心理学に基づくクレームをチャンスに変える対応方法を伝授!
クレームとは、
つまりは、企業や店舗が提供するサービスに対してのお客様が不満を述べることです。
とくに、接客業などお客様と直接対面する仕事は比較的クレームの頻度が多く、お客様からの不満や怒りの言葉がずっと頭から離れず悩んでしまう人も少なくありません。
しかしながらクレームは、成功のための「チャンス」でもあることをご存知でしょうか。
今回は誰でも始められる「クレームをチャンスに変える話し方」をご紹介いたします。
◎クレーム対応をすべき理由:
「なぜクレームを改善したら、集客・売上アップにつながるの??」はコチラ!
なぜクレームが起こるのか?
まず、なぜクレームが起こるのかを考えてみましょう。
皆さんはクレームを入れたことがありますか?
クレームを入れるお客様はイライラしてたり、怒鳴っていることが多いですよね。
そのため時には理不尽なことや、一方的に言いがかりをつけられることもあるかもしれません。
一見「この人はメチャクチャだ!」と思うこともあるかもしれませんが、
しかし、クレームを言う人の感情の奥には
・「わかってほしい」
・「きちんと対応してほしい」
・「解決してほしい」
・「応えてほしい」
といった期待はずれの結果を「思い通りにしたい」という熱い感情と冷静な目線が同時にあります。
私たちのサービスに関して、お客様の意見を認めてほしいという強い思いがあるからこそクレームが生まれるのです。
これを心理学で説明すると、クレームを入れる人の脳内は、
「感情」と「論理」が入り混じっている状態だといわれています。
例えば、クレームが起こった際にひたすら感情に訴えかけ謝っていたとしても
「それで?どう落とし前つけてくれるの?」
ということになり、まだ問題は解決しませんよね。
一方で「ご迷惑をおかけしましたので商品交換させていただきます。」と
論理面だけで対応すると「お前らには誠意はないのか!そういう問題じゃないだろ!」と、かえってお客さんを怒らせてしまいます。
クレーム対応をするには、感情と論理の両方に対応する必要があるのです。
クレームをチャンスに変えるには?
そんなクレームを希望の光へと変えるのは、初期対応が肝心。
クレーム発生時の初期対応としてわたしたちがすべきことは大きく分けて
1.感情をなだめる ―感情面
2.事実の確認をする ―論理面
3.謝罪をする ―感情面
4.解決策への誘導 ―論理面
といった項目が挙げられます。
その中でも特に1の「感情をなだめる」ことがクレームの初期の対応には重要であり
お客様から失った信用を取り戻すためには欠かせないものになります。
感情をなだめるためのポイント
では、クレームを入れるお客様の感情をなだめるためにはどうすればよいのでしょうか?
ポイントは「非日常感」にありました。
皆さんが幼かったころ、一緒に遊んでいたお友達の私物を失くしてしまったり、ケガをさせてしまったとき、お母さんと菓子折りをもってお友達の家に謝罪にいったことはなかったでしょうか?
大事な場合は、お父さんがスーツを着て謝りにいく…ということもあったことでしょう。
この如何にも改まった「非日常的」な行動は、相手に誠意を表し「怒りの感情をなだめる」ことにつながります。
身だしなみや言葉遣い、深々としたお辞儀、姿勢や態度などすべての基本となる部分に非日常性を加えることで相手により一層反省の意や誠意を伝えることができます。
接客業や飲食店で働いている方がお客様を怒らせてしまった場合、
具体的な対応・行動として
誰が見ても分かるくらいの“申し訳ない気持ち”が伝わる表情で話す、
はっきり・ゆっくり・大きな声で話す、深々とお辞儀をする、
大きなリアクションをとる、敢えてあたふたする様子を見せる…
といった内容が挙げられます。
営業中、改まってスーツに着替えることはできませんから、顔や声、謝罪の後の行動(サービスを行う、責任者を連れてくる)等といったことで非日常感を示すようにしましょう。
マイナスをプラスに変えるリスニング
また、「言い分を認めてほしい」お客様のクレーム対応には、聞き手としての姿勢も求められます。
クレーム対応者の大前提のスタンスとして必ず気を付けるべきことは
『お客様を否定しない&アドバイスをしない』
ということです。
怒った相手の話を聞いていると「でも…」「そうではなくて…」と
自分の容疑を否定したい気持ちにもなりますよね。
しかし、まずは相手の言い分を最後まで聞くことが優先。
ここはぐっと押さえてリスニングに徹しましょう。
※筆者は過去、否認しようとして失敗したことがあります!
