餃子×日本酒の『餃子薫風』(大阪・堺東)で堺出身のライターが食レポ!
百舌鳥・古市古墳群が世界遺産に登録された堺市。
堺市生まれ・堺市育ちの筆者にとって、これほど光栄なことはありません。
古代だけではなく、中世から近世・近代・現代に至るまで、
堺市は、歴史的な魅力が凝縮された街です。
今回は堺の文化でも、グルメに注目。
堺といえば、千利休が創設した茶文化が有名です。くるみ餅・けし餅・ニッキ餅といった和菓子のほか白味噌料理、アナゴ料理など名物も沢山あります。
なかでも堺を代表する、意外な2つの食文化があります。
餃子と日本酒です。
詳しくは後述しますが、日本酒と餃子を提供する飲食店を特集します。
堺市の繁華街にある老舗『餃子 薫風』です。
『餃子 薫風』に訪れて食事をさせて頂きましたので、ここではグルメレポートの様子をお届けします。
グルメレポートをより理解して頂くために、堺の食文化である餃子と日本酒について、前置きで解説します。
堺の餃子・日本酒文化についてご存知の方は、グルメレポートからご覧ください。
餃子消費量が全国TOP3の堺市
堺市の食文化と聞いて、餃子と日本酒が挙がるのは驚きの事実かもしれません。
じつは両者とも堺市を代表するグルメなのです。
まずは餃子について見ていきましょう。
2017年、総務省が実施した「家計調査」で、生餃子・焼餃子の購入額が多い都道府県庁所在市及び政令指定都市がランキングにて発表されました。
1位は栃木県宇都宮市で4,259円。
2位には静岡県浜松市が3,580円と続きました。
そして3位に3,092円で、トップ3入りを果たしたのが堺市です。
【参照:総務省 家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2016年(平成28年)~2018年(平成30年)平均)】
餃子の2大都市宇都宮市・浜松市には差をつけられていますが、全国的に見ればトップレベル。堺市民が餃子をこよなく愛していることがわかります。
外食でも家庭でも堺市民は、餃子を食べる習慣があるようです。あと、数年前からの餃子ブームも追い風になっています。
堺市には餃子を専門にした人気店が存在します。例えば、餃子BAR『杉屋餃子』とテイクアウト専門の『白ごはん専門餃子 龍華山 家原寺本店』です。
『杉屋餃子』
『白ごはん専門餃子 龍華山 家原寺本店』
チェーン店を含めると、堺市内には餃子を販売するお店が数多く存在しています。筆者自身も餃子は、実家で定番になっていた夕食の献立の1つです。
酒の町として栄えた堺市
餃子に続いて、日本酒についても解説します。
堺市内には、酒蔵が1つだげあります。
堺泉酒造有限会社(https://sennorikyu-nihonshu.jp/)です。
誕生したのは2014年のこと。
さかのぼること44年。
堺市内の酒造りは息絶えました。
1971年のことです。
しかし堺市はかつて日本国内でも有数の銘醸地として栄えていました。堺における酒造りの歴史は、中世以降。江戸時代には菱垣廻船で運ばれて、江戸の武士や町人に”くだり酒”として好まれていました。
明治13年以降、95軒もあった蔵元数が下降の一途を辿っていきます。
そんな壊滅状態にあった酒文化を、復活させたのが堺泉酒造です。
2015年からは、本格的に生産を開始。
茶の湯を確立した利休翁の名を借りて「千利休」という日本酒づくりに着手します。
堺市内の酒屋・飲食店を中心に、販路を拡大している段階です。
今後「千利休」が、全国に普及していくことに期待が寄せられています。
堺市民が大好きな餃子と、歴史的に高く、評価されてきた日本酒。
どちらも楽しめる、そんな興味深いお店が、今回取り上げる『餃子 薫風』です。
餃子をアテに、銘酒「千利休」を飲めるお店として話題を集めています。
大変、お待たせいたしました。
『餃子 薫風』のグルメレポートをご覧ください。
堺の食文化を『餃子 薫風』で味わい尽くせ
土曜日の昼下がり。
久々に会うT氏と南海電鉄『堺東駅』につて合流。
いわゆるゼロ次会を近隣の立ち飲み屋で開催して、『餃子 薫風』へ足を運びました。
かけつけ3杯をひっかけた2名は、ほろ酔い気分です。
アーケード街「堺銀座通り」の中にお店はありました。
ここには街場の居酒屋やレストランが集まっています。
「堺銀座通り」商店街にある『餃子 薫風』
お店で友人3名と待ち合わせ。
18時30分にして、すでに混みあっています。
各メディア・TVで取材されているだけあって人気です。
お客さんの半数は、男女のカップル。
そして半数は仕事仲間で酒宴をしている様子です。
カウンター席は、満席。
2つあるテーブル席の1つに布陣させてもらいました。
まずはドリンク選び。
もちろん筆者は、「千利休」を狙い撃ち。
