『弱虫ペダル』のリーダー論①~強いチームワークが必要~

今回のコラムでは飲食店で働く現場人の皆さんとともに「他店よりも強い店づくり」をテーマにスキルアップの方法を考察していきたいと思います。

一概にスキルアップといっても、接客、調理など様々な面で鍛えるべき能力があるかと思いますが、今回はお店全体の稼働率を大幅にアップさせるチームワークについてお話します。

そこで、題材としたいのが、人気の週刊誌『週間少年チャンピオン』が掲載していたマンガ『弱虫ペダル』です。

©渡辺航『弱虫ペダル』とは?

人気マンガ・アニメ『弱虫ペダル』で学ぶ究極のリーダー論①~勝てる飲食店は強いチームワークが必要~
『弱虫ペダル』は、漫画家渡辺航さんが描く少年漫画作品です。秋田書店の『週刊少年チャンピオン』に2018年の第12号から連載しており、今年10月5日の時点で単行本は58巻まで刊行、累計発行部数は1700万部を超える人気っぷり。現在アニメとしても放送中で、舞台化もされています。

こちらの作品は「仲間と協力して頂点を目指す」少年漫画の王道でもある“スポ根”系マンガです。
一言で言ってしまうと、スポーツとは全く無縁で「ぼっちでコミュ障の超アニメオタク」な主人公「小野田坂道」が高校に入学後、自転車部に入部してロードレースに挑戦するお話です。

自転車のレースといえば、「個人競技」というイメージが強いかもしれませんが、実はレースの戦略には役割分担が重要となっています。『弱虫ペダル』は、レースにおける団体戦を中心に描いているため、登場人物の個性や、各高校のチームワークが、臨場感と緊迫感のある試合レースの中で「アツく」描かれているのが、ファンから評判となっています。

飲食店とチームワークとモチベーション

人気マンガ・アニメ『弱虫ペダル』で学ぶ究極のリーダー論①~勝てる飲食店は強いチームワークが必要~
かつて飲食店勤務を5年経験したことのある筆者の観点で、この『弱虫ペダル』という作品を読んでいると「チームワークを築き、且つ常により高いモチベーションを維持すること」は、団体スポーツだけでなく飲食店勤務においても同じことが言えると気づきました。

飲食店の現場にとってもチームワークは欠かせません。なぜなら売上を上げる・お客様に満足していただくためには1人の能力ではとうてい成し遂げられないからです。

例えば…
料理が美味しい、値段が安い、メニューの種類が豊富、接客上手なスタッフがいる

こんな良いとこ尽くしの条件が揃った飲食店であれば、
お客様の期待値も高くなりますし「当然満足できるだろう。」と私たちも考えますよね。

しかし、働いているスタッフの動きや意思疎通が悪ければ、ドリンクや料理の提供は遅くなり、ホールとキッチンのコミュニケーション不足によってオーダーの行き違いも多発してしまいます。焦ることでさらにミスは増え、結果どんな良いお店であっても、お客様1人1人に満足していただけるサービスを提供することは難しくなってしまうのです。

人気マンガ・アニメ『弱虫ペダル』で学ぶ究極のリーダー論①~勝てる飲食店は強いチームワークが必要~
(出典:渡辺航『弱虫ペダル』)

株式会社武内コンサルティングの代表武内幸夫氏は「メニューも素晴らしく、スタッフ個々の能力も高いが売上はなかなか上がらない。」とお悩みの飲食店経営者から依頼を受け、秘密の覆面調査による現場分析と経営コンサルを行っています。

覆面調査をする際は、以下の内容を真っ先にチェックすると武内氏は自著のコラムで述べています。

1.店長がリーダーシップを取り、指示を常に出しているかどうか?

2.朝礼を行っているかどうか?

3.開店前に接客用語や経営理念などの唱和を行い声出しの練習をしているか?

4.店内は清潔感があり、清掃が店内外ともに行き届いているかどうか?

5.ユニフォームや服装は整っているかどうか?

6.立ち位置が決まっているかどうか?

7.声を出して確認し合いながら仕事をしているか?

