ソーシャルリクルーティングとは|欲しい人材をSNSで採用をする新手法
慢性的な人手不足が続いている飲食業界。
2019年2月期決算⁽¹⁾では、外食大手6社のうち4社が減益となりました。低迷している原因に、人材不足による人件費増加と、材料高が挙げられています。
売上を維持したとしても、コスト高によって利益が圧迫される問題が生じています。人手不足を解決するためには、従業員を採用しなければなりません。
しかし多くの飲食店が、採用活動に苦戦を強いられている状況です。今回は、ソーシャルリクルーティングという、SNSを活かした採用手法にフォーカスします。
SNSは集客だけではなく、人材採用にも使えます。ソーシャルリクルーティングによって人材不足を解消する道を、シリーズで探っていきます。前編では、飲食業界における人手不足問題と、ソーシャルリクルーティングの基本的な知識を学んでいきましょう。
外食産業における人材不足問題
農林水産省の調査⁽²⁾によれば、飲食店・宿泊業の欠員率は全産業と比べて2倍以上高く、 外食ではパート労働者不足が深刻になっていることが指摘されています。
人手が足りなくなる原因は、離職率の高さが挙げられます。大学卒業者における就職後3年目までの離職率は、宿泊業、飲食サービス業で50.2%。全産業の32.2%に比べると、従業員が定着しにくい職場であることがわかります。
原因は離職率が高いだけではありません。求人に応募がないという問題もあります。新規採用ができず、人離れが加速しているのが飲食業界の現状です。
給与の低さやハードワーク、残業が、人材確保を難しくさせていると言われていますが、過重労働を招いているのは、人材不足だからという見方もあり、悪循環に陥っています。
しかし応募がないと立ち止まっていても、何も解決はしません。人材獲得をするためには、他店や他業界がしてないような対策をとっていく必要があります。
人材が集まる仕組みと、人材が辞めない仕組みの両方が求められます。
「食ジョブコラム~食✕職~」でも、今までどちらの仕組みづくりについても紹介してきました。
<人材が集まる仕組み>
<人材が辞めない仕組み>
今回、紹介をしたいのは人材を集める仕組みとして注目されるソーシャルリクルーティングです。
ソーシャルリクルーティングとは
ソーシャルリクルーティングの意味や種類、メリットについて解説をします。
ソーシャルリクルーティングの意味
ソーシャルリクルーティングとは、SNS(ソーシャルネットワークサービス)を使った採用活動のことです。
日本において、導入している企業は増えていますが、ソーシャルリクルーティングのみで採用活動をしているケースはあまり見かけません。
求人サイト・媒体と組み合わせて、使用されているリクルーティング活動です。FacebookやTwitter、Instagram、LINE、LinkedInなどのSNSで、求職者へのアプローチをして、採用へと導いていきます。SNS以外にも、YouTubeの動画メディア、ブログやコラムの自社メディアを活用するケースもあります。
代表的なSNSの特徴や使い方は、今までコラムで紹介してきましたので、ご確認ください。
<Facebook・Twitter>
<Instagram・LINE>
日本でソーシャルリクルーティングが普及し始めたのは、2010年ごろです。IT企業を中心に、即効性のある採用手法として注目されていきました。
ソーシャルリクルーティングのメリット
近年、このようなSNSを使ったソーシャルリクルーティングが人気を集める理由は、3点あります。
1つ目は、コストの安さです。採用活動には、広告掲載料などコストがかかります。しかしSNSであれば、コストを抑えながら情報を発信して、求職者を獲得することが可能です。
2つ目は、採用の決め手になることです。面接や履歴書・職務経歴書だけで、どんな人材かを判断することは決して簡単なことではありません。しかしSNSを通して、求職者に対する理解を深めることが可能です。
さいごに既存の求人媒体ではアプローチできない求職者にも、コンタクトがとれることです。求人サイトに登録していなくても、SNSは利用している求職者がいます。そのようなユーザーに対して、自社の企業や求人情報を発信することができます。
ソーシャルリクルーティングの事例
企業による活用事例を見てみましょう。
<ソフトバンク株式会社>
ソフトバンク株式会社は、Facebookで新卒採用ページを開設しています。
【ソフトバンク 新卒採用】
https://www.facebook.com/softbank.saiyo/
同ページ内では、
- ・社員インタビュー
- ・説明会・インターンシップ・イベント情報案内
- ・インタビュー・説明会・セミナーなどの動画・LIVE配信
といった豊富なコンテンツが日々、ユーザーに対して提供しています。
説明会やインターンシップなどに、Facebookから申し込みをすることが可能です。
SNSでは「いいね!」やシェア、コメントといった反応がユーザーからあります。双方向でコミュニケーションができるポイントが、魅力だと言えるでしょう。言い方を変えれば、ただ情報を届けるだけではなく、ユーザーからのリアクション・評価が得られる情報でなければ意味がないということです。
<スターバックス>
スターバックスは、さまざまなSNSを組み合わせて活用しています。その1が、「Starbucks Partners」という採用専門のFacebookページです。
【Starbucks Partners】
https://www.facebook.com/starbuckspartners/
スターバックスで仕事をするスタッフたちのストーリーを動画で公開しています。
さいごに
ソーシャルリクルーティングは、さまざまな企業で導入されはじめています。FacebookやTwitter、Instagram、LINEなど、さまざまなツールから自社に適したSNSを使って、すぐにでも採用活動をはじめることが可能です。
後編のコラムでは、飲食業界における事例を紹介しています。ソーシャルリクルーティングを実践するポイントについても解説します。