コロナ後の飲食店の未来は『おひとり様利用』で生き残るべし
現在では新型コロナウイルス感染拡大防止のため、仕事後の宴会や会食といったいわゆる「仕事飲み」を禁止している企業も増えています。
また、昨年まで飲食業界を支えていた外国人観光客などによる「インバウンド需要」も激減しています。
これからの未来では飲食店の淘汰がさらに進んでいき、客側が飲食店を選ぶ基準もより厳しくなることが予想されます。
このような状況にある飲食業界において、既存や新規の飲食店が生き残るためにはどのような方針・対策をとればいいのでしょうか。
今回は、アフターコロナの未来における飲食店の在り方や変化への対応について考えてみました。
●目次
- 「仕事飲み」「インバウンド需要」による飲食店の大型需要が0に
- コロナによって飲食店の客層や利用シーンが様変わりする
- 居心地の良い飲食店は 「おひとり様」 に愛される
- 食店はファンを獲得してこそピンチをチャンスに変えられる
●「仕事飲み」「インバウンド需要」による飲食店の大量消費が0に
冒頭でも説明した通り、 新型コロナウイルスによって飲食店の客層や利用シーンは大きく変化しました。
その変化中で飲食店に大きなダメージを与えているのが、 「仕事飲み」と「インパウンド需要」の激減です。
◆ビジネスパーソンによる 「仕事飲み」 の激減
緊急事態宣言が解除された後も再度感染者数が増えており、 「三密」 が生まれてしまう大人数でのイベントや宴会などを自粛する動きも変わってはいません。
サラリーマンの方々や医療機関などで働く方々も宴会シーズンには大きな会食を行っていましたが、今年はこのような「仕事飲み」を禁止するところが増えています。
また、緊急事態宣言解除後も引き続き在宅ワークを推奨する企業が増えたということも「仕事飲み」減少の大きな要因の1っと言えるでしょう。
◆訪日観光客による「インバウンド需要」の激減
昨年まで飲食店を支え続けていた訪日観光客による「インバウンド需要」も、新型コロナウイルスによって大幅に減少しました。
外国人観光客からの新型コロナウイルス感染を防ぐため、日本政府は100カ国の地域を入国拒否の対象としました。(2020年5月時点、外務省発表)
これによって2020年6月の訪日外国人観光客数は2600人となり、前年同月で比べると実に99.9 %減少という状態になっています。
出典:訪日外客統計の集計・発表一日本政府観光局
https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/data_info_listing/index.html
「仕事飲み」 と 「インバウンド需要」 の共通点は、 大人数による大量消費です。
特に 「インバウンド需要」 では大量消費という傾向が顕著であり、 「インバウンド需要」 だけを狙った飲食店が乱立していました。
しかし、 現在ではインバウンド需要だけを頼みの綱としていた飲食店は続々と閉店しています。
●コロナによって飲食店の客層や利用シーンが様変わりする
新型コロナウイルスによって、飲食店の客層や利用シーンはどのように変化したのでしょうか。
キーワードとなるのは、「孤食化」と「個食化」です。
「孤食」とは1人で食べる食事のことで、「個食」とはグループや家族がそれぞれで別の物を食べるという意味となっています。
つまり、大人数での宴会や会食の代わり1人での食事や少人数の飲み会が増えてきているということですね。
また、グループや家族がそれぞれで別の物を食べることは飲食店の新型コロナウイルス感染防止対策としても有効です。
こうした飲食店の客層や利用シーンの変化を受けて、「ひとり焼肉」やファミリーレストランの「お一人様席」など、ひとり需要に対応した店舗も増えていきています。
◆カウンター席を仕切って楽しむ「おひとり様焼肉」― 焼肉ライク
一人焼肉専門店「焼肉ライク」は、1人1台のロースターを使用して好きなように一人焼肉が楽しめる「おひとり様」専用のお店。
女性1人でも入りやすい雰囲気でランチタイムには行列ができるなど、男女問わず人気を集めています。
