なぜかつい足を運んでしまうお店で流れるBGMとは(前編)
BGMはレッド・ツェッペリンのみのレストラン
五感を刺激する仕掛けが散りばめられており、その1つがBMG。店内で流れるのは、イギリスを代表する伝説のロックバンド、レッド・ツェッペリンのアナログレコードのみ。
ほかのアーティストの音楽は一切流れません。この大胆なやり方が、話題を呼びました。『OUT』のように飲食店の世界観や居心地の良さを演出する方法の1つとして、BGMが挙げられます。
今回のコラムでは、前編で効果的なBGMの可能性を探りつつ、後編では成功事例を紹介してきます。
聴覚心理学から見たBGMのブランディング効果
とりわけ音楽は、その役割を重視される一方で、ある問題がつきまといます。お客様によって好き嫌いが分かれてしまうということです。レッドツェッペリンが好きなロックファンもいれば、苦手な人もいます。
果たしてどんなBGMを流せば良いのでしょうか。当たり障りのない音楽か、それとも聴く人を選んでしまう音楽か。
例えば、
・洋楽をかけるべきか、邦楽にした方がいいのか。
・有線放送(http://www.usen.com/biz_music/)やラジオを流すべきか、お店やスタッフ好みの楽曲にすべきか。
このような二者択一は、永遠の課題なのかもしれません。そこで問題を紐解く鍵として、聴覚心理学の考え方を紹介します。
聴覚心理学は、聴覚から入ってくる情報によって変化する心の動きを分析する学問です。これまでBMGが、顧客の心理に影響を及ぼすことが学術的にも検証されてきました。
例えば、隣席の会話や店外の騒音をBGMによって打ち消すマスキング効果や、やすらぎ感や落ち着いた雰囲気を癒しの音楽によって与えるイメージ誘導効果など。
期待されている効果の1つに、ブランディングが挙げられます。すなわちお店のコンセプトや世界観、イメージを伝えるためのBGMです。
冒頭で紹介した『OUT』も、BGMによるブランディングを成功させた事例だと言えるでしょう。
聴覚心理学の視点に従えば好き嫌いではなく、狙いたい効果に相応しい音楽を流すことが、飲食店には求められます。
さいごに
あのお店は、こんなジャンルの音楽にこだわっているということで、付加価値が生み出されるのではないでしょうか。お客様にとってはお店へ足を運ぶきっかけとなるでしょう。
後編では、実際にBGMによってブランディングを成功させた飲食店の実例を紹介します。