今、阪急・梅田駅前のグルメスポットに人が集まる3つの理由・前編

今、阪急・梅田駅前のグルメスポットに人が集まる3つの理由・前編

阪急電鉄・梅田駅エリアでは、新しいグルメスポットのオープンが相次いています。

とくに目立つのは、「UMEDA FOOD HALL」や「オイシイもの横丁」などフードホールや横丁スタイルのグルメスポットの出現です。一度にさまざまなお店の味が楽しめる食のテーマパークのような形態をとった施設で、多大な人気を集めています。

なぜ、このような現象が起きているのでしょうか。今回は、阪急電鉄・梅田駅エリアのグルメスポット人気について、都市のトレンドや動向を追いながらシリーズで解説します。

前編では、阪急電鉄・梅田駅エリアをはじめ大阪キタ・ミナミにおけるグルメ事情の系譜を追っていきます。

■増殖したキタ・ミナミの行方

大阪キタ・ミナミのグルメ事情から見た街は、どのような現状なのでしょうか。梅田駅や難波駅の駅前・駅近エリアが、勢いを取り戻し始めています。

今から約10年前のこと。京阪神で絶大な支持を誇る情報誌「Meets Regional」2007年2月号で、”増殖するキタ”という特集が組まれました。

それまでキタと言えば、Osaka Metro御堂筋線・梅田駅、Osaka Metro谷町線・東梅田駅、Osaka Metro四つ橋線・西梅田駅、JR西日本・大阪駅、JR東西線・北新地駅の周辺だけを指していました。

しかし2000年代から駅周辺だけではなく福島、天満、中崎町、中津、曾根崎、堂山、太融寺、肥後橋、中之島・・・へと1駅先の周縁部にも導線ができ、いくつもの飲食店がひしめき合うようになったのです。

この現象を「Meets Regional」は、”増殖するキタ”と、興味深い表現をしました。増殖をしたのはキタだけではありません。難波駅・心斎橋駅を含むミナミでも、同じ現象が起きました。

裏なんばや座裏、北堀江・南堀江、南船場、新町、湊町、恵美須町でも、飲食店が続々と出店をして、賑わいをみせるようになったのです。ここでは、”増殖するミナミ”と呼んでおきましょう。

各エリアが細分化され、地域のイメージに合ったブランディングが加速。まるで生き物のように、キタ・ミナミが細胞を増殖させて、大阪という街の動態を刷新していきました。

増殖したキタ・ミナミには、梅田や難波にはなかったような新しいスタイルの飲食店や、駅前では実現しないようなリーズナブルで質の高いお店が誕生しました。

裏なんば名付け親の1人がいることで有名な「鉄板野郎」や、古参者である「Dinningあじと」。カフェブームの先駆者的な存在となった「太陽の塔」(中崎町)、「カンテグランデ」(中津)など、例を挙げれば枚挙にいとまがありません。

街が成長するにつれて、消費者たちは口コミサイトやSNS、グルメ雑誌を地図のように手にしながら、ちょっとした冒険を楽しむように、ターミナル駅から1駅先へ、さらには都市の周縁へと足を伸ばていきました。

当時、筆者自身は、どこまでがキタ・ミナミで、どこからがキタ・ミナミではないのか、日々移りゆく街の姿に釘付けになっていたことを覚えています。まるで生き物の動態を観察するような面白さが、当時の大阪にはありました。

あれから10年が経過。今でも増殖したキタ・ミナミは高い集客力を持っています。近年では「裏天満天神横丁」や「ふくまる通り57」といった新スポットができて、地域の新しい顔となっています。

福島の新グルメ通り「ふくまる通り57」がオープン!

