メニュー名のつけ方が8割(初級編)③
前回は、『水曜日のダウンタウン』というバラエティ番組からメニュー名のつけ方について、ヒントを探りました。
手がかりとなったのは、先のことをイメージされやすいメニュー名にするということ。そのためには注意されるような、ネーミングが求められることを明らかにしてきました。
今回で最終回。
実際に、筆者が訪れた飲食店で興味をそそられた、また注文をする動機となったメニュー名を紹介していきます。
いくつかのパターンで事例を見ていきましょう。
注文したくなるメニュー名の実例
■店名:「豊」(http://www.moi.vc/toyo/)
■特徴:四条堀川に佇む隠れ家のような創作和食店。京都の地酒・食材が豊富。
■メニュー名:タコ焼きであってタコ焼きでないタコ焼き
■ポイント:結局どんな商品が出てくるのかがけむに巻かれている。だから気になる。しかしタコ焼きという定番メニューだからこそ安心しながら、未知の料理へのチャレンジ精神が湧いてくる。メジャーではない料理で、このようなやり方をするのは危険。
■実際はこんな料理:ジャガイモを八方出汁で割った生地で焼いた創作タコ焼き
■こんな活用ができる:一般的な居酒屋メニュー、マンネリ化している料理にひとひねり加える。「ポテサラのポテサラによるポテサラのためのポテサラ」「10割から2割引いたら10割よりも旨くなってしまった蕎麦」
<ケース2>
■店名:「水谷 真田幸村」(https://www.eparkgourmet.com/detail/EG00550602)
■特徴:玉造駅前の幸村ロードにある居酒屋。真田幸村にちなんだメニューが多い。
■メニュー名:赤字覚悟のまぐろ刺身
■ポイント:真田幸村と言えば、赤備え。彼のシンボルカラーである赤から、赤字・赤身をシャレでつけている。まぐろの刺身だけなら、何の変哲もない居酒屋メニュー。しかし真田幸村が48歳で生涯を終えたことからか、480円という価格設定にするこだわりっぷり。歴史ファンではなくても、センスの良さに関心させられる。
■実際はこんな料理:まぐろ赤身が盛りつけられた、王道の刺身。
■こんな活用ができる:定番メニューをお店のコンセプトに合わせてダジャレ化する。例えば「水谷 真田幸村」には「赤玉パンチ」「牛肉赤身ステーキ」などがある。
<ケース3>
■店名:「創作串料理 Dining Juicys 104」(https://www.eparkgourmet.com/detail/EG00541928)
■特徴:大阪・新町の創作串カツダイニング(看板メニューは中華串と、天使海老の串カツ)。BGMはビートルズの楽曲オンリー。
■メニュー名:ジョンレモン(がちレモンサワー)
■ポイント:もちろんジョンレノンのオマージュだろうが、どんなものが出されるのか気になって仕方がない。ビートルズのヒットソングが流れる店内だからこそ通用するシャレ。お店の世界観に浸れそうなイメージが湧く。
■実際はこんな料理:生レモンが1個まるごと入った爽快サワー。追加のおかわりは、オノ・ヨーコというメニュー名。再婚相手ということで2杯目なのか、これまたセンスがいい。店名の104も、ジューシーと天使海老からつけているらしい。
■こんな活用ができる:店内のBGMや雰囲気、コンセプトなど、こだわりポイントとかけ合わせる。例えば、もし「創作串料理 Dining Juicys 104」のような店で提案するなら、スパークリングワインのポールスターとリンゴジュースで作る「ポール・スター」(ポール・マッカートニーとリンゴスターの組み合わせ)。
さいごに
いかがだったでしょうか。ちょっとした工夫をするだけで、注意をされる料理名、他店にはないメニュー名を創作することが可能です。
もし売りたい料理・利益率の高いメニューが思うように注文されない場合、またはお客様が注文で悩まれることが多い場合、一度メニュー名を見直してみられてはいかがだったでしょうか。
さらに一歩踏み込んだメニュー名のつけ方も、中級・上級編と称して別のコラムでお届けします。