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大阪・黒門市場に、京都・錦市場、神戸・南京町。観光客が増える名所で、飲食店が失敗しがちな集客のワナ④

今回は観光スポット界隈の飲食店が、どうすれば継続的な集客を成功させることができるのか、その方法をシリーズでお届けしています。

とくに主張したいことは、地域のブランド力や独自のコンテンツをうちだすことで、国内・海外の旅行客と地元の常連客どちらもが楽しめるのではないか、という第三の道です。

前回のコラムでは、常連客・地元客と観光客・旅行客のニーズをそれぞれ比較しながら、どちらの声にも応じている店舗の事例を紹介しました。

ニーズを簡単に振り返っておきましょう。
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*常連客・地元客:店主・スタッフの人柄、割引やメニュー表にはない料理といった日常的な利用のしやすさを重視。

*観光客・旅行客:豪華な料理や郷土料理、地元の名物料理など、非日常的な楽しみ方を重視。

今回からは、かつて筆者が取材をした店舗の中で、どちらのニーズにも上手く対応しているケースを紹介します。

インタビュー事例:泉州の居酒屋店主様

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話を伺ったのは、大阪の泉州エリアで居酒屋を営む店主。

席数は30席ほど。7割~8割ほどが常連客で、あとは観光客を含む新規顧客。満席にならない日はほとんどない人気店で、その秘訣を教わりました。

まず料理について、ポイントがあるそうです。

「メニュー数は200くらいありますけど、特に日替わりメニューが多いんです。50以上は日替わりですね。もちろん昨日と同じのもありますけど。お客さんが飽きないように工夫しています。イチオシは、岸和田や貝塚、泉佐野とか泉州エリアの食材を使った料理です。今ならガッチョの唐揚げですね。料理ではないですが、和歌山の地ビール・ナギサビールも置いてますよ。」

常連客の心は日替わりメニューでつかみ、観光客や新規顧客には郷土料理を食べてもらう。メニュー数が多いので食べ飽きることはなく、地元グルメを看板メニューとして魅力も打ち出せています。

さらに店主自らが人柄のことを語ってくれたわけではありませんが、筆者が関心を持ったポイントがあります。

目の前に、今まで目にしたことのない鹿児島のレアな芋焼酎を出してくださいました。メニュー表には、一般的な居酒屋とはさほど変わらないドリンク数。しかし、ふたを開ければ違いました。

「芋焼酎が好きなんですよ。ぼくが飲みたいだけなんですけどね(笑)。メニュー表に載せていない銘柄だけで、30種類はあります。なくなる度に、ぼくが飲みたい焼酎を入れるんですよ。焼酎好きの常連さんには喜ばれていますね。でも日本酒もリキュールも、メニュー表に載せていないものありますよ。その方が多いかも(笑)。来てもらう度に違うお酒が飲めます。」

店主の趣味と語ってくれましたが、自分が顧客の立場なら、いつも行っても楽しめて通いたくなる店はどんなサービスをしているのかを考え抜いている、そんな印象を言葉の節々から受け取れました。

さらに営業時間はAM3時まで。終電を過ぎて深夜になってから訪れるお客様も少なくないとか。遅くまでお酒を飲める店が少ないため、地元客のたまり場になっているそうです。

だんじり祭りが有名なだけあって、つながりや結束力を大切にする地域性が現れていると考えれます。

では観光客をはじめ新規客は、どのように集客しているのでしょうか。

「旅行で来られるお客さんには、とくに集客は対策していません。ほぼ常連のお客さんが連れてきてくれるか、紹介で来られるので困っていません。地元のお客さんに限って言えば、新規で来てもらえるように、ローカルな地域誌には掲載をさせてもらっています。田舎ということもあって、インターネットよりも反響があるんですよ。」

地元住民の集客に成功すれば、旅行客は紹介をしてもらえる。決して短期的な集客は狙わず、末永く店を繁盛させるための集客を考えた結果だそうです。その証拠に、常連客から数珠つなぎで訪れた顧客は、中長期的に通い続けてくれるとのこと。

さいごに

今回紹介をした店舗は、常連客・地元客と観光客・旅行客どちらのニーズにも応えることはもちろん、周辺の競合店舗とうまく差別化に成功させています。ほかの店にはない料理やお酒が楽しめて、痒い所に手が届くサービスも受けられることで、次々と人が集まってきているのではないでしょうか。

次回は、都心部にある店舗のインタビューもお届けします。地方都市とは違った対策を取り上げていきます。

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