知らないと損!?地震によって割れたお酒が返ってくる方法
平成30年6月には大阪北部で震度5を超える大地震が発生。同年9月には台風第21号による暴風雨が関西の街を襲いました。これらの影響により営業停止をせざるを得ない状況に陥った関西エリアの飲食店も多く、今後の対策やその後の迅速な処置の重要性が各地で唱えられています。
自然災害は必ずしも予防できるものではないからこそ、万が一のために備えをしておくことが大切。今回は、関西で店舗を持つ飲食経営者なら知っておきたい使える被災の予備知識をご紹介します。
01.割れたお酒の酒税は申請すれば戻ってくる。
現在、関西在住の筆者が数店舗の飲食経営者に「今回の震災・台風後の影響」について尋ねたところ「棚が倒れてお酒の瓶やボトルが何本も割れてしまった」という店舗が数多くあることが判明しました。思わぬ損害に頭を抱えるオーナーさんも多数。
しかし、皆さんは割れたお酒の酒税は申請さえすれば戻ってくるということを皆さんはご存知でしょうか。「被災酒類の酒税還付」という制度を使えば、割れたお酒のお金を返還してもらうことができるのです。
●酒税とは?
お金の返還を可能にするのは「酒税」という課税制度があるからです。
「酒税」とは酒類を消費する際に課される税金で、消費者が負担する「間接税」のことを意味します。2017年の最新版の酒税法では、課税対象である酒類をアルコール分1度以上の飲料として定義づけており、ボトル単位ではなく『発泡性酒類1キロリットル当たり酒税22万円』という様に、量単位で課税しています。
●お酒には税金がかかっている。
災害によって割れてしまったお酒の酒税は、国の指定する手続きによって戻ってくる可能性が高いです。割れただけでなくラベルやパッケージの汚損により、割れてはいないが商品として提供できない「破棄することが明らかなお酒」も被災酒類として扱い、還付申請をすることができます。
申請はあくまで任意ですが、量によっては数万円以上戻ってくるケースもあるため、少しでも損害を軽減することができると言えるでしょう。
02.申請に必要な手続きと注意点
その際に必要となる手順と確認事項は以下の通りです。
⑴被災酒類の区分と 本数の把握
まずは、被災して割れたお酒に関する詳細を確認することから始めます。
内容は以下の通りです。
① 納税義務者(製造者、通関業者)
② 仕入先
③ 品目(清酒、焼酎、ビール、果実酒等)
④ アルコール分、発泡性の有無
⑤ 容器の容量
上記の内容は、酒税還付の申請に必要となるため、日頃から領収書を保管しておいたり、店舗にあるお酒の数や種類を記帳するなどして、できる限り情報を保存しておくことが大切です。
⑵被災酒類の確認書の申込みと受取り
次に、国税庁の公式ホームページにある申請用紙「被災酒類の確認書交付申請書」を2部作成し、被災した飲食店舗の所轄する税務署へ提出します。
申請が通れば、その後税務署より「被災酒類の確認書」が送付されます。
⑶仕入業者へ 確認書を提出
「被災酒類の確認書」を受け取ったら、それを今度は納税義務者である仕入業者へ提出します。こうすることで被災して割れたお酒の酒税相当額の還付を受けることができます。
ここで注意したいのが、場合によっては救済処置を受けられない可能性もあるということ。平成30年6月に発表された国税局税務署の案内書「被災酒類の酒税額の救済措置について」によると、税金の還付が受けられない条件として以下の2点があげられています。
≪注意事項≫
①被災酒類に係る酒税額が、酒類製造者ごとに500円に満たない場合は、救済措置を受けることができません。
②保険金、損害賠償金等により、被災した酒類の損失の補填を受ける場合は、所持していた酒類の酒税額から、補填を受けた金額を差し引いた額が救済の対象になります。
上記に当てはまる場合は酒税の返金制度を受けることができないので注意してください。
なお、申請に必要な書類は最寄りの税務署から受け取ることもできますが、下記リンク先の国税庁ホームページからダウンロードすることができます。
【国税庁公式HP】http://www.nta.go.jp/about/organization/osaka/topics/saigai/h30/01.htm
03.それどころではない!という方は組合に協力を。
これまで、申請の方法をお伝えしてきましたが、震災後と言えばほとんどの場合が建物の修復やガス・水道が止まるトラブルで、手続きするための余地がないかと思われます。そんな時は「酒販組合」に協力してもらうことで、還付に必要な確認手続きを手伝ってもらうことができます。