また、人の話を聞くときのちょっとした“相槌”も以外とクレームを左右するものです。
よく使われる「なるほど」「うん」「ええ」「はい」ばかりを連発していては、
かえって「こいつ本当に話聞いてんのか?」「適当に返事しているのではないか」という印象を与えてしまうのでNG。
同感するときには「仰る通りでございます。」「わたくしもそう思います。」
とあなたの意見として言葉にしてみたり、オウム返しにして相手の言い分を復唱することも有効です。
そしてクレーム対応の際、声はいつもよりワントーン下げて話すことが基本ですが
質問形の言葉や「~でしたか」と共感する言葉は、平坦に強く言ってしまうと
きつい印象を与えてしまうため「そうでしたか↗」「左様でございましたか↗」
と語尾を上げて相槌をするといった、上級者テクニックもありますので参考にしてみてください。
部分謝罪をする
申し訳ないという姿勢、お客様への誠意の見せ方については
「この度は申し訳ありません!!!」と、
ただただ全面謝罪をしたらよいというわけではありません。
何が悪いのか分かっていないのに謝るのは相手に失礼ですし
むしろビジネスにおいて全面謝罪をするということは、
お客様のクレームに対し「全責任は私ども(=会社)にあります」と
認めたという意味に捉えられてしまいかねないので要注意。
お客様の言い分が本当なのか怪しいが、否定できない。
一旦事実確認をしたいが、まずは感情をなだめたい。
そんな時は「部分謝罪」をしてみましょう。
部分謝罪は起こったすべての事を謝罪するのではなく
まずはお客様に不快な思いをさせてしまったことを謝る意味合いがあります。
「お待たせしてしまい」+ 申し訳ございません。
「ご不快な思いをさせてしまい」+ 申し訳ございません。
「わたくしの説明が足りず」+失礼いたしました。
というふうに、具体的な部分を取り上げ、精一杯の誠意を込めて謝罪しましょう。
こうすれば、全てのクレームを認めないにしても
お客様を否定することなく、反省の意を表すことができます。
クレームはチャンスに変えることができる!
お客様から苦情が来たとき、私たち一人ひとりの対応1つで
店舗や企業のサービスが「二度と利用したくない」と判断されてしまいます。
しかし、この時のクレーム対応を怠らず真摯に向き合うことで、
「再度利用したい」と思ってもらえることも、もちろんあるのです。
いわば、クレームこそお客様の信頼感を増幅させるチャンス。
適切に対応できれば店舗の常連が増えたり、再購入につながるといったケースもあります。
とある企業ではクレームの電話を「ラッキー・コール」と呼ぶこともあるそうな。
ただ、注意しておきたいのは、
クレームが起こるということは
現状のサービスの質やしくみ、システム上に
そもそもの問題や不明確な点、危うい箇所が少なからずあるということです。
ピンチはチャンスという言葉があるように、
まだまだ改善の余地があるということ。
一時の「クレーム処理」として対処するのではなく、
お客様の意見を受け入れる丁寧な「クレーム対応」として
前向きな姿勢で取り組んでいくことが大切です。
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【参考文献】
・『いつもお客様が集まる飲食店が実行している接客サービス』(旭屋出版)
・今すぐ使える新時代の心理学講座ポータルサイト
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