なぜ儲かる店は、ゼロ(無料)円で集客できるのか?(後編)
「なぜ儲かる店は、ゼロ(無料)円で集客できるのか?」(後編)
どうすればコストをかけなくても集客を成功させることができるのか、その考え方とノウハウについてコラムをお届けしています。
前回の内容を振り返っておきましょう。 飲食店がゼロ(無料)円でアイデアを生み出すコツについてテーマパークの「ひらパー」(大阪府枚方市)がV字回復をした事例をヒントにしてきました。
遊園地の成功事例から飲食業界でも活かせるポイントは2つあります。
・すでにあるコンテンツ(料理・スタッフ・空間)を活用すれば、コストをかける必要はない。無料で対策ができる。
・アイデアは「美味しい食事を楽しく食べられること」という顧客ニーズの本質を抑えるところからスタートすれば、いくらでも量産できる。
この要点を踏まえて上で、お店でしかできない商品・サービスを考えていくことが求められます。 今回は集客に成功した具体的な事例を紹介していきます。
無料で集客するアイデアを量産せよ
成功事例を取り上げる前に、無料できる対策にどんなものがあるでしょうか。 一例を挙げておきましょう。
・新メニューを開発する。
・新メニューの試食会を開催する。
・常連のお客様にリクエストやご要望をヒアリングする。
・グルメサイトやSNSの口コミ投稿を見て、お客様の声をチェック。改善点や修正点を見つけて実行する。
・SNSの投稿を積極的に行う。
・SNSでお客様とコミュニケーションをする。
・ポップやメニューをリニューアルする。
・全スタッフによる笑顔の接客を教育する。
・近隣の店舗に挨拶をする。
・お客様へ手紙やメール、メッセージをお送りする。
・店内、店外、トイレの清掃をする。
以上となります。 他にも挙げられるとは思いますが、どれも今からすぐに実践できることではないでしょうか。
筆者が先日訪れたパブでは、スポーツ観戦イベントを軸に集客していました。 地元出身のスポーツ選手を応援するスポーツ観戦イベント。スポーツの国際試合にあわせて、出場各国のビールやお酒、料理を提供してスポーツ観戦をするイベントなど、まさに「美味しい食事を楽しく食べられる」環境づくりに成功していますし、どのアイデアに創出にもコストをかけていません。つまり、ほぼ無料で集客に結びつけていることがわかります。
名物料理で集客に成功した沖縄料理店の事例
では、ここで実際のお店の事例を取り上げておきます。
紹介をしたいのは、大阪のミナミにある本格派の沖縄料理店です。 お店を経営する店主に取材をさせて頂きました。
まだオープンして1年なのですが、グルメ激戦区のミナミでオープンするにあたって、まず集客について考えたとのことです。
「ミナミでも沖縄料理店は増えてきましたし、沖縄料理も珍しいものではなくなってきました。今や海ブドウやジーマーミ豆腐、ミミガー、ラフテーとかも身近な食材ですよね。泡盛を出す店も沢山あります。その中でほかの店にはない料理を、看板メニューとして出せないかと考えました。沖縄そばやゴーヤチャンプルーといった料理は定番すぎますし、面白みがない。本場の味から離れてオリジナルにしてしまうと、何の料理かよくわからなくなる。食材も冒険できない。そこで定番料理ではなく、完全オリジナルで沖縄っぽさを出せないかと考えました。本場の沖縄を楽しみつつ、うちでしか味わえないもの。」
店主は沖縄っぽさだけでなく、ミナミで開業するからこそ土地のニーズに合わせて、唯一無二のメニューを考えようと、試行錯誤を重ねました。
「とくに場所が場所なので、2軒目3軒目にも使ってもらいたい。そこで〆にもなるし、アテにも料理ができないか。さらに大阪ということで、出汁好きなお客さんが多い。そういえばミナミで出汁を楽しめる〆と言えばラーメンが主流。ガッツリなコッテリ系が多いから、ちょっと違う路線もありかな。女性のお客さんにも気軽に来て欲しいし、それならスープパスタとかがいいんじゃないか。」
そこで開発されたのが、魚介出汁でとったスープパスタです。 ブラックペッパー、ニンニク、ハーブソルト、オレガノなどのスパイスでホタテやエビ、アサリ、カニなど魚介をスパイシーに味付けて、トマトやコーン、ゴーヤもたっぷりと。そしてリボン型のマカロニをつけて完成。 シークァーサーゆず胡椒、レモン、珊瑚塩と3種の薬味をつけて、南国気分で味わえる〆料理が誕生しました。
ポイントは盛り付けです。 小さなバケツ型の皿に入れて、まるでリゾート地を訪れたような世界観も演出しています。
「ほとんどのお客様が注文されますよ。常連さんも高いリピート率です。バケツの中に、大量の海の幸と野菜がのっているので、一見はなんの料理がわかりません。まるで宝箱を開けるようにして食べるのが楽しいんです。他では見かけない料理なので、話題を呼んで、この料理を求めてお客様がいらっしゃいます。」
さいごに
ほかにも、こちらのお店では沖縄のお酒(泡盛・カクテル・ビール)限定で飲み放題メニューを提供するなど、オリジナル商品を提供しています。
このような対策によってお客様にとっても、数多いミナミの沖縄料理店の中でも唯一無二の場所となっているのではないでしょうか。
お客様が求めていることを基軸に考えれば、必ず集客できるアイデアが出てくる。 そのことを証明してくれるいい事例でしょう。
もちろん、考案するうえでコストはかかっていません。 今回の事例を手がかりにしながら、ぜひ無料でできる集客案を考えてみてください。