「飲食店経営にも大きな影響が!?これから始まる軽減税率とテイクアウト・イートインについて」

ついに始まる軽減税率とテイクアウト・イートインへの影響

消費税10%という増税に伴い、10月から“軽減税率制度”という新しい税制度も開始されます。

この新しい税制度は生活必需品だけでなく、飲食業界にも大きな影響を与える制度だということをご存知でしょうか。

特にテイクアウトやデリバリーなどをおこなう飲食店であれば、軽減税率に関する知識は必ず必要となっていきます。

そこで今回は、新しい税制度に関する飲食業界大手各社の方針を学び、軽減税率についての知識をしっかりと理解していきましょう。

●目次
軽減税率とは?
飲食業界や飲食店経営者に関する軽減税率とは?
各社の軽減税率への取り組み
まもなく始まる軽減税率に向けて知識を備えよう

●軽減税率とは?

軽減税率とは?

まずは軽減税率に関する基本的な知識を学んでいきましょう。

軽減税率を簡単に説明すると、特定の商品の消費税を低く設定するという制度のことです。特定の商品には主に食料品・生活必需品が含まれており、それ以外の商品は増税されることになります。

つまり、スーパーマーケットやコンビニ内にある商品によって、消費税が変わることになるんですね。そのため軽減税率は、「複数税率」と呼ばれることもあります。

軽減税率の主な目的は、「低所得者へ経済的な配慮をする」というもの。
生活する上で最低限必要となる食料品などは、消費税率を低くしましょうということです。

食料品に大きく関係していく軽減税率ですが、同じく食料品や料理を扱う飲食店などにはどのような影響があるのでしょうか。

では次に、軽減税率が飲食業界へ与える影響を詳しく学んでいきましょう。

飲食業界や飲食店経営者に関する軽減税率とは?

飲食業界や飲食店経営者に関する軽減税率とは?

軽減税率は飲食業界にも大きな影響を与えます。

その大きな影響を受けるのが、テイクアウト・イートイン・デリバリーなどといった形態をとっている飲食店です。

実は軽減税率の制度が開始されると、テイクアウト・イートイン・デリバリーなどで消費税率がそれぞれ異なるという状況になるんですよ。

国税庁では以下のような定義付けを設けています。

軽減税率制度の適用対象外となる「外食」等は、以下のもの。

1.①事業者が顧客に飲食させようと考えている飲食設備(テーブル、椅子、カウンター等)のある場所において(場所要件)、②顧客に飲食させるサービス(サービス要件)(持帰りのための容器に入れ、又は包装を施して行う飲食料品の譲渡は含まない)(「外食」)

2.顧客が指定した場所で、顧客に飲食させるサービス(「ケータリング・出張料理等」)。
ただし、有料老人ホームでの飲食料品の提供や学校給食等は、生活を営む場所において他の形態で食事をと
ることが困難と考えられることから、「ケータリング・出張料理等」から除外する。

出典元:軽減税率の対象となる品目 – 国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/01.pdf

この定義を元に、各ケースで軽減税率がどのように適用されるのかをまとめてみました。

<テイクアウトの場合>
軽減税率の対象 → 消費税率8%
定義内の要件に含まれないため、軽減税率が適用される。

<デリバリーの場合>
軽減税率の対象外 → 消費税率8%
定義内の要件に含まれないため、軽減税率が適用される。

<イートインの場合>
軽減税率の対象外 → 消費税率10%
定義1-①の場所要件を満たしているため、軽減税率は適用されない。

<ケータリング・出張料理>
軽減税率の対象外 → 消費税率10%
定義2の要件を満たしているため、軽減税率は適用されない。

ちなみに、有料老人ホームや学校給食等は「ケータリング・出張料理等」から除外されて軽減税率(8%)の適用対象となるようです。

このようにテイクアウト・イートイン・デリバリーによって消費税率が変わってしまうと、実は大きな問題も生まれてしまうことになります。

では次に、軽減税率の導入によって起こる問題と、その問題に対する企業の方針や対策をご紹介していきます。

各社の軽減税率への取り組み

各社の軽減税率への取り組み

軽減税率で一番の問題となるのは、商品価格の表示方法です。

例えば同じ商品や料理であっても、店内で食べるイートインや持ち帰りなどのデリバリーで税率が変わり、価格が変わってしまう場合があります。

価格表示の変更は大きなクレームにも繋がりかねませんので、よく注意しておきたい部分ですよね。

軽減税率における価格表示について、飲食業界の大手各社ではどのような方針を決定したのか、以下にまとめてみました。

・ファーストフード各社

<吉野家>
店内飲食とテイクアウトで表示価格を別にする方針。

<松屋フーズ>
店内飲食とテイクアウトともに税込み価格を統一する方針
券売機での対応が困難なことから商品値上げを実施し、10%の税込価格に揃えると形で検討を進めている。

<日本ケンタッキー・フライド・チキン>
吉野家と同様に、店内飲食とテイクアウトで税込み価格を別にする方針。

<マクドナルド、モスバーガー>
軽減税率への対応は検討の段階。

※吉野家や日本ケンタッキー・フライド・チキンなどは軽減税率への対応を早期に決定していますが、対応を検討中の大手ファーストフード企業もまだまだ多いようです。

・チェーン系カフェ

<スターバックスコーヒージャパン>
引き続き税抜きの本体価格のみ表示し、店内飲食とテイクアウトは別価格にする方針

・ファミリーレストラン

<サイゼリヤ>
店内飲食とテイクアウトともに税込み価格を統一する方針
テイクアウトの包装代などを含める形で商品値上げを実施し、10%の税込価格に揃えるとのこと。

このように、大手外食企業では様々な方針が決定され始めています。

また各企業の取り組みに呼応する形で、アプリやWEBを活用したテイクアウト・デリバリーの事前注文や決済を行えるサービスも増加していますね。

特に最近では簡単に始められるUber EATSなどを導入する飲食店は徐々に増えてきているようなので、デリバリーの展開を視野に入れているお店様ならば一度検討してみてもいいかもしれません。

まもなく始まる軽減税率に向けて正しい知識を備えよう

まもなく始まる軽減税率に向けて正しい知識を備えよう

前述の消費税増税と軽減税率に伴い、飲食業界では惣菜など外で購入してきたものを自宅で食べる「中食」の需要が高まっています。

一般社団法人日本惣菜協会が発表した「2018年版 日本惣菜白書」(http://www.nsouzai-kyoukai.or.jp/wp-content/uploads/hpb-media/hakusho2018_digest.pdf)によると、2017年の惣菜市場規模は10兆555億円。この市場は今後もさらに成長すると見込まれています。

さらに「中食」の需要増加に伴い、飲食店のテイクアウト・イートインなどの需要も同時に高まってきているとのこと。

今後は中食ブームの流れに乗り、今までテイクアウト・イートインなどを展開していなかった飲食店でも、軽減税率制度の開始を機に始めようと考えている方もきっと多いはず。

経営者の方はもちろんのこと、今後も飲食業界で働こうと思っている方であれば、軽減税率の知識はしっかりと理解しておく必要がありますね。

■参考URL

飲食店経営者の方はこちらのコラムもおすすめ!
「【成功店に学ぶ最新経営術】飲食店でIoT技術を活かす方法」

「店の価値を上げるなら1つだけ「〇〇にこだわりなさい。」」

飲食店の求人情報(正社員・アルバイト)が充実!

食ジョブ 注目の求人

PAGE TOP