お悩み解消!仕事には聴く技術が話す技術より役立つ理由
時にはうまく関係性が築けなかったり、うまく会話ができないことに悩んでしまうということもあるのではないでしょうか。
今回はそんな人付き合いの悩みを解決するコミュニケーションのコツをご紹介します。
キーワードは「傾聴」です。
●話し上手よりも聞き上手が求められる
誰とでも仲良くできる人?人前でうまく話せる人?
または、笑顔を絶やさず愛嬌のいい人?
日経WOMANの読者アンケートでは、「コミュニケーションが取りやすい人はどんな人か?」という問いに対し「最後まで話を聞いてくれる」「気持ちをくんでくれる」「途中で話の腰を折らない」「とても優しくて根気強く話を聞いてくれる」――といった「聴き上手」に対しての評価が8割を占めていたことがわかっています。
「話し上手」よりも「聴き上手」が求められるとはどういうことなのでしょうか。
心理カウンセラーの小宮昇氏は、このことに関し、人間のもつ「自分を表現したいという強い欲求」が大きく関係していると言います。
●人は自己表現で無意識に快感を感じている
聴き上手が求められる理由は、「人はみな自己表現が好きだから」です。
私たちは日々様々な方法で自己表現をしています。
例えば、歌・ダンス、写真、メイク、ファッションといったものから、ツイッターやインスタグラム、FacebookなどSNSの投稿など…
無意識に「自分を表現したいという欲求」を満たそうと生活をしています。
その中でも最も頻繁に行っているのが、「話す」ということ。
心理学上、人間は自分のことを話すとき(但し相手が本音をもって聴いてくれてわかってくれる時に限る)に脳の快感中枢が活性化し快感を感じると言われており、「話したいという欲」が強いのです。
つまりは人は本能レベルで話すことが好きということ。
そうなると自分のことを話し聴いてもらい、受け入れてくれる人は必然的に貴重な存在となりますよね。
これが、「話し上手」より「聴き上手」が求められる所以です。
●聞くと聴くの違いとは?
通常の「聞く」「聴く」では、何が違うのかというと
話し手の想いを共感的に理解し言葉で返すという点に違いがあると筆者は考えます。
例えば、彼女が「雨が降っている」と言ったことに対し、
「聞く」ことをしていた彼氏は「そうだね」と答えたり、自分のことを考えて「出かけるつもりだったけどやめとこう」というかもしれません。(A)
一方で彼氏が『傾聴』していた場合、相手の気持ちにあわせて「本当だ。気が重いね~」と同意したり、優しく返事をしてくれると言えるでしょう。(B)
この例のように言葉によって表現されている話し手の思いに寄り添いながら、理解したことを言葉で返すことが『聴く』ということとなります。ただ相槌を打つだけでなく、こころのやり取りを交わすまでが『傾聴』であり「聴き上手」になることの第一歩なのです。
●傾聴をすると何がいいのか?
まず、得られる効果は「人間関係が円滑になる」ということ。
聴くことをせず、ただ受身となって話を聞いているだけでは「この人、自分のこと興味ないんだな」という印象を持たせてしまいますし、自分の話ばかりしているようでは「この人おしゃべりだなぁ。自分の話しかしない人だな。」と思わせてしまいます。
先ほどでも述べましたが、わたしたちは誰もが皆自分の思いを表現したくてたまらないもの。『傾聴』により、自分のことを受け止めてもらえているとわかると、わたしたちは相手にもっと話したくなり、さらに本音をさらけ出し、距離を縮め信頼関係を構築できます。
●職場における傾聴コミュニケーション
傾聴は、職場でのコミュニケーションをスムーズにする効果もあります。
部下の話を「良い・悪い」で判断し自分の考えを押し付ける上司に、部下は言いたいことが言えず、重要なことも報告しづらくなってしまいまます。
そういった上司は部下や同僚とのコミュニケーションが乏しくなるため互いの意思疎通が難しくなり、失敗や事故につながる可能性が高くなります。
反対に部下の言いたいことを部下の気持ちになって聴くことの出来る上司に部下は正直に何でも話しやすくなります。その結果、意思疎通がスムーズになり互いの信頼関係を深めることができるように。
同じチームで働く同僚、上司と部下など職場上の様々な関係性においても『傾聴』は非常に大切なコミュニケーションの方法なのです。
●傾聴をするコツ
しかし、前提として「共感」と「受容」のスタンスを忘れてはなりません。
ここでいう共感は、話し手の言うことを正しい・正しくないと判断せずに話を聞いて、自分が話し手になったかのようにイメージしその感情を味わうことを意味します。
「どうしても正しくなければならない」と考える人は、自分の主観で物事を白黒つけようと判断し、人の話を素直に聴けない傾向にあります。または、話の流れをコントロールし主導権を握ろうと勝ち負けにこだわる人も同じ。
自分の意見を一旦横に置いておいて、「こういう見方や考え方、感じ方もあるな」と相手に関心を向け話を聴きましょう。
そして、話を聴くときは相手の目を見て「はい」「うん、うん」「そうなんですね」「なるほど」と豊かなリアクションで反応することがポイントです。
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最後に、相手が心のうちをさらけ出してくれたら相手の感情を理解し、それを実際の言葉として返してみてください。これは、話し手をあたかも自分のことのようになって考えなければ、容易にできることではありません。
しかし、しっかり傾聴してもらえた相手は「自分の意見を聴いてもらえた。」「思いを受け入れられた。」という満足感が生まれます。
傾聴にはまず「共感」しようとする姿勢が大切。「あの人は●●だから。」「これまでのルールで決まっているから」と物事や人にレッテルを貼るのではなく、自分の固定概念や持論を一度脱ぎ捨て、白紙になって相手の話を聴くことが必要です。
●おわりに
仕事のコミュニケーションを円滑にする『聴く技術』についてお話しました。
なんとなく人間関係が円滑でない、部下や上司とのコミュニケーションが取れない、お客様とうまく話ができないという方は、もしかすると話し方ではなく聴き方に問題があるのかもしれません。
相手の話に耳を傾け共感する『傾聴』を実践することで
もっと働きやすく成果の出しやすい職場環境を作ってみてはいかがでしょうか。
食ジョブコラム~食✕職~では、このほかにも仕事の対人関係における悩みの解消法をまとめたコラムがたくさんあります。ぜひ、日々のコミュニケーションや仕事での接客・マネージメントの参考にしてみてくださいね。