【実録】 大阪の“下町ロケット”⁉父の「情けない」という思いが生んだ『次世代農業』 -前編-_05

【実録】 大阪の”下町ロケット”⁉父の「情けない」という思いが生んだ『次世代農業』-後編-

生産者の目線で飲食業界を考えるコラム、第二弾!
前回のコラム【実録】 大阪の“下町ロケット”⁉父の「情けない」という思いが生んだ『次世代農業』 -前編-では、

TBSの日曜劇場『下町ロケット』に次ぐ農業ストーリーが
大阪においても、株式会社アルンという企業のもとに実現するということをお話しました。

そこで筆者が直接代表のもとへ取材へ行き、次世代の飲食業界を一助する『水耕栽培』について詳しくインタビューし、同企業を代表する農法『水耕栽培』のメリットが

1.お金がかからない

2.誰でもできる

3.安定した供給ができる

という3つの利点があることをお伝えしました。
前回のコラムでは1.2について詳しくご紹介しましたが今回は3つめのメリットについてもご紹介。代表がなぜ農業を始めようと思ったのか、現役農業人のリアルな声もお届けしていきます。

今後の飲食業界を支える水耕栽培の重要メリット

3.安定した供給ができる

土を使わず、水を使って農作する水耕栽培の3つめのメリットは、
安定した供給ができることです。

近年度重なる異常気象に左右されがちな農作物ですが、
中でも葉物野菜は気象に大きく影響を受けると言われています。
農家である筆者の祖父も、長い年月と手間を掛けて大切に育ててきた作物が
ゲリラ豪雨や台風でダメになってしまうこともざらにあると嘆いています。

しかし、水耕栽培は、ハウス・室内で耕作を行うため
比較的天候の影響を受けにくいメリットがあり、安定供給が見込めます。
この安定供給が拡大化すると、輸入品にたよらず、その土地のものをその場所で食べる「地産地消・国産国消」の活性化にもつながります。

地産地消の一環として株式会社アルンでは2018年9月大阪市浪速区で
店で作ったものを、店で販売し、店で消費することをコンセプトにした
摘みたて野菜を食べる店「べじたべる鍋 旬菜」を開業しました。

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アクセスはOsakaMetro千日前線「桜川駅」すぐ!

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店内で育てた野菜が食べられる『べじたべる鍋 旬菜』

このお店ではお客様が実際に食事をされる空間で野菜を育てており、そこから収穫したものをすぐに調理して提供するため、新鮮で安心安全な葉物野菜が食べられます。

水耕栽培のような次世代農業をより多くの方々へ知ってもらうこと目的としていて、
お子様限定で栽培体験ができ、食育につながる環境が整っています。

水耕栽培が店内で継続的かつ安定的に野菜を生産できる仕組みだからこそ
このような取り組みが可能になると言えるでしょう。

作り手が値段を決められない農業社会

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前述のように、株式会社アルンでは、農業経営がフェードアウトしている実態を受け止め、現状に則した水耕栽培を用いた農業経営を行うことで『農業の流通を変える』をテーマとした生産業を立ち上げています。

気になるのは代表がなぜ「水耕栽培」という方法を選んだのかということです。そこで取材の中で代表のH氏に尋ねたところ、そもそも代表は農家ではなくサラリーマンではなかったということが分かりました。

ではなぜ生産業を始めようと思ったのか。
それは、農家であった実父の「他人に値打ちを決められるのは、情けない」という呟きが発端だったと語ります。

「きっかけは農業をする父がぽつりとつぶやいた一言でした。生産者が最高の米を作っても、自信満々の野菜を育てようとも、市場では仕入れの個数や相場によって、他人に値段を決められるのが農業社会。そんな状況に対し、農家である私の父が『他人に値打ちを決められるなんて、情けないな』とつぶやいたのです。」

苦労して育てた野菜は自分で値段を決めることが出来ない。
地域の市場でも「私は80円で売るからアナタは100円以上で売ってね!」といった暗黙のルールさえある。

「こんな農業誰もしたくないでしょう?」と、現状の流通を当たり前と化している世の社会、そして衰退していく農業に追い打ちをかける悪環境を垣間見て、代表のH氏は農業社会に新たな流通の流れが必要だと感じたと言います。

そこで選んだのが「水耕栽培」で自分の作ったものをその場で楽しんで貰えるようなカタチを作り、農業の根本を変えていこうと試みたわけです。

野菜に込められた生産者の思い

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農業をしていてよかったと思うことの1つに
自分が育てた野菜を「安心して食べられる」「新鮮でおいしい」と喜んでくれる消費者の方々の声があると農業人は言います。

しかしながら、日常生活で安心で安全な食物が手に入る「健康」が重要視されているものの、安定した収入が必須であるという現代の経済状況においては農業が職業選択される余地は極めて少ないのが実情です。

株式会社アルンの代表は、高収入・収益向上は将来を見据えても困難極まりない状況であることも、食を支える農業を危機的状況に陥れる要因となることを踏まえ、みんながやってみたいと思える農業のしくみを確立するため「体系」を変え「質」を高め、多くの農業人で食を支えていきたいと語ってくださいました。

「農業の現場を担う方々との信頼関係を大切にしながら、情報交換を行い技術革新や制度改革の進む農業の発展に貢献できる企業であり続けたい―。これが、私たちアルンの想いです。」(株式会社アルン・H氏)

父の「情けない」という思いから動き出した、新しい食の流通を目指す農業人。
私たち消費者が日頃美味しい野菜を食べているその背景に、飲食のバックヤードは少しづつ動き出していたのです。
【実録】-大阪の“下町ロケット”⁉父の「情けない」という思いが生んだ『次世代農業』-後編-
以上、2部に渡り、次世代農業「水耕栽培」と飲食を支える生産者の思いをご紹介しました。私たち消費者は、この背景を知ることでより美味しく、より深く食事を楽しむことができます。それと同時に、何を買い、何を食べるかという、私たち1人1人の「食」の選択が、今後の農業や国の食糧問題を左右するのだということを理解しておかねばなりません。

■全国新規就農相談センター公式HP
https://www.nca.or.jp/Be-farmer/management_sim/
■べじたべる鍋 旬菜 
https://www.hotpepper.jp/strJ001161800/
■「日曜劇場『下町ロケット』|TBSテレビ」
https://www.tbs.co.jp/shitamachi_rocket/

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