優良企業とは、働きやすい=従業員満足度が高い企業のことです。その結果、業績の向上につながっている必要があります。では、飲食業界において優良企業をどうやって見つけることができるでしょうか。
ブラックな業界というイメージがある外食産業。働きたい職場をみつけるだけではなく、「思っていたような会社ではなかった」というミスマッチも避けたいところです。
働きやすい優良企業を探すために注目をしたのが「勤続年数」です。勤続年数は人材がどれだけ定着しているのかを見る指標です。離職率が高い業界だからこそ有効に働きます。
- 「外食産業の平均的な勤続年数は?」
- 「飲食業界で長期勤務者の多い企業はどこ?」
- 「飲食店でホワイト企業はあるのか?」
- 「飲食で働きやすい会社はどうやって見つければいい?」
こういった疑問にすべてお答えします。優良企業の条件から、優良企業に就職・転職するコツまで、理想的な職場で働くためのヒントをお届けします。
●目次
1.飲食業界における優良企業の条件
どんな会社のことを優良企業というのでしょうか。
一般的に、以下のような特徴が挙げられます。
- 適正な待遇である
- 福利厚生が充実している
- 人間関係が良好である
- やりがいのある仕事ができる
- 残業や長時間労働がない
- 仕事に対して適切な評価がされる
- 離職率が低い
- ワークライフバランスがとれる
- 正当な人事マネジメントが実施される
今勤めている会社は、上記の特徴にどれくらい該当しますか?
当てはまる項目が少ないと、不満やストレスがたまる要因になります。
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1-1.従業員満足度の重要性
当然のことながら、売上高や売上の伸び率だけでは、優良企業ということはできません。
なぜなら業績がいい=「従業員が働きやすい」「従業員にとってやりがいがある」とは限らないからです。働きやすさややりがいは、いわゆる「従業員満足度(Employee Satisfaction(ES))」というキーワードで表現することができます。
従業員満足度は、その名の通り、従業員が会社に対する満足度のことです。近年、生産性を高めるための施策として、従業員満足度の向上に注力する企業が増えています。その一環として、上記の特徴をいかに改善していくかがカギとなっています。
なお2019年4月以降、働き方改革関連法が順次、施行されています。「残業時間の上限規制」や「有給休暇の取得を義務化」、「フレックスタイム制の見直し」など、働きやすい労働環境を整えるための取り組みが実施されています。
(参照:働き方改革特設サイト|厚生労働省)
働き方改革によって外食産業がどう影響を受けたのかは、「働き方改革で飲食業界の労働時間問題はどう変わったのか」をご覧ください。
1-2.好循環しているかもチェック
ここまでを振り返っておくと、優良企業とは次のような図式で説明することができます。
「優良企業=従業員満足度が高い→生産性が上がる→業績が拡大する」
好循環が巡っている会社こそが、優良企業だと言えるでしょう。
飲食業界でも同じです。外食産業における優良企業も、働きやすい労働環境が整っているのか、そのことで業績に好影響をもたらしているかがポイントとなります。
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2.外食産業はブラックかホワイトか?
飲食業界は働き方において課題の多いとされる業界です。
外食・中食産業では、ほかの業界に比べてみると、以下のような問題が目立ちます。
- 労働者不足
- 高い離職率
- 早出・居残りなどの残業
- 人材募集しても応募がない
- 育児休暇などが取得しづらい
慢性的な問題を抱えていることから、飲食はブラック産業では?という声があります。ほかにも「給与が低い」「肉体労働」など、きつい仕事というイメージがあるかもしれません。
2-1.ブラックかどうかは企業単位で考えるべき
ブラックかホワイトなのか。
結論を言えば業界自体ではなく、企業単位で考えるべきでしょう。なぜなら、飲食業全体では人材不足に苦しんでいますが、企業ごとに事情は大きき違うからです。
さらに、体力仕事だからしんどいという個人的な印象では判断ができません。
- 企業単位で違法行為がないかどうか
- 従業員満足度を上げるための施策がどう成果につながっているか
という軸で、企業を分析すると客観的に考えることができます。
法的に違法行為が多い場合、ホワイト企業であると言うのは難しくなります。一方で問題があった企業でも、改善がされているなら、正当に評価されるべきでしょう。
近年の事例では、「杵屋」「そじ坊」などの飲食店を日本全国で展開する運営会社「グルメ杵屋レストラン」が挙げられます。
同社は、大阪市内の5店舗において、正社員・アルバイトの男女12人に対し、労使協定の上限を超えて違法な時間外労働(1カ月に最大75時間までのところ最長で110時間以上)をさせたとして、大阪地検に書類送検されました。
しかし、親会社である「株式会社グルメ杵屋」は全国店舗で労働環境を改善したことを発表しています。また同じ事態が二度と生じないよう体制の構築を図るコメントもしています。
一度問題を起こしたとしても、ブラック企業だという決めつけは早急です。問題の背景や、その後の変革を見ていく必要があります。
ブラックかどうかは以下の記事でも、詳しく解説しているので、ご覧ください。
2-2.働き方改革を進める飲食店の事例
法律に抵触していなくても、課題を乗り越えている企業や、克服しようとしているお店は外食産業にも沢山あります。一例を、簡単に紹介します。
【株式会社壱番屋】
●「カレーハウスCoCo壱番屋」を全国展開する企業
●「勤務間インターバル制度」を導入
→勤務終了から翌日始業するまでの時間を10時間以上にする制度(それまでは最長で9時間)で、長時間労働を改善
【onakasuita株式会社】
●食の企画・開発・マーケティングの専門会社
●長期休暇が取得可能
→10日程度の夏季休暇が取得できる
●同社が運営する『おはしkitchen』『煮炊きやおわん』『おかげ』では、土日祝日を定休日に設定
→家族で食事をとる時間を創出
ここ数年で、外食産業は変わりつつあります。
ホワイトな会社も徐々に増えてきています。そんな中でどうやって優良企業を見つけることができるでしょうか?
