地域に愛される甘味・洋食レストランの挑戦と人づくりとは|心斎橋ミツヤ

戦中創業の氷店から多業態レストランへ。社員を“家族”と語る小儀社長が、コロナ禍での事業承継、収益還元のボーナス支給、退職金制度など人づくりの未来を語る。

株式会社心斎橋ミツヤ 代表取締役社長 小儀俊彦(おぎとしひこ)

Q:小儀さん、今日はよろしくお願いします。まず最初に御社の事業内容についてお聞かせください。

小儀凍氷店という「氷販売」からスタートし、昭和18年に関西では初となる「あんみつ」を開発。都市開発や鉄道事業と共に成長し、現在は心斎橋を拠点に31店舗のレストランを運営しております。

Q:関西では、あんみつといえば心斎橋ミツヤさん!というイメージがありますよね。ありがとうございます。小儀さんは、どのような経緯で、心斎橋ミツヤを事業承継されたのでしょうか?

小さい頃から創業者である祖父母から跡継ぎとして育てられてきたので事業を引き継ぐことには何の違和感もありませんでした。大学卒業後も「まずは食品の流れを学ぼう」という事で食品専門商社へ就職。その2年後には父の勧めもあり大手のホテルで宴会や朝食を提供するコーヒーショップで勉強した後、本格的にミツヤで一般社員として働く事になりました。その後は店舗の立ち上げや店長を経験した後、商品部、企画開発、管理業務などを担当し、2021年5月に2代目である父から事業を引き継がせて頂きました。

Q:2021年というとコロナ禍ですよね。となりますと経営者としての転機はいきなり訪れたわけでしょうか?

いえ、違うんですよ。確かに、コロナ禍は資金繰りに不安を覚え、倒産は決して対岸の火事ではなかったんですね。ですが、私にとっての一番の転機となったのは入社直後の2000年ごろだったんです。当時は店舗拡大と同時に不採算店舗も目につくようになっていた時期です。なので利益のでない店舗は、お酒を提供し、客単価を3500円に設定したダイニング系のお店「みつけ」にリブランドしていったんですね。当時のミツヤの客単価は700円前後だったんで、ざっと5倍ですよね。不採算店の赤字を回収したいのは理解できますが、ミツヤブランドの強化をせずに、なぜ、新業態ばかりやるのか?そこにギャップを感じたんですよね。

Q:なるほど。そのギャップが転機になられたわけですね。そのギャップをどのようにして埋めていかれようとされたのでしょうか?

いや、結局、埋まらなかったんですよ。その後は利益がでていた心斎橋ミツヤもかねてからやっていたセルフカフェをシアトル系にリボーンした「カフェブレーク」に業態変更していきました。ですので、なぜ新業態ばかりやるのか?そこへのギャップが深まっていく一方でした。ミツヤブランドを軽視しているのではないか。そこまで思うようになっていったんですよね。しかし大手の台頭もあって徐々に縮小。11店舗あったお店が今や4店舗にまで減りました。

Q:なかなか厳しい現実ですよね。

はい。そんな環境の中、規制緩和により、郊外型のショッピングセンターの出店が伸びはじめチャンスが訪れます。そのチャンスを業績復活の足がかりにしようと思いました。そこで私は、それまでの心斎橋ミツヤの洋食メニューをブラッシュアップし、カフェ専門店ではなく、洋食専門店「昔洋食みつけ亭」を出店することにチャレンジしました。そうしたら、それがお客さまに受け入れていただけたのか、阪急三番街店の出店を皮切りに、現在は6店舗にまで拡大することができたんですよ。

Q:専門性を深堀りすることで、逆境を跳ねのけられたわけですね!肝心のミツヤブランドの復活はどうなったのでしょうか?

2017年、本格的にミツヤブランドの復活に動き出すことになります。京橋のお店をセルフカフェのカフェブレークから心斎橋ミツヤの業態へ戻すことになりました。このお店は元々、心斎橋ミツヤのお店でしたが、2002年の施設のリニューアルでカフェブレークに業態変更しておりました。もとあった業態へ変更することに不安はありましたが、結果的には成功でした。これからも「心斎橋ミツヤ」と「昔洋食みつけ亭」この2ブランドを伸ばしていきたいですね。

Q:執念ですね!でも、飲食業は慢性的な人材不足であると耳にします。その辺りの対策はどうされているんでしょうか?

もう、そこがドンピシャでこれからの課題です。心斎橋ミツヤの業態は特に暇な時間がないんですよね。四六時中、ひっきりなしにお客さまが来られます。その分、スタッフ側はずっと働いていないといけません。ただでさえ大変なのに‥‥‥です。福利厚生は考えうる限りの手は打っているので辞めにくい環境ではありますが、なんせ雇用が進まないんですよ。ですので来年からベトナムの方の採用をすることに決めました。受け入れ準備のため、現地にも行きましたが本当に素晴らしいですよ。ストイックさが違います。日本で稼いだお金がベトナムでは何倍にもなるので家族を幸せにするために、スポンジのような吸収力で学んでいくんですね。毎月かかるコストは1.2倍になりますが、決断してよかったと思っています。

Q:本当にこれからですよね!最後に読者の皆さまへメッセージをお願いします。

飲食業は観光業と並ぶ重要な産業です。そんな産業にコロナ禍が残してくれたものは、安心と安全でした。ですので、美味しいあんみつを求めてどんどんご来店してほしいと思いますね。

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