なぜか、つい足を運んでしまうお店で流れるBGMとは(後編)

なぜかつい足を運んでしまうお店で流れるBGMとは(後編)

今回のコラムでは飲食店において、どんなBGMの使い方をすべきかをシリーズで解説しています。

前編では聴覚心理学の視点から、期待される効果にフォーカスをして考察。とくに注目したのは、ブランディングの効果です。お店の世界観や付加価値を、いかにBGMによって伝えられるか、さらに集客につなげらるのか、その可能性を示唆しました。

以下では、3つのケースから成功事例紹介していきます。

コンセプチュアルレストランの場合

コンセプチュアルレストランの場合

こだわりのコンセプト、斬新な世界観をもとに構想されたレストランのケースを見ていきましょう。

【事例①】
<店舗名>『the ringo』(東京都港区西麻布)(http://the-ringo.jp/)

<特徴>「食×音楽×アート」がコンセプトのモダンスパニッシュ。店内は、新進気鋭のアーティストたちとのコラボレーションによる前衛的なアートギャラリーを展開。

<BGM>サウンドディレクターの鈴木健之による選曲。チルアウトミュージックが中心。時間帯やお客様によってBGMを変えている。

<効果>美味しい食事・良質なサービスだけではなく、自由な発想をもとにインスピレーションを与えるクリエイティブ空間の創出。ハイセンスでユニークな世界観を好む、30代前後の男女から人気を獲得。

【事例②】
<店舗名>『The Bridge』(東京都台東区)(http://riverheads-group.com/)

<特徴>NYスタイルのスタンディングバー。お洒落でフォトジェニックな店内に充実の料理。女性が気軽に入りやすい飲食店が蔵前・浅草橋には少ない中で、20~30代の女性客をターゲットに設定している。

<BGM>Soul/Jazz/Funk/R&B/HouseなどBlack Musicを中心にしたBGM。

<効果>NYのアトリエを彷彿させるとともに、ほかにはない居心地の良さを実現。開放的な雰囲気で、女性客がゆったりと寛げるムードを演出。

特定ジャンルの音楽をテーマにした飲食店の場合

特定ジャンルの音楽をテーマにした飲食店の場合

営業時間中、開店から閉店まで特定ジャンルの音楽が楽しめる飲食店のケースを見ていきましょう。

【事例③】
<店舗名>『BAR HASEGAWA』(大阪市中央区)(http://bar-hasegawa.com/)

<特徴>シンガーソングライターBORO氏や島田紳助氏によってプロデュースされた心斎橋のフォークソングバー。

<BGM>フォーク音楽を中心に若手ミュージシャンによる、ミュージックライブ・イベントを鑑賞しながら飲食が楽しめる。

<効果>会員制・紹介制システムのため、大人が仲間同士だけで本当に楽しめる場所づくりを実現。

【事例④】
<店舗名>『歌謡曲バー スポットライト』(天神店・新橋店・新宿店)(http://www.spot-light.jp/)

<特徴>昭和の歌謡曲を聴きながらお酒が飲めるミュージックバー。店内にあるレコードの中から好きな曲をリクエストすることが出来る。

<BGM>昭和歌謡でも、1970年代~1980年代のヒットソングが中心。当時のアイドルやバンドの楽曲を聴きながらタイムスリップ。イントロクイズ大会も開催されている。

<効果>1970年代~1980年代に青春時代を過ごした層、または歌謡曲ファンの若者たちが集う大人の社交場となっている。

店主がこよなく愛する音楽を流す飲食店の場合

店主がこよなく愛する音楽を流す飲食店の場合

店主・オーナーが好きなミュージシャン・バンドの音楽、すなわち個人的な嗜好であり、好みやライフスタイルが活かされた飲食店を紹介します。

【事例⑤】
<店舗名>『京おばんざいと串揚げ 彩り』(京都市中京区)

<特徴>京都産無農薬野菜の串揚げや、創作系の和食メニューでもてなすおばんざい屋。

<BGM>ミスターチルドレンファンの店主が運営するお店ということで、ミスターチルドレンの楽曲が流れている。ちなみに店名はミスターチルドレンの楽曲が由来。店内にもミスターチルドレンのファンであることが伝わる張り紙も。

<効果>ミスターチルドレンのファンが来店、集まるきっかけとなる。また独自の世界観があるバンドであるため、こだわりの強いお店であることもお客様に伝わりやすい。大阪市淀川区にあるラーメン店「人類みな麺類」(http://www.jinrui-minamenrui.com/)もミスターチルドレンの楽曲がBGMとして流れており、行列が出来るほどの人気。

さいごに

どのケースでも音楽によって、お店の魅力や世界観を構築させることに成功しています。

たかが音楽。されど音楽。
当たり障りのないMIXアルバムや音楽番組を流すのではなく、こだわりを持って選曲することが重要です。

お客様は数ある飲食店の中で、どのお店を選ぶか判断基準となる情報をつねにリサーチしています。BGMによるブランディングで、どんな特色のあるお店なのか伝わりやすくなるでしょう。

音楽によって来店を促すような演出方法を、ぜひ探ってみてください。今回の記事きっかけにして、効果的な音楽の使い道が拓いていけば幸いです。

なお著作権のある楽曲は、JASRAC(http://www.jasrac.or.jp/info/event/index.html)の利用条件をもとに手続きをした上でご利用ください。

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