円のプラスチックトレイと水があればいつでも簡単に農業を始められることから、比較的低価格で農業ができるという、コスト面でのメリットが挙げられます。

2.誰でもできる

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2つめは、誰でも簡単に始められるということです。

その重労働から、農業はこれまで「男性社会の1つ」として見なされていました。
しかし土や農具を使う重労働を特別な機械を使わず、水と肥料を使用する水耕栽培は、力のない女性やお年寄りでも耕作できるため、老若男女誰でも簡単に始められるスタイルの農法です。

もちろん場所を問わないため家事をしながら在宅農業も可能ですし、
体に自信がない方でも腰を曲げることなく農作できるので挑戦できる人の幅が広がります。
また、作業が極めてシンプルで継続的かつマイペースに取り組めるため、障がい者にとっても理想的な仕事のひとつになり得ると代表のH氏は語ります。ゆえに株式会社アルンでは年齢・性別・ハンデを問わない多様な人材の雇用が可能であることも同時に分かり、実際に、社会福祉や女性参画社会の一助になる利点もあります。

3.安定した供給ができる(次回のコラムにて)

3つめは、安定した供給ができることです。

この安定した供給は、代表が農業事業を始めるきっかけにも関連します。
単なる野菜作りではなく、情けから喜びまで…私たちが普段知り得ない様な生産者の思いが込められていたのです。

次回コラム【実録】大阪の“下町ロケット”ストーリー⁉父の「情けない」という思いが生んだ『次世代農業』-後編-では水耕栽培の最後のメリットと農業人の“想い”をご紹介。

本家に負けない大阪の下町ロケットストーリーを。ここでしか読めない農家のリアルな想いと願いをお届けします!

■全国新規就農相談センター公式HP
https://www.nca.or.jp/Be-farmer/management_sim/
■べじたべる鍋 旬菜 
https://www.hotpepper.jp/strJ001161800/
■「日曜劇場『下町ロケット』|TBSテレビ」
https://www.tbs.co.jp/shitamachi_rocket/

【下町ロケット あらすじ】

宇宙科学開発機構の研究員の佃航平(阿部寛出演)が現在は下町の工場「佃製作所」で経営者として第二の人生を送るところからスタートします。しかし、事業の危機的状況や、性能よりもコスト重視という大口取引先の考えに会社の存在意義が揺らぎ始めてしまいます。

んな時、佃製作所で働いていた経理部長の父親が倒れたという知らせを受けます。経理部長の実家は三百年続く農家。この出来事をきっかに佃は宇宙だけでなく大地をも支える技術の開発を行います。

業の現実は重労働でお金も手間もかかると過酷な世界。そんな現実を目の当たりにし “危機的状況を救いたい”と「無人農業ロボット」の開発を提案するなど『下町ロケット』のストーリーでは、農家の方々を支え次世代へとつなぐための機械開発を行い奮闘するお話です。

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