人から好かれる「相槌」一覧|「はいはい」を卒業して上手なあいづちを習得
会話力を上げたいのに、「ふんふん」「はいはいはい」といった相槌をうっていませんか?それ…場合によっては、「失礼な態度だ」「うざいなぁ」「うるさい」と思われているかもしれません。
人と関わる仕事は、お客様との対話が欠かせないものです。とくに飲食店で接客業をしている方は、コミュニケーションをとる機会が非常に多いですよね。
「わたしはおしゃべりが大好き!」
「人と話すのが苦手…。」
「いつも会話をする時、がちで不安を感じてしまう」
「私は、話すよりも質問する方が好き」
と様々な方がいらっしゃるかと思いますが、今のあなたのコミュ二ケーション力、相槌1つでさらに向上させることができるんです。
そこで今回は、相手があなたの虜になってしまう「上手な相槌」のレパートリーを一覧で紹介します。反対に、相手が離れていく「失礼な相槌」もお届けするのでチェックしてください。
相槌の基本とされる「さしすせそ」や、ソフトバンク・孫正義氏の相槌テクニックを紹介しながら、誰でも会話上手になれる方法をわかりやすく伝授いたします。
相槌は、人生において絶対に役立つ技術です。トーク力を鍛える必要はないので、話すのが苦手でも大丈夫ですよ。
使い方次第で、どんな場面でも有効です。仕事はもちろん日常生活でも利用できるように、簡単にまとめてみたので実践してみてくださいね!
●目次
- 相槌をする意味とは?
- これはNG!嫌われる「失礼なあいづち」
- 相槌が上手になる「さしすせそ」とは
- 相槌には、方言も英語もある
- 声の高低・スピードを使い分けましょう!
- 孫正義から学ぶ、無音のあいづち
- 聞き上手の道を歩むために
相槌をする意味とは?
相槌には、「相手の話にうなづいて、うまく調子を合わせる」という意味があります。
とくに「うなずく」ことは、相槌の基本です。皆さんも日常会話や接客の際に「うん、うん」と、首を自然と振っていることがあるのではないでしょうか。
そもそも相槌の語源を紐解いてみると、鍛冶(かじ)職人の師匠と弟子とが、交互に槌(つち)を打ち合わすこと、すなわち相槌(合槌とも言う)に由来しています。
槌とは、刀を叩いて鍛えるためのハンマーのような道具のことです。(出典:デジタル大辞泉(小学館))
言語を使わずして、調子を合わせることがまさに相槌です。ここから「相槌を打つ」という慣用句も誕生しました。
類語として、「ひざを打つ」「首肯する」などがあり、基本的には相手の言うことに賛同していることを伝える態度です。
相槌の仕方も色々とありますが、話し手の声のスピードに合わせてうなずくだけ、相手には「息があっている」「相性が良い」「話しやすい」とあなたと会話する心地良さを感じてもらえます。
実験社会心理学の研究でも「話し手は、相づちのある聞き手の方を、相づちのない聞き手より好意的に評定した」と実験結果が報告されています。
(引用:「対話状況における聞き手の相づちが対人魅力に及ぼす効果」|東京大学 川名好裕・著)
相槌をすることで、以下のような印象を与えられます。
- 「この人は感じがいいな」
- 「話しやすい」
- 「丁寧に話を聞いてくれる」
- 「反応がよくて、とても気持ちを伝えやすい」
このように相槌を取り入れることで、会話力の高い〔聞き上手〕な人になることができます。つまり相槌上手な人=会話上手ということですね。
どんな接客業でもお客様とコミュニケーションをとる会話はつきもの。会話力を上げることは、お客様の満足度さえも高めることができるのです。
相槌にプラスして会話力を鍛えたい方は、こちらをご覧ください。
関連記事:【神対応の接客力アップ講座】飲食店でマニュアル化したい4つの方法を伝授
これはNG!嫌われる「失礼なあいづち」
「わたしは会話上手よ!」と自信のある方も、知らず知らずのうちに相手を不快にさせる相槌をしている場合があります。
相槌は、習慣付いているクセのようなものですからOKかNGか、自分自身では分かりにくいものです。
人から嫌われる「失礼なあいづち」を一覧で紹介します(印象がよくなる相槌は、後ほど)。無意識でやってないか自己チェックしてみてくださいね。
1.「はいはい、はい」と「はい」を連発
失礼な相槌の代表格が「はい」を連発するパターン。
「はい、はいはい。」
「ふん、ふん。」
「うんうん」
「なるほどなるほど…。」
このような2つ返事は、相手に「適当にあしらわれている」「そのリアクションは違う」といった軽率なイメージを与えてしまいます。また相槌が多いと「うざい」「うるさい」と感じられてしまいます。
コミュニケーションの基本はあくまでも傾聴。大げさな相槌や適当な相槌は、ただの聞き流しでしかありません。また、それは相手にもすぐに伝わります。
「わたしはあなたの話を理解しましたよ」という意味合いをもって、「はい」と丁寧にあいづちをするほうが相手の心象はぐっと良くなります。
ワンランク上の「傾聴」方法はこちらで解説しています。会話にご活用ください。
関連記事:お悩み解消!仕事には聴く技術が話す技術より役立つ理由
2.相手の会話にかぶせる
もう1つは「あいづちを相手の話に被せて打つ」ことです。
みなさんは、一生懸命、相槌をしようとするあまり相手がまだ話している途中に「確かに!」「そうですよね~」と、かぶせて声を発したり、うなずいたりしていませんか?
