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大阪・黒門市場に、京都・錦市場、神戸・南京町。観光客が増える名所で、飲食店が失敗しがちな集客のワナ③

今回は観光スポット界隈の飲食店が、どうすれば継続的な集客を成功させることができるのか、その方法をシリーズでお届けしています。

とくに主張したいことは、地域のブランド力や独自のコンテンツをうちだすことで、国内・海外の旅行客と地元の常連客どちらもが楽しめるのではないか、という第三の道です。

前回のコラムでは、大阪の食文化に根差した考え方を中心に紹介しました。着目をしたのは、開店時間前にお客様を入れたり、閉店時間を明記せずにゆっくりと食事をしてもらったり、お互いのメリットになる、独自のサービス精神です。

今回は相反するタイプの顧客ニーズを炙りだしながら、どちらもが満足しうる第三の道は、どこにあるのか探っていきます。

人柄を重視する常連客と、非日常の料理を食べたい観光客

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地元客・常連客と観光客・旅行客は、それぞれ飲食店になにを求めているでしょうか。

まず前者について、マーケティングセルウェル株式会社が行った「近所の飲食店利用実態調査」(1)を参考に特徴を見ていきましょう。

常連になりたいポイントと、常連客がお店に求めているものがなにか、興味深い調査報告結果が出ています。

■常連になりたいポイント:「店主の人柄」(60.8%)、「スタッフの人柄」(54.4%)が上位。

■お客さまが常連店にやってもらいたいことは、「お会計割引」(53.9%)、「メニュー外の料理」(39.3%)の順。

この2点から読み取れることは、常連客は人柄でお店を選びたい、かつ日々通うからこそお得に食事をして、通常にはない料理を味わいたいというニーズです。

どれだけ美味しい料理を提供しても、常連になるまでの訴求ポイントにはなりにくいことがわかっています。

一方、旅行客・観光客について、株式会社ジェイティービー「食と旅行に関する調査」(2)をもとに紐解いていきましょう。

旅行先で顧客がどのような食事を求めているのか、結果報告は以下の通りです。

■旅行は「豪華な食事」をするための絶好の機会で、41.4%が旅行で豪華な食事をしている。

■旅先でこだわりを持って食べるものは、「地元グルメなど名物料理(60.0%)」、「訪問する土地の郷土料理(54.5%)」。

豪華な料理、地元の名物料理・郷土料理といった、日常では食べれない料理を旅行者は求めていることがわかります。

日常的な店主・スタッフとのつながりを求める地元客・常連客と、日常にはない料理を求める観光客・旅行客。

今回のコラムでは第三の道、どちらもという路線を支持しています。地域・お店にしかないコンテンツを活かしながら、相反する2つのニーズに応える方法はあるのでしょうか。

大阪・堺市にあるカフェ&レジデンスの事例

インタビューをもとにした具体的な方法は次回のコラムでお届けますが、参考にしたい事例を1つ紹介しておきます。

大阪の堺市にあるカフェ「SAKAINOMA 熊」(http://sakainoma.jp/)。この店は、町家をリノベーションさせた宿泊施設一体型のカフェ&レジデンスで、堺の魅力がふんだんに味わえるのが特徴です。
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地元の名物カレーである「堺伽俚」や、老舗「八百源」の肉桂餅(にっきもち)を店内で食べられます。ほかにも堺市や泉州地域の食材を使った料理、スイーツを提供。

堺市にはじめて訪れた方が、地元のグルメを堪能できる環境が整えられています。またホテルでは出来ない古民家ならではの宿泊体験も可能です。

かつ常連客を集めるために、定期的にイベントを開催しています。

例えば、夏の風物詩である住吉祭りでは近隣店舗とともに「浴衣×夜宴」(http://sakainoma.jp/event/yukatayaen/)というイベントを開催。

地元住民たちが浴衣を着て、お祭りや食事を楽しめる企画を行っています。

また堺市にゆかりのある鍛冶職人や編集者、クリエイターとのトークイベントなど、ほかでは見られないイベントを多数仕掛けている「SAKAINOMA 熊」。今や地元の若者やクリエイターが集まるスポットとなりつつあります。

お店を切り盛りしているのが、この界隈の地域活性化に携わってきた女性店主。もともと近くで惣菜屋を経営しながら、街づくりイベントを主催してきました。その人脈や経験、ノウハウを活かして地元の常連客と、旅行客・観光客の関心を惹く活動をしています。

さいごに

「SAKAINOMA 熊」は、常連客と観光客どちらものニーズにも応えています。店主のバイタリティーのある人柄に集まってくる顧客も少なくありません。

今回の考察をベースにしつつ、次のコラムでは筆者のインタビューをもとにした事例を取り上げていきます。

【参考文献・サイト】
(1)20代以上の男女1,000人、個人飲食店のオーナー100人に聞く「近所の飲食店利用実態調査」|PR Wire

(2)「食と旅に関する調査」(株式会社ジェイティービー)発表のお知らせ|JTB総合研究所

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