一方で駅前・駅周辺のエリアにも、新しいグルメスポットが開業して、今まで以上の活況を見せています。

筆者の目には、増殖したキタ・ミナミに対抗するような形ではなく、まったく違う様相を呈して、違う土俵で戦う姿勢を、駅前・駅周辺のエリアが取っていると映ります。

キタ・ミナミ周縁部の成長が止まったわけではありません。中心エリアである、心臓部の細胞が生まれ変わったような、そんなイメージを持っています。では、どんな現象が起きているのか見ていきましょう。

■グランフロント誕生からフードホール元年へ

2010年代、梅田を変えるきっかけになったのは、LUCUA(2011年)とグランフロント大阪(2013年)の開業です。

新しい梅田のランドマークになったことは間違いありません。ビジネス・ファッション・ライフスタイル・グルメなど、さまざまなテナントが、2つの商業施設に集中しました。

グランフロント大阪には、77店舗の有名飲食店が集結。とくに印象を強く与えたのは、「UMEKITA FLOOR」です。「UMEKITA FLOOR」には、和食から中華、アジアン、洋食までヴァリエーションに富んだ16店舗の飲食店があります。

特徴的なのは、はしご酒できるパブリックスペースであること。街を食べ歩きするような感覚で飲食ができる、いわゆるフードコート・フードホールです。さらに街の人たちを驚かせたのは、営業時間。午前11時から深夜4時までという強気の営業姿勢を取りました。最終を逃しても、始発時間が訪れるまで過ごすことが可能です。

駅前の商業施設には、今までなかった食文化・スタイルをグランフロント大阪は提案しました。また難波でも、梅田に後れを取る形で、都市型商業施設「なんばスカイオ」「GEMS(ジェムズ) なんば」が2018年にオープンします。

ランドマークとなる駅前の商業施設が開業して以降、キタでは駅前・駅周辺のグルメ事情が少しずつ変化しました。とくに著しく一新したのは、阪急電車梅田駅側のエリアです。

2017年には、阪急三番街がリニューアルオープン。さらに2019年、高架下にあった古書のまち跡に「茶屋町あるこ」が開業します。

ニューヨーク発の老舗ベーカリー「THE CITY BAKERY」や関西初出店となる「SHIBIRE-NOODLES 蝋燭屋」や「CarneSio west」など、感度の高い7店舗が顔を合わせました。

「茶屋町あるこ」の誕生によって古本屋通りだった高架下の様子が、一気に洗練していきました。

さらに阪急電鉄「梅田駅」の変化を決定づけたのが「UMEDA FOOD HALL」の誕生です。2018年、阪急三番街・北館地下2階に、気鋭の飲食店18店舗がオープン。

フードホールについては、別途コラムで特集を組みますが、まさに2018年はフードホール元年と言える年です。「UMEDA FOOD HALL」を皮きりに、2018年から2019年ではブームのようにフードホールの開業が相次ぎました。

LUCUAでは「LUCUA FOOD HALL」、大阪新阪急ホテルでは「大阪新阪急ホテルフードホール」が、さらには新オープンした複合商業施設「ヨドバシ梅田タワー」でも「オイシイもの横丁」という屋台村スタイルのグルメスポットが完成しています。

阪急電鉄側だけではありません。2018年には、一時的に営業休止していた「阪神百貨店スナックパーク」がリニューアルオープン。

また難波では「ITADAKIMASU FOOD HALL」や「FOOD HALL BLAST! OSAKA」、大丸心斎橋店では「心斎橋フードホール」、天王寺ミオでは「ミオえきキッチン」が誕生しました。

このような現象からわかるのは、1つの店舗で飲食をするのではなく、複数の店舗で食べ物・ドリンクを購入して、パブリックスペースで飲み食いを楽しむスタイルが、消費者の心を掴んでいることです。

■さいごに

「UMEKITA FLOOR」に始まり「UMEDA FOOD HALL」、「オイシイもの横丁」まで、キタの中核がまったく異なる生物のように成長を遂げました。筆者自身も、これらのエリアには何度も足を運んでます。

「食ジョブコラム~食✕職~」でも、そのトレンドを追いながら最新情報を発信してきました。

実食!阪急・梅田駅前でグルメライターが選ぶ人気ランチ8選
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茶屋町あるこ(大阪・梅田)最新ランチ事情!7店を徹底解剖
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なぜ増殖したキタ・ミナミから、駅前・駅周辺のグルメスポットへと消費者は足を運ぶようになったのでしょうか。後編ではこの理由を、3つのポイントで解説します。

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