8.ミスや抜けがないようにお互いがフォローし合っているか?

9.「お願いします」の一言を言っているかどうか?

10.パッシングを皆で協力して行っているかどうか?

11.スタッフ同士が目を合わせて会話をしているかどうか?

上記の内容を見てみると、個々のスタッフの動きだけではなく
店長含む店舗スタッフ全体のチームワークを確認されていることがわかります。

「チームワークがない店は、楽しそうでないです。作業をやっているだけ。営業時間中に問題が起こらなければそれで由。これでは、売上は上がらないでしょう。接客サービスすることが楽しい。お客様の笑顔を見るのが楽しい。お客様が満足されるのがうれしいと思えるスタッフを育てることが大事だと思います。」と経営コンサルタントの武内氏は述べています。

チームワークがいかに飲食店のクオリティ向上に重要視されているかが分かりますね。

飲食店のスタッフ育成は店長にかかっている!

人気マンガ・アニメ『弱虫ペダル』で学ぶ究極のリーダー論①~勝てる飲食店は強いチームワークが必要~
店のスタッフ育成は店長にかかっているといっても過言ではありません。

「やる気なくなるし。もうそろそろ見切りつけようかな~。」
「言い方あるでしょ、逆にモチベ―ション下がるわぁ。」

仕事をしていると、こんな言葉、言ったり言われたりすることありますよね。この目には見えない気持ちの存在が、チーム(店舗)の成果に大きく関係していることを私たちは普段、身に染みて感じているはずです。

『弱虫ペダル』のレースように、飲食店を1つのチームとして考えたとき、「メンバー」であるスタッフを率いる店長(リーダー)は、自分のパフォーマンスだけでなくメンバーのモチベーションを管理することも重要です。

人気マンガ・アニメ『弱虫ペダル』で学ぶ究極のリーダー論①~勝てる飲食店は強いチームワークが必要~
(出典:渡辺航『弱虫ペダル』)

※働いていると怒られたり、失敗して自己嫌悪に陥ったりするなど、挫折や断念、やる気の消耗によってモチベーションがガクッと下がってしまうことがあります。

特に精神的・体力的に追い詰められた状況では、それぞれのメンバーが普段と同じモチベーションをいかに持ち続けられるかが、その店の成否のカギを分けてしまうこともあります。

スタッフの個性と役割をきちんと知っていますか?

人気マンガ・アニメ『弱虫ペダル』で学ぶ究極のリーダー論①~勝てる飲食店は強いチームワークが必要~

目的の達成のために、つらい時こそ、モチベーションを維持できること。
それは決して簡単ではありませんが、チームワークがあれば不可能ではありません。

月間1000万の売上達成といった高い成果を上げ続けるためには、チーム全体の目標と同時に、スタッフの個性に合わせた役割を与えること、個々の目標をうまく設定し達成に向けたモチベーションを維持していくことが大切です。

そこでメンバーを引っ張っていく存在の店長が知っておきたい「チームワーク」「モチベーション」が、どう成果に結びつくかが描かれているのが『弱虫ペダル』です。

主人公の小野田坂道が所属する高校の自転車競技部は、全国の強豪チームが集まるインターハイレースに出場します。インターハイでチームメンバーの6名は山道を含む箱根の長距離走行区間を、3日間で走破しなければなりません。

そこで、レースにおいてチームメンバーには、それぞれの個性に合った役割が課せられます。
1つめは、平らな道を高速走行を得意とする「スプリンター」、2つめは斜度のある山道の上り坂に強い「クライマー」。そして3つめは全区間に対応できる安定した実力を持つ「オールラウンダー」といったポジションです。

人気マンガ・アニメ『弱虫ペダル』で学ぶ究極のリーダー論①~勝てる飲食店は強いチームワークが必要~

1位で完走をするために、各メンバーは集団で行動し自分が得意とする分野で、交互にチームを引っ張りながら3日間にわたるレースでの勝利を目指します。思うようには行かず他チームの転倒に巻き込まれ、大幅に遅れたメンバーを「待つか?それとも、置いていくか?」といった厳しい選択を迫られることもあり得ます。

