今年は大丈夫?食品ロス削減法で恵方巻の大量廃棄は無くなるのか
食品ロス削減法案が開始してから、2月の恵方巻シーズンが初めて訪れようとしています。
今年は食品ロスや環境問題に対する注目がさらに高まることが予想されており、飲食業界でも食品ロスへの意識がより高まっていくことでしょう。
食品ロス削減法の開始によって、大きな問題となっている恵方巻の販売などはどのように変わっていくのでしょうか。
●目次
●2月の風物詩「恵方巻」と食品ロス問題
毎年節分になると、食品スーパーやコンビニで恵方巻きを販売する昇りや広告が多く見られます。
すっかり日本の風物詩として定着した恵方巻ですが、コンビニやスーパーでの大量廃棄が知られて以降、ネットやテレビなどで話題となることも増えてきました。
節分の日になれば店頭にたくさんの恵方巻が並びますが、その全てが必ず売り切れるわけではありません。
夜の遅い時間帯になっても売れ残っている商品は、そのまま廃棄されてしまいます。
飲食業界や小売業界では以前より大量の廃棄食品が問題となっており、廃棄される食品を減らしていこうという動きや取り組みが活発に行われるようになっていきました。
さらに日本政府は2019年10月から「食品ロス削減推進法」を施行し、2020年3月末の基本方針策定も急ピッチで進められています。
●実はコンビニおでんも食品ロスを増やす大きな要因
食品ロス問題ではよく恵方巻が取り上げられていますが、その他にも問題となっている商品があります。
その一つが、コンビニの店頭で販売されている「おでん」です。
コンビニのおでんは恒常的に店頭で並んでいるため、消費期限も短く設定されています。
そのため、コンビニなどではおでんも大量に廃棄されているのです。
おでんの食品ロスを減らすため、コンビニ大手のファミリーマートが「おでん」の販売を見直しました。
かつてのように店頭で鍋に入れたまま販売するのではなく、注文を受けてから電子レンジで温める「レンジおでん」を導入したのです。
レンジおでんは大量に仕入れて仕込むということがなくなり、大量の売れ残りや廃棄を減らす効果が期待されています。
ファミリーマートの一部店舗ではすでに導入が始まっており、「大根」や「ちくわ」など売れ筋の具材をセットにしてパック詰めした商品を用意しています。
さらにコンビニ業界では、セブンイレブンが原材料や容器の見直しによっておでんを販売する期間を伸ばすといった対策を始めています。
同じく大手コンビニチェーンのローソンでは、長期間保存がきく冷凍食品を多数開発するなど、食品ロス削減の取り組みが活発に広がっています。
●予約販売や先行割引で恵方巻の食品ロスを削減
コンビニと同じく恵方巻を販売するスーパーなどの小売業界でも、食品ロス削減となるような取り組みが行われています。
大手スーパーのイオンでは、恵方巻の予約販売に力を入れています。
商品の数を13種類から30種類に増やし、一人暮らしの消費者などでも食べきることができるようにサイズ調整した商品も販売されるようになりました。
また恵方巻の予約を例年より早く始めたり、予約したお客様に先行割引の特典を付けたりするなど、消費者にメリットがある対策も考案しています。
ただし、このような対策全てが食品ロス削減を意識した取り組みというわけでもありません。
なぜならば、大手スーパーやコンビニチェーン各社は恵方巻きの販売を予約限定にしておらず、当日販売も当たり前のように行われているからです。
大手企業はやはり利益を追求するものであり、販売実績が前年度を上回ることを目指しています。
ですので、予約販売を増やすからと言って当日に販売する量を少なくするなどの取り組みまでは行われないかもしれません。
●改良剤の開発や賞味期限表記などを見直す取り組みも
小売業界にとってはなかなか難しい食品ロス対策ですが、別の角度からこの問題を改善する取り組みを始めている企業もあります。
◆理研ビタミンが開発する改良剤
家庭用・業務用食品・加工食品改良剤などの製造・販売を行う理研ビタミンは、食品の状態をより長く維持して賞味期限を延ばす改良剤の開発に力を入れています。
例えばコンビニで売られるサンドイッチは、野菜の水気をパン生地が吸ってしまうと味が落ちていってしまいます。
また焼きたてパンなども店頭に並んでいる間にも膨らんでは縮んでいき、段々と品質が劣化してしまいます。
ですが、パンに改良剤を加えることで、こういった品質の劣化を防止することができるようになります。
その結果、商品の状態を長く維持することができて賞味期限も延ばせるようになるのですね。
◆賞味期限の表記を変更する
常温で保管できる加工食品であれば、開封前なら消費・賞味期限を延ばすことも可能です。
現在の賞味期限の表示方法は年月日まで詳細に書かれていますが、この表示方法を日付を省いた年月表示(特例あり)に順次切り替えるだけでも大きな効果が期待できます。
陳列・保管する期間を延ばすことができますし、期限切れで処分される商品を格段に減らすこともできるでしょう。
こういった賞味期限の表示方法変更の取り組みは拡大しており、今後も各企業によって行われていく必要があります。
今後も続く食品ロス問題については、小売・食品・飲食などなどさまざまな業界で取り組んでいかなければなりません。
新しい取り組みにも注目しつつ、環境に配慮した経営や運営をおこなっていきたいですね。
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