QOLが決め手!働き方改革で飲食業界の労働時間問題はどう変わったのか

飲食業界において、以前から長時間労働は大きな問題として取りざたされています。

その問題を解決すべく、国は長時間労働問題を解決してワークライフバランスを実現するために働き方改革法案を作成しました。

そして2019年4月からついに改正法案が適用開始され、日本における労働問題の改善に向けて企業の取り組みが本格的に進み始めています。

働き方改革が始まった今、日本の労働問題とワークライフバランスはどのように変わっていくのでしょうか。

●目次

●2019年に始まった働き方改革とは?

2019年に始まった働き方改革とは?

 
そもそも、働き方改革とは一体どんなものなのでしょうか。

「働き方改革」は政府が打ち出した重要政策のひとつであり、多様な働き方を可能にして誰もが活躍できる社会を目指して作られたもの。

2018年6月29日に働き方改革における関連法案が成立し、2019年4月1日をもってついに適用が開始されました。

厚生労働省のサイトでは、働き方改革を以下のように説明しています。

我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。

こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。

「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。

(引用:「働き方改革」の実現に向けて |厚生労働省 https://https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html/)

●長時間労働問題を抱える日本

長時間労働問題を抱える日本

 
働き方改革法案が作られた背景には、日本における長時間労働の問題も大きく関わっています。

日本では、欧米諸国と比較しても年間の平均労働時間が長いという特徴があります。

その中でも時間外労働(週40時間以上)者の割合が多く、特に週49時間以上働いている労働者の割合がとても多いんです。

週49時間以上働いている労働者の割合をデータで見てみると、日本では20.1%、アメリカでは16.4&、カナダでは10.2%となっています。

その他のイギリス、フランス、ドイツの先進国に比べてみても、日本は2倍近い割合の労働者が時間外労働をしてしまっていることがわかります。

(出典:長時間労働者の割合|労働政策研究・研修機構(JILPT)
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2018/ch6.html)

さらに問題なのは、このような長時間労働の中にサービス残業などの違反労働も含まれていることです。

大手飲食企業でも適正な賃金が支払われないまま長時間労働を強いられ、最悪の場合は過労によって労働者が亡くなるというケースまであります。

違法労働に対して飲食店や外食チェーン企業を相手取った訴訟も多く起きているにも関わらず、長時間労働を削減する取り組みはあまり進んでいないのが現状です。

●働き方改革によって労働時間は変わるのか

働き方改革によって労働時間は変わるの

 
働き方改革が適用を開始してから、日本の労働環境に変化はあったのでしょうか。

2019年9月17日、一般社団法人日本経済団体連合会は「2019年労働時間等実態調査集計結果」を公表しました。

調査期間:2019年4月~5月
調査対象:276社(対象労働者数:123万3246万人)

(出典:2019 年労働時間等実態調査 集計結果
https://www.keidanren.or.jp/policy/2019/076.pdf

調査結果を見てみますと、総労働時間は減少傾向にあり、問題となっている時間外労働時間もわずかではありますが同じく減少傾向にあることがわかります。

一番大きく変わったのが、年次有給休暇の取得率です。

2018年のデータでは年次有給休暇の取得率が70.4%まで上昇しており、労働時間の削減にも大きく貢献しています。

働き方改革法案によって、有給休暇の取得が義務化されたことも年次有給休暇の取得率が向上した要因の一つですね。

ですが、年次有給休暇の取得率は職種・企業の規模・従業員数によって大きな違いがあります。

特に飲食業界や中小企業では働き方改革の浸透や取り組みがまだまだ進んでいないため、今後の課題としてさらに取り組んでいく必要があるでしょう。

◆飲食業界での働き方改革事例①:24時間営業の見直しと時短営業

『ロイヤルホスト』や『てんや』などを運営するロイヤルホールディングスが、24時間営業廃止を決定しました。

またファミリーマートは、来年3月からフランチャイズ(FC)加盟店が時短営業を選択できるようにする方針を発表した。

その動きに倣うように、ローソンやセブンイレブンなどの大手コンビニチェーン店も24時間営業の廃止や時短営業の採用を検討し始めています。

◆飲食業界での働き方改革事例②:飲食業界では珍しい土日祝日休みのシフトを採用

onakasuita株式会社が展開する『おはしkitchen』と『煮炊きやおわん』は、飲食業界ではあまり見かけない土日祝日が定休日の店舗です。

また社会保険や夏季休暇(10日程度)の取得など、従業員にとって嬉しい条件も多数揃えています。

好条件を揃えた求人を出すことで人材募集にはたくさんの人が集まり、定着率も大幅に伸びているそうです。

●ワークライフバランスの実現で日本は変わる

ワークライフバランスの実現で日本は変わる

 
今までの日本は労働を美徳し、終身雇用制度と引き換えに長時間労働を受け入れてきました。

しかし、時代は大きく変わっています。

労働人口の減少や少子高齢化などから雇用はどんどん流動的になり、終身雇用制度もついに終わりを告げようとしています。

「働き方改革」は、そんな時代の変化や深刻な社会問題を解決するための手段の一つなのです。

また同時に、働く人のQOL(生活の質)を向上させていくことも大切です。

労働だけを大切にするだけでなく、プライベートの時間をもっと充実させて仕事と生活の調和を図っていかなければなりません。

また、長時間労働の問題は従業員の定着率にも関係してきます。

店舗の利益だけを優先して従業員に無理をさせるような営業をおこなうことは、もう前時代的な経営となりつつあります。

従業員を増やし、なおかつし離職率を下げて店舗に定着させることができれば、安定した経営や営業が可能となります。

そのためにも、従業員が無理なく働けるシフトを作ることや、従業員が働きたいと思う待遇や条件を設けて還元することが大切です。

飲食業界においてもワークライフバランスを大切にし、働きやすい環境少しずつでも整えていきましょう。

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