純米吟醸・特別純米・しぼりたて・大吟醸というラインナップがそろっています。
純米吟醸を頂くことにしましょう。
「千利休 純米吟醸」
ワイングラスで出してくださいました。
今やスタンダードになってきましたね。
御神酒を、ワイングラスで喉を潤すスタイル。
乾杯をして、さっそく頂きます。
スッキリとして滑らか。
優しい甘みに包まれます。
落ち着いた味わいです。
ガツンとくるような辛口好きには不向きでしょう。
上品に吟味したいときにピッタリだと感じました。
ここから餃子の出番です。
餃子の種類は、9種類。
まずは定番の「焼き餃子」から実食して行きましょう。
「焼き餃子」(1人前・350円) *注文は2人前~
こちらの「焼き餃子」は、いわゆる一口餃子。
小ぶりのため注文は、2人前からとなっています。
つけるのは味噌ダレか醤油ダレ。
しっかりと焼き目をつけた焼き加減が特徴です。
ゆえにバリっとした食感で、味わせてくれます。
野菜が多めなのでしょうか。キャベツやニラの甘みが広がります。
同席したT氏が、もっともスタンダードな「焼き餃子」の虜となり、この後、リピート注文をすることになります。
「しそ餃子」(460円)
「唐からし餃子」(480円)
ここから創作系の餃子にも挑戦。
しその葉ならではの風味で味わう「しそ餃子」。
餃子は、食感と味だけではなく、香りでも楽しめるのだと気づかされます。
日本酒あってこその発見です。
そしてピリッと舌を刺激する「唐がらし餃子」。
これはビールもしくはハイボールでも合うでしょう。
辛いけど、ネギマヨネーズのおかげで中和されます。
「チーズ餃子」(460円)
「コーン餃子」(460円)
続いて、こんがりと焼かれた「チーズ餃子」。
そして三角形をした「コーン餃子」。
どちらも子どもウケ必至でしょう。
おやつ感覚で、サクサクと口に入っていってしまう、やんちゃな餃子たちです。
「水餃子」(460円)
一通り焼き系を制覇した後、「水餃子」にも挑戦。
これは・・・餃子というよりも、シューマイ寄りでしょうか。
水餃子にすることで、焼きでは感じなかった肉の旨味が、しっかりと伝わってきます。
餃子に沁み込んだ肉汁が、ジュワジュワ~と広がっていく様子が感じられます。
「千利休 特別純米」
ここで、もう1杯頂きます。
「特別純米」。
優しいながらも、しっかりと日本酒らしい、お米の甘さ、旨味を感じる1杯です。
クセがなく、酸味も絶妙なので、料理の邪魔もしませんね。
一歩引いた感じのように見える日本酒ですが、むしろ嫌な主張をしない、凛とした存在感があります。
「豚キムチ炒め」(780円)
「青ねぎ薫ちゃん焼き」(1,250円)
最後の2品は、こちら。
豚キムチ炒めに卵をしいた「豚キムチ炒め」。
オムレツ感覚で食べられる一品です。
キムチの辛さが、半熟になった卵によって、巧妙なほどマイルドに仕上がっています。
ご飯でも麺でも何でもいいから炭水化物を欲するメニューでした。
〆は、自慢の料理だというこちら。
「青ねぎ薫ちゃん焼き」。
お好み焼きでもネギ焼きでもない、完全創作の粉もんです。
鉄板で焼いた山芋と、マヨネーズをベースにして、たっぷりの青ネギと卵を乗せた薫ちゃん焼き。
もんじゃ焼きのようにして食しました。
味わったことあるようでない、未体験の美味しさでした。
まさに、このお店でしか出会えない味。
シャキシャキの青ネギに、粘りのきいた山芋、そしてトロッと絡む卵。
すべての食材が活きていました。
ガッツリし過ぎていないので、餃子に一品料理、そして〆料理まで、バラエティーに富んだ料理を頂けました。
さいごに
グルメレポートで掲載した餃子以外にも、餃子を追加オーダーした結果、堺市民の餃子の年間消費量である3,092円を、はるかにオーバーしました。食べだしたら止まりませんでした。
訪れた客を虜にさせる『餃子 薫風』。こちらは堺市で20年以上続く名店なんです。餃子好きの堺市民の胃袋を支えてきたお店。
数年前に、先代のオーナーから現在の女将さんへと引き継がれました。
その女将さんが、なんと堺泉酒造の代表者の娘様ということを知って、驚かされました。
お美しくて、とても素敵な女将さんです。店内が繫盛していて、あまりお話する時間はありませんでしたが、居心地の良くてつい通ってしまう常連さんの気持ちがわかります。
堺市で餃子と「千利休」を味わえるのは、このお店しかありません。
百舌鳥古墳群や千利休、チンチン電車など、観光で堺東を訪れた際は、ぜひ寄ってみて下さい。
今回の店舗情報
- 店名:
- 『餃子 薫風』
- 住所:
- 大阪府堺市堺区中瓦町1-3-6 エンショービル2 1F
- 営業日:
- 月~土・祝前日18:00~22:30 (L.O 21:30)
- 定休日:
- 日・祝日
- 電話番号:
- 072-224-2147