『りくろーおじさんのチーズケーキ』に人気が出る本当の理由②
大阪を代表するスイーツの1つとして高い人気を誇っている『りくろーおじさんのチーズケーキ』。
『りくろーおじさんのチーズケーキ』の商品を販売する店舗は大阪のみ。各店舗では、たくさんの顧客が行列を作っています。
今回のシリーズでは、なぜ『りくろーおじさんのチーズケーキ』は、行列ができるほどの人気があるのかをひも解いています。
前編では、人気の理由について、商品の特徴を紹介しながら、店頭でのパフォーマンスに着目をして解説しました。
➽『りくろーおじさんのチーズケーキ』に人気が出る本当の理由①
後編では、商品ではなく接客・サービスにおけるホスピタリティの観点から、根強いファンができる本当の理由を、実例を挙げながら紹介します。
【行列ができる本当の理由】
りくろーおじさんのチーズケーキ!! pic.twitter.com/wezscTR4F7
— このは@kensin (@rutikensin) 2019年9月11日
前回のコラムで、ほんのり甘い匂いと、ふわトロという変化のある食感が、店頭のパフォーマンスによって顧客に彷彿させることを言及しました。独自の売り出し方が、『りくろーおじさんのチーズケーキ』の人気を作っているのです。
しかし、それ以上に根強いファンを獲得している理由があります。それは『りくろーおじさんのチーズケーキ』のサービス精神に関係していることです。
『りくろーおじさんのチーズケーキ』のホスピタリティ
『りくろーおじさんのチーズケーキ』 コーポレートサイト内の企業概要ページ(http://www.rikuro.co.jp/company/outline/)で、以下のような説明がなされています。
「私達は、安全でおいしいお菓子(和菓子・洋菓子・パン)と心地良いサービス(正確性とホスピタリティ)を提供することにより、お客様、従業員(仲間)とその家族、お取引先、地域社会そして自分自身の笑顔を創造し続けます」
安全でおいしいお菓子については、すでに紹介をしました。では、心地良いサービス(正確性とホスピタリティ)とは、どのような意味があるのでしょうか。
じつは、「焼きたてチーズケーキ」のサービス精神に、ファンの心をつかむポイントが詰まっています。
ロールケーキで顧客の心をつかんだエピソード
筆者の身近な知人で、『りくろーおじさんのチーズケーキ』ファンの方がいます。大阪南部で事業を展開する経営者なのですが、なぜファンになったのか、彼からあるエピソードを伺いました。
『りくろーおじさんで、チーズケーキ3つとロールケーキを1つ買ったんです。ロールケーキは、ちょっとした手土産だったので、ハーフサイズにしました。』
ロールケーキとは、「ニコニコりくろーる」と呼ばれる商品のことです。1本(18cm) で1,080円 (本体価格 1,000円)、ハーフサイズで540円 (本体価格 500円)というサイズ展開をしています。なかには、チーズケーキよりもロールケーキ派だという根強いファンもいるようです。
Hさんは、話を続けました。
『混んでいたこともあり、商品を受け取って、中身を確認せずにお店を後にしました。帰宅してから、気が付きました。ロールケーキが入ってなかったんです。私が受け取り忘れたのか、お店が入れ忘れはったのか、事実を確認しようと店舗に電話しました。入ってなかった旨を伝えたら、お店のスタッフさんも、私たちが帰った後に気づいていたようです。入れ忘れてしまったと。お店側のミスということもあり、家まで商品を届けたいと仰ってくださったんです。有難いお申し出ではありますが、でも500円くらいの話なので、今回は結構ですよと伝えて、電話を切りました。』
今回のような入れ忘れは、それほど気にしなかったというHさん。少額の商品であり、かつお店が混雑して従業員が大変そうだったことから、仕方ないとすぐに諦められたようです。ただ事実だけ確認できれば良かったとのこと。
しかし話には続きがあります。電話を切ってから、10分後のことです。
『お店から電話がかかってきました。やはり、きちんと商品を持って、お詫びしたいとのことでした。まぁ、そこまで言うなら・・・・お店の誠意とご好意を断るのもなんなので、お願いをしました。お店から、私の家までは約一時間。店長が、わざわざ我が家まで来て下さったんです。しかもハーフサイズではなく、1本サイズを持ってきてくれはりました。ご丁寧に丁寧にお詫びもしてくださって、感動しましたね。そこまでしなくていいのにっていう気持ちもありながら、正直、心をつかまれました。今までもりくろーおじさんファンでしたが、これからも買わずにはおられない。そんな気持ちにさしてくれるお店が、りくろーおじさんだと思います。」
最初は500円の損をした話だったのが、いつの間にか倍に返ってきて、『りくろーおじさんのチーズケーキ』のことが、より好きになれたエピソードに変わりました。
顧客満足を重視する『りくろーおじさんのチーズケーキ』
このエピソードでわかることは、顧客との関係性を『りくろーおじさんのチーズケーキ』が、いかに重視しているかという点です。今の時代に即していえば、顧客満足度という表現にふさわしいでしょうか。
企業によっては、このようなミスがあれば、「スタッフがミスをした」から謝罪をするケースも少なくないでしょう。会社側の責任を果たすことに、目がいきがちになります。なかには、責任さえも果たさない企業もあるかもしれません。
企業責任は、確かに重要です。しかし、会社都合で責任を取るのか、顧客重視で責任を取るのかでは、大きな違いがあります。
顧客満足という視点で考えれば、目を向けるべきは顧客との関係性です。『りくろーおじさんのチーズケーキ』は、先述した「心地良いサービス(正確性とホスピタリティ)」を徹底することで、顧客満足を向上させていると考えられます。
【さいごに】
『りくろーおじさんのチーズケーキ』が人気の真の理由について、ホスピタリティの観点から解説しました。
今回取り上げた店づくりは、クオリティの高い商品があってこそ。食感も味も好まれるチーズケーキでありながら、かつ期待以上のサービスを提供されることで、根強いファンを形成しているのではないでしょうか。
先日、某クルーと難波にある #りくろーおじさん のカフェ🧀 #陸カフェROOM に行ってきました!
期間限定の #シャインマスカット タルト美味しかったです💚四条からだと #京阪 #阪急 の利用がオススメ🚃🚃🚃
株主優待券を使ってお得に行けちゃいます~🙌✨#チケットショップ #トーカイ四条河原町 pic.twitter.com/t87tJXEvod— トーカイ四条河原町店 (@tokai_shijo) September 21, 2021
レベルの高いスイーツを販売する店舗は、多数あります。しかし『りくろーおじさんのチーズケーキ』のように、商品だけではなく、商品の見せ方・売り出し方から接客サービスまでこだわり抜いた企業は、希少な存在です。
ぜひ行列ができるお店づくりのヒントにしてください。
また「食ジョブコラム~食✕職~」では、人気店の作り方に特化したコラムを多数、公開しています。集客からメニューづくり、接客など具体的なノウハウが満載なので、良ければご覧ください。
<人気店の作り方>
https://colum.shokujob.com/wp/category/store_operation/