3.優良企業を見つける、たった1つの探し方
今回、注目をしたのが「従業員の勤続年数を確認する方法」です
待遇や福利厚生、職場環境など1つ1つの条件を確認しながら、いろんな企業を比較していくことも1つの方法です
しかし、膨大な作業ですし労力がかかります。また、他サイトでもランキングでわかりやすく紹介されているので、そちらをご覧ください。
勤続年数に注目することは、もっとも手軽な優良企業の探し方です。よく離職率にフォーカスされがちですが、従業員がどれだけ継続的に働いているかが重要な指標となります。
なぜなら平均的な勤続年数が長い企業であればあるほど、長期的に働ける環境や条件が整っている、または企業努力をしている、つまり従業員にとっては持続的な労働が可能な職場=優良企業だと考えられるからです。
3-1.外食産業における平均勤続年数は5~15年
離職率の高い業界だからこそ、この探し方は有効です。どれだけ定着しているかが際立ちます。では外食産業において、平均勤続年はどれくらいあるのでしょうか。
厚生労働省による調査を見てみましょう。
<正規雇用者の平均勤続年数>
- 「5 年以上 10 年未満」:31.5%
- 「10 年以上 15 年未満」:19.3%
- 「5 年未満」:15.0%
<業種別で最も多い年数>
- 「すし店」:20 年以上
- 「バー、キャバレー、ナイトクラブ」:5年以上10年未満・10年以上15年未満
- 「その他の業種」:5 年以上 10 年未満
*「バー、キャバレー、ナイトクラブ」は調査数が 10 未満と少ない点に留意が必要
この結果から飲食業界では勤続年数5年~15年が平均的であり、主流であると考えられます。
なお、すし店は外食産業でも長く務める人が多いようです。
3-2.勤続年数15年以上の飲食企業
業界全体の勤続年数から15年を基準にします。
以下では15年以上の勤続年数を記録している会社が、いわゆる優良企業の可能性があると考えて、情報をまとめていきます。
外食産業の優良企業=15年以上の勤続年数の会社
飲食業界において、どんな企業が該当するのか見ておきましょう。
- 株式会社WDI(28年)
- 株式会社精養軒(20年)
- 株式会社すかいらーく(19.4年)
- 株式会社東京會舘(18年)
- 株式会社リンガーハット(17.4年)
- 株式会社モスフードサービス(15.6年)
(参照:外食業界の情報|転職ステーション)
これらはあくまでも、ごく一例です。
全国規模ではなくても、勤続年数の長い企業・飲食店は数多く存在します。
しかし上場企業や全国展開している会社でない限り、企業の情報は公けにはされていません。
勤続年数を確認することは、決して容易ではないということです。
なお年収を維持して、もしくは下がったとしても、働きやすい仕事に変えたい方は、こちらの記事をご覧ください。
・年収300万~400万の楽な仕事を公開!人生の幸せ度を上げる仕事探し術
優良企業に就職・転職するコツ
そこで就職・転職活動をする上でおススメしたい方法があります。
それは・・・
老舗の企業・飲食店を探すことです。
継続的な経営に成功している会社であれば、長期的に働いている従業員がいる確率も高くなります。
言い換えれば、長年お店を支えている顧客はもちろん働き手がいるということです。
優良企業である確率が高いだけではなく老舗企業で仕事するメリットは、数多くあります。
例えば、
- 収入・待遇・福利厚生など労働条件が安定している。
- 中長期的な経営ノウハウを学べる。
- 社会的な信頼を勝ち取れる。
- キャリアアップや転職に有利。
- 福利厚生や社会保険などの制度が充実。
- 顧客・仕入れ先・関係業者・地域と信頼を構築する方法について学べる。
といった利点が挙げられます。
筆者の知人でも、創業80年以上の和食店に新卒で入社した男性がいます。彼は入社して約10年。老舗飲食店で働く価値をこのように語ってくれました。
「老舗だといっても時代の流れによって、これからの変革は必要です。経営がしっかりとしているからこそ、いろんなチャレンジをしていけると思いました。土台が安定していない中では、攻めていくことも守ることも難しいことでしょう。自分の収入だって保証されないかもしれません。でも、ここでは見合った収入をいただきながら、休みもしっかりとれます。ソフトでもハードでも挑んでいける環境だからこそ働いてみたいと決断できました。」
土台がしっかりしているからこそ変革ができる。
老舗企業・飲食店で働くことは、この意味において優良企業で働く価値やメリットと同等だと言えるのではないでしょうか。
今回の考え方をもとに、ぜひご自身あった飲食店を見つけ出していただければ幸いです。
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