飲食の現場も、接客が得意なホール、料理上手なキッチン、全体感を把握できるバイトリーダーのようにそれぞれに役割が与えられますよね。また、営業中様々な場面において苦渋の選択を迫られる分岐点もあります。

要するにロードレース同様、飲食の営業においても、たった1人の判断・パフォーマンスがチーム全体の動き=店の売上を左右することが言えます。最高のチームワークで互いにフォローし合い協力すれば月間1000万の達成に必要な一日の売上げ33万を得ることも不可能ではないと考えられます。

【良いチームワークを築くためにできること】

・厨房エースが休みで新人しか出勤していない時、店主は店をどう回していくか。

→料理が作れなくとも皿だしや簡単な調理のサポートをしてもらう。

・ホールのスタッフがオーダーミスばかりするとき、どうするべきか。

→注文を紙面だけでなく、声に出してオーダーを通す。厨房側から確認も入れる。

→精神面に問題がありモチベーションが低下しているなら対話をして根本の原因を解決する。

・週末の11名のお客様をホールは10名席と16名席どちらに入れるべきか。

→まず店長に相談。10名席にお通しする場合は提供だけでもスムーズに、対応は気持ちよく!

・そもそも全体の意思統一が取れていない。

→毎日の朝礼、月1度のミーティングを行い店としての目標を周知させる。

・忙しすぎてグラスが足りない!溜まりに溜まりゆく洗い物をどう片づけていくか。

→ホールもキッチンも店長も、全体で回して洗えばいい!店長が早いなら店長がやってもOK!

・団体19時50分退店→20時から新規団体来店の席をいかに早く片付け・準備するか。

→片付けが終わるよう、各パート1人ずつ残して3分間だけスタッフ総動員!

・焼き物ばかり注文が入ってそこだけ回らない時、効率良くするため何ができるか。

→全体共有しホールはスピードメニューをおすすめする。お客様に少し時間かかることを伝える。

『弱虫ペダル』からは、その時その場で最善の選択をするためにチームメンバーが何を得意とし、苦手とするのかを知ること。勝利に導くために互いの個性を生かした戦略を立てること。そして、何かトラブルが起こった際にもお互いを信じる気持ちを持つことの大切さが描かれています。
そして、作中のインターハイ優勝チームに共通して言えるのは、各チームの主将に強いリーダーシップがあることです。

このことから分かるように、メンバーの個性を知り、勝つためのプランを立てるという行動が勝利の決め手ではないかと筆者は考えます。

弱虫ペダルから学ぶリーダーシップ

人気マンガ・アニメ『弱虫ペダル』で学ぶ究極のリーダー論①~勝てる飲食店は強いチームワークが必要~
以上、『弱虫ペダル』から、勝てる飲食店は強いリーダーシップによるチームワークとモチベーションの高さが必要であるということが考察できました。

気になるあの飲食店が売れる理由は、もしかすると店長のリーダーシップが優れているからかもしれません。

今回の内容を踏まえ、次回のコラムでは部下や後輩をもつマネージャーや店長、バイトリーダーの方々に向けて、指導者・リーダーのあるべき姿についてお話します。個性豊かな各キャラクター特有のリーダー性を分類し、飲食店で働く現場人に必要な要素を考察していきたいと思います。

■ファカルティズ・コラム-ビジネス・スキルを高めるヒント集:『弱虫ペダル』で考えるリーダーシップ
http://www.keiomcc.net/faculty-blog/2014/04/post-298.html
■サイボウズ式
https://cybozushiki.cybozu.co.jp/?p=5327
■PRTIMES:「シリーズ1,700万部突破!今最も熱いスポーツ少年漫画『弱虫ペダル』遂に大台50巻到達!4/13(木)から東京飯田橋で複製原画展開催!! さらに4/17(月)には渡辺航先生のサイン会開催! 」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000051.000005279.html
■経営MAGAZINE【売上の上がらない飲食店】チームワークのない店 http://www.keiei.ne.jp/list/column.html?cid=10071703

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