ちょい飲み・サク飲み商戦を勝ち抜くためには? 前編
最近では、「ちょい飲み手帖 vol.4」(http://choinomi.jp/)が発刊されて好調な売れ行き。
三宮・元町・神戸エリアの飲食店で、通常1200円以上のセットが1000円になるグルメ本です。
またファストフード店で有名な「ファーストキッチン」(https://www.first-kitchen.co.jp/menu/)では、アルコールの販売を2017年7月から全国的に展開。
他にもファミリーレストランやコンビニエンスストアなど各外食企業が、このトレンドを商機にして売上拡大を図っています。
一方で居酒屋やレストラン、バーでは、熾烈な競争を強いられている飲食店もあります。
今までハッピーアワーやほろ酔いセットによって集客できていた顧客が流出してしまうためです。潜在顧客を取り逃す可能性も少なくありません。
しかしながら流行に右往左往されて、安易な値引きや価格戦略しても功を奏すことはないでしょう。
では、どうすれば良いのでしょうか。
今回のテーマで探求したいことは、「ちょい飲み」「サク飲み」の可能性です。
3回(前編・中編・後編)にわたってシリーズで考察を展開していきます。
まずは低予算での飲酒文化の系譜を辿った後で、近年の実例を検証します。
最後に、飲食店ができる対策がないかを模索したいと考えています。
「ちょい飲み」「サク飲み」の系譜
「サク飲み」について実用日本語表現辞典で解説されています。
「ちょい飲み」も、ほぼ同意義でしょう。
一般的に使われ始めたのは、2010年前後が目安です。
インターネット上では「ちょい飲み」「サク飲み」を使った記事が、積極的に投稿されるようになります。
例えばグルメ情報サイトの食べログで、「人気のサク飲みスポット「松ぼっくり」@梅田・大阪駅前第1ビル」という口コミを、2010年1月の時点で確認できます。
しかしながら2000年代で使用された形跡はあまりありません。
むしろ主流だったキーワードは「せんべろ」です。
千円でべろべろに酔えるという表現の略称であり、Wikipediaでは以下のように定義されています。
一般には作家の中島らもと編集者の小堀純が、共著の著書『せんべろ探偵が行く』(2003年、ISBN 978-4163595009)で使い始めたのが最初と言われている。
低価格で酒やおつまみ等を提供するという性質上、該当する店には居酒屋や立ち飲みなどが多い。
また飲み歩き情報を発信する「せんべろnet」(https://1000bero.net/)というサイトでは、アンケート調査から、
酒2杯、つまみ1品=1000円以内(参考文献より引用)(3)
という定義をしています。
「せんべろ」で脚光を浴びたのは下町やビジネス街周辺の大衆居酒屋・酒場です。
例えば東京で言えば赤羽、大阪なら十三エリア、神戸では新開地界隈が該当します。
10年ほどかけて全国的に普及していきました。
現在でも、高い人気を誇っています。
そして徐々に台頭してきたのが「ちょい飲み」「サク飲み」です。
違いがわかりずらいのですが、「せんべろ」との差はどこにあるのでしょうか。
次回のコラムで詳しく解説をしていきます。
今回は「ちょい飲み」「サク飲み」に至るまでの歩みを見てきました。
【参考文献・サイト】