公式サイト:https://yakiniku-like.com/
◆高級黒毛和牛や国産豚肉を一人鍋で楽しめる ― ひとりしゃぶしゃぶ 七代目 松五郎
新型コロナウイルスの影響がありながらも2020年6月という時期にオープンした、『ひとりひと鍋』でしゃぶしゃぶを楽しめるというおひとり様専用のお店。
店内はオーバル状のオールカウンターで全てが横並び席のため、新型コロナウイルスの感染対策にも適しています。
多数の著名人が足繁く通うすき焼き店「厨七代目松五郎」の姉妹店のため、本格的なA4・ A5ランク黒毛和牛の絶品しゃぶしゃぶをリーズナプルな価格で味わえるのも魅力です。
公式Instagram : https://www.instagram.com/hitori_matsugoro/
●居心地の良い飲食店は「おひとり様」に愛される
先ほど紹介した店舗は、当初のコンセプトから「孤食」や「おひとり様」をメインターゲットに据えています。
既存の店舗で新たに「孤食」や「おひとり様」 の需要に対応するため、 以下のような施策を始めてみてはいかがでしょうか。
①おひとり様用のメニュー開発
とある大阪の居酒屋では、1人で来店されたお客様だけに提供するお得なアテ盛り合わせセットを用意しています。
どうしても客単価が低くなってしまうという一人客の問題を解決するために、 特別なメニューを用意して客単価を上ける工夫をしているのですね。
◆おひとり様用のメニュー開発の実例
・天満 あずき色のマーカス
おひとり様限定のアテ盛りセットを用意。
その日の仕入れ具合から刺身やおばんざいなど4品を盛り合わせ。
・秋葉原 居酒屋「きんぼし」
一人で来店した方だけが注文できるサービスメニュー「おひとり様プレート」を用意。
刺身、おばんざい、揚げ物、焼き物など7品を盛り合わせ。
②おひとり様歓迎をアピールする
1人で来店するというお客様の中には、雰囲気や入りやすさをよく調べてお店を選んでいるという方が多くいます。
こういった方はお店の内観などの情報を事前に集めてから来店する傾向がありますので、 SNSなどを活用しておひとり様客歓迎を広く認知させていく必要があります。
◆おひとり様歓迎をアピールする具体的な方法
・お一人様専用メニューや、カウンター席・お一人様席を中心に撮影してアピール。
・お店の内観などを投稿して店内の雰囲気や広さを知ってもらう。
③パーソナルスペースを確保する
1人で来店するお客様のために、席と席の間にある程度の余裕を持たせてパーソナルスペースを広く確保することをおすすめします。
ゆったりとできる空間と居心地の良い雰囲気は、 おひとり様でやって来る方々にとってお店を選ぶ際の重要なポイントとなります。
また、ソーシャルディスタンスの確保にも繋がるので新型コロナウイルスの感染対策にもなり一石二鳥です。
◆パーソナルスペースを確保する実例
・すかいらーくグループ
ファミリーレストラン「ガスト」と「ジョナサン」でお一人様専用ボックス席を配置。
・大阪日本橋 おひとりせき喫茶店coro
お一人様専用席を6席ほど完備。店内は基本私語厳禁となっており軽食なども用意。
・池袋 梟書茶房
コーヒーと本のプロが手掛けたブックカフェ。ゆったりとした空間の「ラウンジ」、本に没頭できる「図書エリア」、学校の図書館をイメージした「アカデミックエリア」、日差しと緑に囲まれた「森の部屋」と4つのエリアに分かれている。
●飲食店はファンを獲得してこそピンチをチャンスに変えられる
新型コロナウイルスは飲食業界に大きなピンチを招きましたが、 同時に飲食業界が新しく生まれる転換期のきっかけにもなりました。
インバウンド需要によって生まれた多くの飲食店は特需を掴むことしか目的としていないため、大きな変化に対応できずにいます。
その結果、 新型コロナウイルスによってたくさんの飲食店が閉店してしまいました。
アフターコロナの時代に生き残るためには、飲食店自体を愛して応援してくれるファンを掴むことがとても大切です。
安易に特需を期待するのではなく、お客さまに対して真摯に向き合ってより良いお店作りを続けていきましよう。