人は自分がスピーチしているときに快感を覚える生き物です。自分が話している途中に言葉を遮られると嫌に感じてしまうので、相槌してはいけません。上手に話を聞くときは、自分をあまり前に出さないことが大切です。
また、うなづく際は、言葉1つ1つの区切りで行うことが鉄則なんです。
途中で「うんうん」とうなずくその行為は、あなたが長年かけて習得した「話を聞かないただのクセ」でしかないのです。
3.上からの目線の相槌をする
無意識のうちに、上から目線の相槌をしていませんか?
例えば「なるほどですね」「確かに」などが該当します。悪気なく言っているかもしれませんが、目上の人に使う表現ではありません。
そもそも「なるほど」+「ですね」という組み合わせは、文法的に間違っています。敬語としても正しくないので、良い印象を与えることは難しいでしょう。
4.間違った敬語を使用する
敬語や尊敬語、丁寧語は難しいものです。「なるほどですね」と同じように失礼な言葉遣いがあります。
- 「マジっすか」
- 「マジですか」
- 「なんでなんすか」
- 「やばいっすね」
など。これらも敬語として成立していません。敬意を込めた相槌だとしても、話し手にとっては心地よいものではないと理解しておきましょう。
また驚きを表現するつもりで「マジっすか」「マジですか」と言った場合、人によっては大げさなリアクションとして受けとられて、嫌煙されることも。
失礼な相槌をなくしたいなら、下手に敬語を使ったリアクションは避けた方がよさそうですね。接客業での言い回し・敬語については、基本をこちらで身につけましょう。
関連記事:飲食店マニュアル:接客用語まとめ
相槌が上手になる「さしすせそ」とは
一方で、上手な相槌とはどういったものになるのでしょうか。
ビジネス作家・エッセイストの臼井 由妃氏は、「相づちの「ボリューム」は、自分では少し大げさだと思うぐらいにすること、そしてワンパターンにならないように会話のスパイスとして、肯定的な相槌を使うことがコツ」だと自身の著書で述べています。(出典:プレジデント社『「PRESIDENT」2017.12.18版「話が面白い人」入門!』|「NIKKEI STYLE」)
著者が紹介する共感を促すのに効果的な「心が通じるさ行の相づち」の一覧が、こちらです。相槌の「さしすせそ」と呼ばれています。
【相槌の「さしすせそ」】
●さ:最高です,さすが!
●し:信じられない(感激の表現),信じています
●す:すてきです,素晴らしい
●せ:成長していますね(部下に),成功間違いなしです(仕事関係の方に)
●そ:そんなに!(驚きの表現),そうなんですね(感心や感服を示す)
※この相槌の「さしすせそ」について、使用頻度は控えめにすることが賢明だとか。
「はい」「うん」だけではなくポジティブな一言に変換することがポイントです。
それだけで「この人は自分の話をしっかり聞いてくれている」「わたしの意見を認めてくれている」と相手を喜ばせるために、「さしすせそ」は存在します。
心理学的にも他者の承認欲求を満たすことができるので、言い過ぎはマイナスに働きますが、使わない手はありません。
ただし、多様はせず、一言だけ変えるのがミソ。やりすぎると営業トークっぽくなってしまうので注意しましょう。お客様と対話する際に、ぜひ「さしすせそ」の相槌を、新たに試してみてください。
「さしすせそ」を以外にも使える日本語の相槌のレパートリーを紹介しておきます。
【相槌一覧】
- (同意)仰る通りです
- (同意)その通りですね
- (同意)ごもっともですね
- (同意)私も同感します・私もわかります
- (反応)本当ですか
- (謙遜)とんでもございません
- (否定)いいえ、違います
- (関心)興味深いですね
- (関心)おもしろいですね
- それは知りませんでした
シチュエーションに応じて、使い分けてみましょう。
相槌には、方言も英語もある
なお相槌には、方言があります。その一部を紹介しておきます。
【方言の事例】
- 「ほんでほんで?」(大阪)→「それでどうなったの?」
- 「あーね」(福岡県)→「へぇ」
- 「んだから」(東北)→「そうだよね」「でしょ?」
- 「そうっちゃ」(北九州)→「そうなんだよね」「そうそう」
- 「いえる、いえる」(土佐)→「そうそう(同意)」
- 「だから」(鹿児島)→「そうだよね」「でしょ?」
- 「だっからよ」(沖縄)→「そうだよね」「でしょ?」
方言にも、さまざまな相槌の打ち方があります。
