“和歌山の鮮魚”と接客力で差別化する和食店|沖のや
大阪・江坂の和食店「沖のや」。和歌山直送の鮮魚と丁寧な接客で、居酒屋と割烹の中間を狙った独自スタイルを確立。創業の原点から人材育成、独立支援まで、沖野社長が語る現場のリアルとは。
魚座 沖のや オーナー 沖野正城(おきのまさき)
Q:沖野社長、今日はよろしくお願いします。まず最初に沖野社長ご自身がどういった経緯で創業されたのか?をお聞かせください。
僕は公邸料理人をしていた父親の影響もあってか、料理人としてではなく、お店を出して商売がしたい、と物心がついた頃から思っていました。そんな思いから、高校時代に和食の名店でアルバイトをしながら料理の勉強を始めたのですが、「商売」という視点で考えた時に、そのお店で就職する事に違和感を感じるようになりました。ですので、より教育体制が整っていた がんこフードサービスさんでお世話になることにしました。がんこさんでは19年間、たくさんの事を学ばせて頂き、2017年4月に江坂で創業させて頂きました。

Q:ありがとうございます。がんこさんご出身ということは和食で勝負をされてるのかな、と思うのですが、その中でも一押しの料理を教えてください。
一押し料理、というよりは、とにかく和歌山の鮮魚がウリだと思っています。先ほどもお話しましたが、高校時代に関西地方では名店と言われるようなお店でアルバイトをさせて頂いてました。そこでの魚料理が、鮮度もよく、抜群に美味しかったんですよ。ですので僕も和歌山の魚をウリにしよう!と思ったんですよね。台風などの天災や事故を除けば、毎朝、和歌山で水揚げされたばかりのお魚を市場を通さず、直送してもらい、その日のうちに捌いて提供しております。それがウリでもあり拘りですね!
Q:となると季節毎で旬の魚が食べられるのも魅力の一つなんですね!ですが、旬の魚をウリにしている和食店は、たくさんありそうですが、そういったお店とはどう差別化をされてるのでしょうか?
料理、接客、空間。この3つのクオリティーを高めていくことを常に意識しています。おっしゃる通り、旬の魚をウリにしているお店はたくさんあります。ですので差別化の為に、常に、この3つを意識して運営していますね。特に和食店としては30席ほどで、比較的規模の小さいお店になります。ですのでお客様との距離が近く、より接客が大切になります。そして味よし!接客よし!となれば、おのずと良い空間が提供できると思っています。
Q:なるほど!となりますと、海鮮居酒屋というイメージではなく割烹料理店に近いイメージでしょうか?
割烹料理、とまでは行きませんが、居酒屋と割烹料理の中間の位置づけのお店になります。それは創業当初から狙っていたコンセプトなんですよ。

Q:ありがとうございます。「接客」というと読者さまの中には「コミュニケーションが苦手だなぁ」と思われてる方もいらっしゃるかと思いますが、その辺りは、どうお考えでしょうか?
接客がしっかりと出来れば、お客様にもお店側にも評価される時代になってきてる、と感じています。なぜなら、人材確保が困難になった飲食店において、辞めて欲しくないが為に適切な接客指導ができていないと思います。となると接客のクオリティは必然的に下がっていきますよね。そして、お客様も接客のクオリティが下がった事に敏感なんですよね。ですので僕は、料理のクオリティは当たり前のことですが、接客のクオリティもしっかりする事が大切だと思っています。
Q:そう考えると接客ってとても大切なんですね!となりますと御社に入社すると、接客のことを重点的に教育されていくのでしょうか?
そうですね。アルバイトの方に関しては、いかに経験者の方であっても業務を始めて頂く前の1時間必ず研修をします。「料理を運ぶことだけが仕事ではないよ」といった事から、お店のコンセプトまでをしっかりお伝えしてから業務をして頂きます。また社員の方に関しては、主に厨房に入って頂くと思いますが、料理だけではなくお客様のコミュニケーションを大切にする考え方や、アルバイトの方と同じようにお店のコンセプトをしっかりと理解して頂くところから始めて頂きます。その結果、グルメサイトでは料理に関しての口コミだけではなく、スタッフに関する口コミを書いて頂けるようになってきてるんだと思います。

Q:なるほど。徹底されてるんですね。口コミはお客様が起こすものではなく沖のやさんが起こしていくもの。ですよね!ありがとうございます。となりますと、御社で経験を積んでいくと「独立」なんてこともおのずと視野に入ってくるのではないでしょうか?
そうですね。独立されたければ、それが出来るだけのノウハウは学んで頂けると思います。なぜなら、僕の近くで学んで頂けるからだと思います。決して、僕が凄い!という事をお伝えしたいわけではなく、僕は高校生の頃から「商売がしたい」という思いで創業し、ここまで来ることが出来ました。スタッフと共に作り上げたノウハウがそこにはあります。江坂という地域で、どのようなコンセプトで運営していけば集客できるのか?そしてお店に足を運んで頂いたお客様にどのように接客し、喜んで頂くのか?を実践し、体現してきました。それを近くで見て学んで頂けるのは強みだとは思いますね。沖のやのノウハウで良ければ!ですけどね(笑)。
Q:ありがとうございます。なるほど。確かにそうかも知れませんね。大手さんですと厨房内でも揚げ担当、焼き担当と特化すべき仕事があったり、本部が持っている店舗の運営ノウハウも現場で学んでいくのは、少し時間がかかったりしそうですよね!と、ここで「飲食業界への就職」をする時に、ここに注意してください!と言った事があれば、お聞かせください。
これは料理うんぬんの話ではなくなってしまうんですが、応募される際に書かれる言葉や、履歴書に書かれる文章などは丁寧に書かれた方がいいと思います。やっぱり、そういう所に気を配れる人間って、接客や料理の盛り付け一つにでも気を配れる、と思うんですよね。文章には人柄が出ます。求人をかけてる側からすると、やり取りが丁寧な方であれば、ぜひ会ってみたい、と思うものです。こんな事を頭の片隅に置いて就職活動をしてもらえたら、と思いますね。

Q:ありがとうございます。最後に読者の皆様へのメッセージをお願いします。
チャレンジしたい、と思った事はすぐに行動して欲しいと思いますね。そこで思い留まってしまうと行動が出来なくなってしまうと思います。すぐに行動を起こす事ができれば、また違った結果が得られるかもしれませんね。