今すぐ飲食店がすべき新型コロナウイルス対策とは
売上の低下が見込まれる中国人の来客に応じなければなりませんが、まずは感染をするリスクを避けることが必至です。飲食店が今すぐにとるべき新型コロナウイルス対策について解説します。
■飲食店に影響を及ぼす新型コロナウイルス
日本国内で感染が確認された新型コロナウイルス。中国政府は、感染拡大を防止するに海外への団体旅行を中止しました。
この動向を受けて、飲食業界に大きな影響を与えています。
例えば、外国人観光客から人気を集めている寿司の製造販売会社(奈良県)では、予約のキャンセルが相次いでいます。自分で寿司を握って食べる体験型の飲食店で、奈良県・大阪府・京都府・東京都の4店舗で、約200件の予約が取り止めとなりました。推定されていた売上は1500万円ほど。
また北海道札幌市のラーメン店では、「中国人入店禁止」という貼り紙を店頭に掲示しました。中国人の出入りを断る飲食店は、このラーメン店だけはありません。日本国内だけではなく、韓国や香港、ベトナムなど世界中の飲食店が中国人の来店を受け入れない動きに、物議をかもしています。
中国人観光客をターゲットにした飲食店は、大きな損害やリスクを被っています。しかし日本国内で感染者が確認されている以上、すべての飲食業界関係者が注意を払うべき問題が生じています。
では、どのような行動を飲食店はとればよいのでしょうか。中国政府によるニュースや報道では、たしかな情報が把握できず、飲食店はもちろん日本人がどう対応すればよいのか翻弄される一方です。
■新型コロナウイルスとは
新型コロナウイルスによる感染症の発生が報告されたのは、2019年12月。中華人民共和国湖北省武漢市で、新型コロナウイルスによる肺炎の集団感染が確認されました。
以降中国各地で、感染者が続出しました。2020年1月には日本・ベトナム・アメリカ・タイ・ドイツ・フランス・オーストラリアなど世界各国で感染者が出ています。ジョンズ・ホプキンズ大学は、感染者が22カ国40,514件以上、死者は910人の症例を報告(2020年2月10日時点)しています。
(参照:Global cases of BetaCoV https://www.gisaid.org/)
フィリピンでは、中国全土からフィリピンを訪問する外国人に対して入国を禁止する措置をとりました。
このような動向を受けて世界保健機関(WHO)の緊急委員会は、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC: Public Health Emergency of International Concern)」と報告。
そもそもコロナウイルスとは「人や動物の間で広く感染症を引き起こすウイルスです。人に感染症を引き起こすものはこれまで6種類が知られているが、深刻な呼吸器疾患を引き起こすことがあるSARS-CoV(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)とMERS-CoV(中東呼吸器症候群コロナウイルス)以外は、感染しても通常の風邪などの重度でない症状にとどまります。」
(引用:新型コロナウイルス感染症について 厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html)
新型コロナウイルスは、2019-nCoVと呼ばれており、新型の病原性ウイルスです。現在(2020年2月3日)、日本では流行は認められていません。
潜伏期間は、最大で14日程度と考えられています。発病すれば、発熱、咳といった呼吸器感染症を引き起こします。軽い呼吸器感染症や不顕性感染にとどまる人も少なくありません。しかし高齢者や持病を持つ人は重症化する可能性もあります。
いずれにしても飲食業界に対しては、大打撃となります。中国人観光客の激減と、新型コロナウイルスに感染するリスクに応じなければならないからです。
今とるべき緊急対策は、どのようなことがあるでしょうか。食品を扱う衛生面、顧客に接する接客面でできることを説明します。
■今すぐ飲食店がとるべき対策
WHO(世界保健機関)がガイダンスで以下の対策を推進しています。
①regular hand washing
→定期的な手洗いをすること。
②covering mouth and nose when coughing and sneezing
→咳・くしゃみの際に、口と鼻をおおうこと。
③thoroughly cooking meat and eggs
→肉・卵をしっかりと調理すること。
(引用 Coronavirus WHO
https://www.who.int/health-topics/coronavirus)
それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
①regular hand washing
→定期的な手洗いをすること。
インフルエンザや風邪と同じ衛生面での対策をしましょう。
調理をする前やトイレを使用した後など、石鹸を使って入念に洗う必要があります。
詳しい洗い方は、厚生労働省による動画をご覧ください。
「ノロウイルス等の食中毒防止のための適切な手洗い」というタイトルですが、飲食店で実践的な内容が掲載されています。
https://www.youtube.com/watch?v=z7ifN95YVdM
またスタッフだけでなく、消毒スプレーをお店の出入口や店内、トイレに設置するお店も増えてきました。
②covering mouth and nose when coughing and sneezing
→咳・くしゃみの際に、口と鼻をおおうこと。
咳エチケットとも呼ばれています。しっかりと手を洗ったとしても、ウイルスは目、口、鼻から入ってきます。咳やくしゃみは、ティッシュを使ってカバーしましょう。また常にマスクをすることで、リスクを回避できます。
しかし都心部のドラッグストアでは、マスクが品切れというお店も珍しくありません。100円均一ショップや小売店でも扱っている可能性があります。一度お店に足を運んでみましょう。
それでも入手できない場合は、マスクを自作するのも1つの方法です。動画配信サイトで「マスク 作り方」と検索すれば、DIYによる手作りマスクの動画が見つかります。簡単に作れるので、試してみましょう。
③thoroughly cooking meat and eggs
→肉・卵を十分に調理すること。
生肉・生魚・生ものの扱いは飲食店であれば、普段から注意していることでしょう。今までと同じように火でよく調理するのはもちろんですが、刺身・たたき、サラダなどレアで提供する場合は、調理器具の殺菌や食材の洗浄が重要です。
また衛生状態を保つために厨房をはじめトイレや店舗内の清掃を入念に行うことも大切です。
トイレの掃除についてはこちらのコラムも参考になります。
女性客を味方につける”キレイ”な店づくり(後編)
https://colum.shokujob.com/wp/store_operation/2017/07/439/
■さいごに
マスクを着用して接客するのは、顧客に対して失礼だと思う方もいるかもしれません。しかし感染の可能性をなくすためには必要なことです。新型コロナウイルス対策の一環として行っていることを伝えましょう。
もし従業員で新型コロナウイルスによる感染者が出た場合は、すぐに医療機関で受診させてください。もちろん出勤は控えさせて、医師の指示に従いましょう。
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*今回紹介した対策は、感染症を100%防げるわけではありません。また情報は日々、変化します。公的機関の情報をこまめに収集しながら、お店の自己責任で対策をとってください。