飲食バイト・従業員が知りたい新型コロナ関連休業手当・補償制度
この発令によって不要不急の外出の自粛要請が出され、同時に街の飲食店などにも営業自粛要請が発令されました。
その後、緊急事態宣言は5月25日に全面解除となり、6月の初め頃からは徐々に営業を再開する飲食店が増えてきています。
しかし、すべての飲食店が元の状態に戻ったわけではありません。
緊急事態宣言解除後も休業を続ける飲食店もあれば、営業自粛中に閉店してしまった飲食店も数多くあります。
また、新型コロナウイルスは外食産業・飲食業界で働く従業員・アルバイト・パートの方々にも経済的なダメージを与えています。
そして、突然の休業や営業自粛によって給料が出ず生活が苦しくなった方がたくさんいます。
日本政府は、企業などで働く人たちを対象とした休業補償を開始すると発表していますが、
「本社やお店からの指示で休みになり収入が大幅に減ってしまったけど、給料の代わりに休業手当や休業補償は受けられるの?」
「どのようにすれば休業手当や休業補償を受けられるの?」
という疑問を持っている人も少なくないでしょう。
今回は新型コロナウイルスによって収入が急減した方々に、休業手当・休業補償・雇用調整助成金などについての情報をご紹介します。
●目次
- ・そもそも休業手当や休業補償とはどんなもの
- ・休業手当や休業補償は実際にいくらもらえる
- ・休業手当が支給されない!飲食店で働く人たちも収入減に苦しんでいる
- ・覚えておこう!休業者が直接申請できる新型コロナ対応休業支援金
●そもそも休業手当や休業補償とはどんなもの
まず休業手当や休業補償とはどんなものか学んでいきましょう。
◆休業手当とは?
休業手当は「使用者(つまり就業先の企業など)の責に帰すべき事由による休業」によって従業員が休んだ時に支払われる手当のこと。
会社の都合で仕事を休まされた場合には、平均賃金の60 %以上の「休業手当」を受け取ることができます。これは正社員のみならず、パート・アルバイト・派遣社員・契約社員も全て含まれます。
ここで注意しなければならないのが、災害などの不可抗力で会社が休業したときには休業手当が発生しないということです。
また、体調不良を理由として自主的に会社を休んだ場合も休業手当の対象にはなりません。
(新型コロナウイルスの恐れがあったとしても)
さらには、緊急事態宣言によって勤務先の会社や店舗が休業状態になった場合も休業手当をもらえない可能性があります。
ここまでの話を聞いていると、休業手当が支払われないため無収入になってしまうかもしれないと不安に思うかもしれません。
しかしご安心ください。休業手当とは別に休業補償という制度があります。
休業手当と休業補償は名称がとても似ているため同じ制度と捉えがちですが、実はこの二つは全く異なる制度なのです。
◆休業手当と休業補償の違い
休業手当は会社都合による休日に対して手当金が支払われるものでした。
それとは別に、休業補償とは仕事によって事故や病気になり業務の遂行ができなくなり、収入が減少した時に支払われる補償です。
ちなみに、休業補償のお金は労災保険から支払われるものとなっています。
この休業補償は、事故や病気以外に自己都合・会社都合・天災などのさまざまな理由で仕事を休むことになった時に補償されます。
●休業手当や休業補償は実際にいくらもらえる
続いては、休業手当や休業補償の受給額やその計算方法などを学んでいきましよう。
◆休業手当の受給額と計算方法
前述したように、休業手当では平均賃金の60 %以上を受け取ることができる一方、緊急事態宣言によって勤務先の会社や店舗が休業状態になった場合では休業手当をもらえない可能性があります。
ですが、法的な義務がなくても従業員に休業手当を支払った場合には、会社は国から「雇用調整助成金」を受け取ることができます。
助成されるのは従業員1人に対して日額8, 330円が上限とされていましたが、厚生労働省が雇用調整助成金の受給額の上限の引き上げを実施したため15,000円になっています。
ただし休業手当の支給は会社やお店の事業者や経営者が決定することであるため、どの会社やお店でも必ず休業手当が貰えるわけではありません。
◆休業補償の受給額と計算方法
休業補償は、1日につき給付基礎日額の80%が支給されます。
休業補償を受けたい場合は、まず会社に申し出ましょう。
作成した申請書類・医療機関の証明書・委任状などを労働基準監督署へ送付すれば支給決定通知が届き、その後に厚生労働省から給付金が支払われます。
詳しい計算方法はこちらをご確認ください。
休業補償の計算方法を教えてください。-厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyungyosei34.html
●休業手当が支給されない!飲食店で働く人たちも収入減に苦しんでいる
飲食店によっても事業者・経営者・オーナーの意向や方針で雇用調整助成金が申請されないため、休業手当をもらえないと悩む方がたくさんいます。
今回は大阪市内の串カツ店で働く主婦の方に取材を行い、休業手当や経済状況についてお話を伺うことができました。
【大阪市内の串カッ店で働く50代主婦の場合】
「私は大阪市内にある串カツ店で働いており、厨房での仕込みを担当しています。
新型コロナウイルス感染拡大の影響が出始めたのは3月下旬で、その頃からシフトがどんどんと減っていきました。
理由はやはり新型コロナウイルスによって客足が激減したためですね。
4月にはお店も完全に休業することとなり、私の収入も0になりました。
ですが、お店から休業手当が支給されることはありませんでした。
これは店長兼オーナーの判断です。
どうして休業手当が出ないのかお聞きしたところ、雇用調整助成金を申請するための書類準備が大変だからという答えでした。
お店が大変なこともわかっていたのでその場は話し合いが終わりましたが、これからの生活のことを考えるとやはり大きな不安がありましたね。」
ちなみに今回インタピューに答えていただいた方が働くお店は、小規模で経営されているお店とのこと。
飲食店を経営している方も飲食店で働く方も、収入の減少によって生活に大きな不安を抱えてしまっているのですね。
覚えておこう!休業者が直接申請できる新型コロナ対応休業支援金
会社やお店によって休業手当をもらえず経済的に困窮する人たちを支援するため、日本政府は「新型コロナ対応休業支援金」という新たな制度を創設しました。
この制度によって、本来事業者や経営者しか申請できなかった雇用調整助成金を労働者が直接申請できるようになります。
つまり会社から休業手当が支払われるのではなく、国から休業手当が支払われるという形になります。
「新型コロナ対応休業支援金」では勤務先で書類を作成してもらう必要もあるようなので、書類作成を依頼する場合は速やかに担当者などへ申し出ましよう。
その他、さらに詳細な条件や申請方法等については厚生労働省ホームページ等で今後公表される予定です。
まずは現状で受けられる給付金に休業補償、そしてこれから開始される新型コロナ対応休業支援金の制度を活用して生活への不安を解消していきたいですね。
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