Facebookの創業者、マーク・ザッカーバーグがハーバード大学の卒業式でスピーチした内容を手がかりにして、飲食業界でも活かせる経営論をシリーズでひも解いています。
前回は、ミレニアル世代(1980年代~2000年代前後に生まれた新しい価値観を持つ世代)における人生の目的について触れました。
マーク・ザッカーバーグは、自分だけではく「だれもが目的意識を持つ世界を創造することが、ミレニアル世代の挑戦である」と発言しています。
飲食店経営で言えば、経営者だけではなく,まわりのスタッフや関係者も、何のために働くのか目的を持つ環境をつくることが役目だということです。
一体、どのように実現すればいいのか。
今回は具体的な方法と、実際に一足先に実践している飲食店を紹介します。
これからの時代を生き抜く3つの方法とは

人生の目的を実現する方法を、彼は3つ取り上げています。
①大きな意味のあるプロジェクトに、一緒に取りかかること。
②誰もが目的を追求する自由を持てるように平等を再定義すること。
③世界中にコミュニティを築くこと。
抽象的な表現ではありますが、具体的なエピソードを踏まえて解説されています。
すべてを説明すると長くなるので、要点だけをまとめてみました。
①大きな意味のあるプロジェクトに、一緒に取りかかること。
→自分たちの世代の課題に取り組む。例えば環境(ソーラーパネルの製造・設置)や健康(ヘルスデータ・遺伝子データを収集して予防法を見つける)、政治(オンライン投票の実施)などの問題を解決することで、よりよい社会へと向かう。
②誰もが目的を追求する自由を持てるように平等を再定義すること。
→「失敗する自由」を誰もが持てるようにする。例えばベーシックインカム制度によって、新しい挑戦ができるような環境を整える。またキャリアの中で何度も会社を変えていく時代だからこそ、1つの会社に紐づけられない育児・ヘルスケアの仕組みが必要。
*ちなみに、ベーシックインカム制度とは『政府が国民全員に対し、生活に最低限必要と定められた現金を無条件で定期的に支給する仕組みのこと。失業保険・年金・生活保護など従来の社会保障制度が一定の受給資格を設けているのに対し、なんら条件を問われず支給されるもので、既存の社会保障制度が大幅に縮小されるか全廃されることを前提とする。』(1)
③世界中にコミュニティを築くこと。
→ローカルなコミュニティをつくる。スポーツチームやアカペラグループ(アメリカの学校やコミュニティではよくあるアクティビティの1つ。他社と協力する力や、人生の楽しみが育まれる)に所属することによって、人生の意味を持てたり、自分の可能性を広げたりすることができる。
どれも実現できるのなら、大いに人生を充実させる方法です。
しかし、壮大な話のように聞こえます。
飲食業界でも身近なことで関われることはあるのでしょうか。
筆者なりに考えてみました。
具体的には、以下の通りです。
①大きな意味のあるプロジェクトに、一緒に取りかかること。
→簡単に言うと「スタッフ・お客様に役立つことをする!」
→例えば労働者の高い離職率や過重労働、人員不足問題、お客様が抱える健康問題を解決するプロジェクトを立ち上げる。
②誰もが目的を追求する自由を持てるように平等を再定義すること。
→簡単に言うと「失敗をしても再挑戦できるようにする!」
→例えば開業・廃業が盛んな業界であり転職率・離職率も高いため、再就職の窓口を広げたり再チャレンジできるような労働環境をつくる。
③世界中にコミュニティを築くこと。
→簡単に言うと「人が集まれる場所をつくる!」
→例えばスタッフ同士やお客様とのコミュニティ、または近隣店舗や地域社会(商店街や地域団体)とのつながりを持つ。
さいごに

お店を経営するだけでも労力のかかることです。
しかし経営者としての目的だけではなく、まわりの人たちにも目的を持ってもらうことは、人生だけではなくお店の価値を高めることにつながります。
むしろ、これからの時代を歩むミレニアル世代の経営者にとっては果たすべきミッションなのでしょう。
次回はシリーズの最後です。
3つの方法を実現している事例を紹介します。
【参考文献・サイト】
(1)ベーシックインカム 知恵蔵miniの開設|コトバンク