漫才・コントから学ぶ!宴会が盛り上がる、メニュー表・料理の作り方③
前回は、日本と欧米のお笑いを比較。とくに日本ではボケとツッコミの関係で成り立ち、ツッコミによって笑い声が生まれる、というお笑い論について説明しました。
そこで提案したのが、日本のお笑い文化を飲食店にも適応してみることです。ボケを飲食店、ツッコミをお客様、つまり1組のコンビに見立てる。
ツッコミたくなる料理や空間、人材を用意することで、お客様にツッコミが入り笑いが生まれる、つまり緊張がほぐれて、酒宴の場が和むのではないか、人間関係が良好になるのではないかと筆者の見解をしめしました。
このコラムでは具体的な成功事例を、ツッコマレ力のある店舗として取り上げて紹介していきます。
ツッコマレ力のある飲食店事例
■店舗:立ち飲みスタイルの大衆居酒屋。いわゆる”せんべろ”ができる価格設定で、酎ハイは150円~、料理は50円~提供している。銀座や日本橋、神田など東京だけではなく大阪の京橋や神戸・三ノ宮にも出店。
■ここがツッコミポイント!
①張り紙(筆者撮影)
「ドラム缶の楽しみ方」が8か条で掲載されている。「飲み過ぎても。ふんばる!!スタイル!!」「立てなくなったらドラム缶によりかかるスタイル!!」など1つ1つにツッコミを入れたくなる。
②張り紙(筆者撮影)
「相席上等!!スタイル」と書かれているが、実際に相席状態。「相席でもいいですか?」という一言はなく、相席が常識というコンセプトが面白い。はじめてのお客様同士でも、常連客が盛り上げてくれる。
③メニュー表(筆者撮影)
ところどころ詳細が不明な料理やドリンク、さらには逆さまになったメニュー表も並ぶ。「さかまけ冷奴」とは、まけまけさんという常連客を逆さまにしてネーミングしたそう。由来を聞いても、さらに謎が謎を呼ぶ。
④オーダー票(筆者撮影)
オーダー票は手書き。ほかの店でもあるサービスだけ値段まですべて記入する。さらにスタッフではなくお客様が注文をとったり、料理やドリンクを運こんだりする場合もある。
やきやき鉄板焼き ぼんくら家(https://dreamreality-group.co.jp/shop-list/bonkuraya/)
■店舗:個性的な鉄板焼き・お好み焼きメニューがそろう「ぼんくら家」。メディアでも取り上げられ、関西のお笑いタレントがよく足を運ぶ。本店の奈良をはじめ道頓堀、千日前、西中島に店舗展開している。
■ここがツッコミポイント!
①料理(参考画像)
名物は「巨乳焼き」。お好み焼きの上に、女性スタッフが明太子マヨネーズをたっぷりとかけてくれる人気メニュー。ABC朝日放送「エンカメ」(https://www.asahi.co.jp/enkame/)で紹介されて話題に。1枚づつ形が違うこともあり、SNS上でもかなりの反響ぶり。
*インスタグラムでの投稿
②料理(筆者撮影)
「8時だよ!海鮮集合!」。かの伝説のバラエティー番組を彷彿させるメニュー名。エビにイカ、タコ、ホタテといった往年の海鮮スターをソテーしたもの。名前の由来は不明だが、どの具材が志村けんやいかりや長介、加藤茶に該当するのかが気になる。見た目は、何の変哲もない海鮮炒めだが、大爆笑のフレーズを思い出してしまう。また「次行ってみよう」とも言いたくなる。
③料理(筆者撮影)
「燃える闘魂!イノキ塩炒め」。イノキとは、あご肉をスライスした赤身ホルモンのこと。シンボルカラーが赤で、鋭利なアゴをしていることが由来か。辛さの段階を1から3まで選べる。1はピリ辛で、3は汗が出るほどの辛さ。ひと口食べれば、思わず「1・2・3ダー!」言いたくなる。脳内には「イノキ、ボンバイエ♪」のBGMが流れてしまう。モノマネをするお客様もいるのでは・・・。
④張り紙(筆者撮影)
5つの「注意事項」がすべてウィットにとんでいる。掲載されている内容について、同席しているメンバーと話題にしやすいネタで、かつスタッフに声をかけるきっかけにもなる。
さいごに
実践しようと思えば、今日からでも取り入れられるものばかり。ツッコミどころ満載の店づくりで、自然な笑いが絶えない、つまりお客様が人間関係を構築しやすい環境を整えてみてはいかがでしょうか。