あなたの地元で使われる言語に、相槌はありますか?使い慣れている方言があれば、必ずしも「さしすせそ」を使う必要はありません。状況に応じた相槌をうまく取り入れてください。
方言でコミュニケーションや接客をすることで、親近感が持たれやすくなります。いずれにしても話を聞いて、同意している意思表示ができればOKです。
さらに日本語だけではなく、英語にも相槌はあります。一例を紹介するので、ご確認ください。
【英語の相槌キーワード】
- 「Sure」「Right」「Indeed」(たしかに)
- 「I see」(なるほど)
- 「Really?」「Is that true?」(そうなんですね)
- 「Amazing!」「Exactly」「Absolutely」(すごいですね)
- 「That’s good」(いいですね)
- 「That’s great」(素晴らしい)
- 「No way」(まさか)
英語にも相槌があるのは、とても興味深いですね。つまり、コミュニケーションで相槌を打つことは、万国で重宝されているし、通用するということ。
海外のお客様に接客をする際は、こういった相槌を知っておくと、喜んでもらえる可能性が高くなるでしょう。
声の高低・スピードを使い分けましょう!
さらに相槌は言葉だけではありません。
2017.12.18号の『PRESIDENT』特集での取材において、ボイススピーチデザイナーでフリーアナウンサーの魚住りえ氏は、「声の高低やスピードであいづちを使い分けることも可能だ」と述べています。
”話を盛り上げたいときは“高めの声で早く”うなずく。
”相手を落ち着かせたいときは“低い声でゆっくり”うなずく。
話の内容によって相槌の仕方を使い分けることも、聞き上手になるには効果的なテクニックなのです。
魚住先生によるテクニックをもとに、会話の例文を挙げてみます。
「うんうん」(高めの声で早く)
「ノートパソコンからfacebookのアプリを開こうと思ったの」
「そうなんだ、それで?」(高めの声で早く)
「そしたらログインできなくて」
「えぇ!」(高めの声で早く)
「すごい焦って、アプリごと消しちゃって」
「わぁ、ほんとに?」(低い声でゆっくり)
「うん。で、またダウンロードしたんだけど、それ違う人のノートパソコンだったの」
という風に、トークの流れに合わせて、相槌のトーンを変えることでメリハリが生まれて、お互いが会話を自然に続けることができます。
孫正義から学ぶ、無音のあいづち
一方、相槌を打つときは声を出さないというのもおすすめです。
それは、「黙ってうなずく」ことです。
そうすることで、下手に言葉を発さなくとも好印象を与えることができます。
こちらの映像をご覧ください。
こちらは、ソフトバンク株式会社の孫正義氏が大前研一氏と対談したときの映像です。
孫正義氏が「黙ってうなずきあいづちをしている」ことが見て分かりますよね。
下手に嘘くさいリアクションをするよりもずっと感じが良くなります。
しっかり話を聞いているという姿勢をみせることができる無音のあいづちは、「丁寧」で「誠実」なイメージが伝わります。「声を出さずに相手の目をしっかりみる」ことで、聞き手の真剣さも伝わります。
本当に話を聞くということは、相手の言葉を聞き取り、受け止め、理解すること。
この本質をきちんと理解していれば、過激なリアクションをしなくとも、あいづち一つで対人コミュニケーション力を向上させることができるのです。
無言のあいづちは、センスが求められるので、難易度は高めです。しかし時間をかけてでも、これからを生きる上で習得しておいた方が有利な技術でしょう。
聞き上手の道を歩むために
今回のコラムでは、コミュニケーションに欠かせない会話において、聞き上手になれる“相槌の仕方”をご紹介しました。
相槌の「さしすせそ」や無言の相槌は、今すぐにでも接客やコミュニケーションで活かせますね。
実は筆者も、相手が話している間に(ウン、ウン)と無意識にうなずいていて、他の人に指摘されて初めて「そんなことしてた!?」と気づいたことが何度かあります。
しかし、20年以上もの間、気を留めていなかったリアクションは、もはや「くせ」になっており想像以上になおし難いもの。
普段の日常会話から意識し矯正していく必要がある…と身をもって実感しています。
過去のコミュニケーションを振り返って「自分もやばいかも…」と思った方は、ぜひこれを機に新しい「聞き上手」への道を歩んでみてはいかがでしょうか?以上、上手な相槌で会話力を2倍にする方法でした。
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