●酒販組合の協力で負担を最小限に。
酒販組合とは、全国の酒屋をはじめとする酒類の小売業者の組合のこと。
「酒類業組合法」に基づいて結成された酒税の保全などを目的とした組織です。
やむをえず割れたお酒の数量を把握できない店舗はこの組合の協力により、必要な手続きを最小限に抑えることが可能です。税務署に提出している「酒類の販売数量等報告書」などの資料をもとに必要項目を確認し酒類製造者を設定。その後、酒販組合を通じてこの「確認書」を指定酒類製造者に提出します。指定酒類製造者がまとめて税務署に還付申告をすることで、税務署に戻ってきた酒税分が酒販組合伝いに各飲食店に支払われる形となるのです。
酒販組合の連絡先は以下URL先のホームページをご覧ください。
【全国小売酒販組合中央会】http://ajlma.or.jp/
まとめ
北税務署 〒530-8585 大阪市北区南扇町7番13号 電話番号:06(6313)3371 | |
あ | 梅田1~3丁目、扇町1・2丁目 |
か | 角田町、神山町、紅梅町、小松原町 |
さ | 末広町、菅原町、曽根崎1・2丁目、曽根崎新地1・2丁目 |
た | 太融寺町、天神西町、天神橋1~4丁目、天満1~4丁目、天満橋1~3丁目、堂島1~3丁目、堂島浜1・2丁目、同心1・2丁目、堂山町、兎我野町 |
な | 中之島1~6丁目、西天満1~6丁目、野崎町 |
は | 万歳町、東天満1・2丁目 |
ま | 松ケ枝町、南扇町、南森町1・2丁目 |
や | 山崎町、与力町 |
大淀税務署 〒531-0071 大阪市北区中津1丁目5番16号 電話番号:06(6372)7221 | |
あ | 池田町、浮田1・2丁目、大深町、大淀北1・2丁目、大淀中1~5丁目、大淀南1~3丁目 |
か | 菅栄町、黒崎町、国分寺1・2丁目 |
さ | 芝田1・2丁目 |
た | 茶屋町、鶴野町、天神橋5~8丁目、豊崎1~7丁目 |
な | 中崎1~3丁目、中崎西1~4丁目、中津1~7丁目、長柄中1~3丁目、長柄西1・2丁目、長柄東1~3丁目、浪花町、錦町 |
は | 樋之口町、本庄西1~3丁目、本庄東1~3丁目 |
東税務署 〒540-8557 大阪市中央区大手前1丁目5番63号 大阪合同庁舎第3号館 電話番号:06(6942)1101 | |
あ | 安土町1~3丁目、淡路町1~4丁目、和泉町1・2丁目、糸屋町1・2丁目、今橋1~4丁目、上町、上町1丁目、内淡路町1~3丁目、内久宝寺町1~4丁目、内平野町1~3丁目、内本町1・2丁目、大手通1~3丁目、大手前1~4丁目 、大阪城 |
か | 瓦町1~4丁目、神崎町、北久宝寺町1~4丁目、北新町、北浜1~4丁目、北浜東、久太郎町1~4丁目、高麗橋1~4丁目、粉川町、石町1・2丁目 |
さ | 材木町、島町1・2丁目、十二軒町、城見1・2丁目、船場中央1~4丁目 |
た | 谷町1~5丁目、玉造1・2丁目、釣鐘町1・2丁目、天満橋京町、常盤町1・2丁目、徳井町1・2丁目、道修町1~4丁目 |
な | 農人橋1~3丁目 |
は | 博労町1~4丁目、馬場町、東高麗橋、平野町1~4丁目、備後町1~4丁目、伏見町1~4丁目、船越町1・2丁目、法円坂1・2丁目、本町1~4丁目、本町橋 |
ま | 松屋町住吉、南久宝寺町1~4丁目、南新町1・ 2丁目、南本町1 ~4丁目、森ノ宮中央1・ 2丁目 |
や | 鎗屋町1・2丁目 |
ら | 龍造寺町 |
南税務署 〒542-8586 大阪市中央区谷町7丁目5番23号 電話番号:06(6768)4881 | |
あ | 安堂寺町1・2丁目、上汐1・2丁目、上本町西1~5丁目 |
か | 瓦屋町1~3丁目、高津1~3丁目 |
さ | 島之内1・2丁目、心斎橋筋1・2丁目、千日前1・2丁目、宗右衛門町 |
た | 谷町6~9丁目、東平1・2丁目、道頓堀1・2丁目 |
な | 中寺1・2丁目、難波1~5丁目、難波千日前、西心斎橋1・2丁目、日本橋1・2丁目 |
は | 東心斎橋1・2丁目 |
ま | 松屋町、南船場1~4丁目 |
※参照元:https://www.nta.go.jp/about/organization/osaka/location/besshi/osaka.htm
※本コラムの情報は2018年9月現在の情報となります。
【参考HP】
・全国小売酒販組合中央会 http://ajlma.or.jp/
・国税庁 http://www.ajlma.or.jp/outline/index.html