新型コロナ後の外食事業向けガイドラインと飲食店の未来
これまで通りの営業スタイルを続けることは難しく、時代に則した新しい営業スタイルを作り出すという課題が生まれました。
緊急事態宣言が解除された後に、飲食店の新しい営業スタイルを作るためになにをどのように変えていけばいいのでしようか。
そんな悩める飲食店経営者やオーナーに向けて、一般社団法人日本フードサービス協会は「外食業の事業継続のためのガイドライン」を策定しました。
「飲食店は今後どのように営業していけばいいのか?」という問いについて、外食業の事業継続のためのガイドラインの内容を学びながら工夫やアイデアを、考えていきましよう。
●目次
- 外食業の事業継続のためのガイドラインとは
- 外食業の事業継続のためのガイドラインを見てみよう
- 外食業の事業継続のためのガイドラインを元に営業スタイルを見直そう
- アフターコロナにおいて飲食店が目指す営業形態とは
外食業の事業継続のためのガイドラインとは
新型コロナウイルスの感染拡大によって、苦境に立たされている外食産業や飲食業界。
2020年初頭から続いていたコロナウイルスの第一波はピークを過ぎましたが、それでもまだ脅威が過ぎ去ったわけではありません。
飲食店は新たに起こる第二波の可能性を考えながら、 感染防止に取り組みつつお店の営業を続けることが必要となってきます。
こうした中で、 日本政府は5月4日に「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」を変更しました。
さらに各業種の企業などに対して、 営業継続に向けたガイドラインを作成を指示することとなりました。
外食産業及び飲食業界については、
- 一般社団法人全国生活衛生同業組合中央会
- 全国飲食業生活衛生同業組合連合会(全国の飲食店が加盟する団体)
この2つの団体が共に協議をして、「外食業の事業継続のためのガイドライン」を作成することとなりました。
表題にはガイドラインという言葉もありますが、特に外食産業・飲食業界にとって強制力のあるものではありません。
企業や店舗の経営状況、そして該当する自治体や地域の実情を踏まえて工夫や取り組みを示す内容となっています。
飲食店の各事業者が外食事業を継続する中で感染防止対策に取り組む際には、「外食業の事業継続のためのガイドライン」を活用していくとよいでしよう。
外食業の事業継続のためのガイドラインを見てみよう
ではここから、外食業の事業継続のためのガイドラインの内容を見ていきましょう。
ガイドラインでは特に飲食店で実施すべき感染防止策のポイントが定められています。
営業を再開した飲食店関係者の方々も、ガイドラインの感染防止ポイントを押さえつつ新しい営業のスタイルを作っていきましよう。
◆外食業の事業継続のためのガイドラインで学ぶ感染防止対策のポイント
1)入店時
- 入店時に必要であれば体温を計測し、発熱や咳など異常が認められる場合は店内飲食をお断りさせていただく旨を掲示する。
- 手指消毒用に消毒液(消毒用アルコール等)を用意する。
- 飛沫感染、接触感染を防止するために順番待ちなどには十分な間隔を確保する、など。
2)客席へのご案内
- テーブルは飛沫感染予防のためにパーテーションで区切るか、できるだけ2m (最低1m)以上の間隔を空ける。
- 真正面の配置を避けてできるだけ横並びになるよう配置する。
- 他グループとの相席は避ける、など。
3)テーブルサービスとカウンターサービス
- テーブルで注文を受ける際はお客様の側面に立ちつつ可能な範囲で間隔を保つ。
- カウンターで注文を受けるときはお客様の正面に立たないように注意する。
- 従業員のマスク着用やカウンターの仕切り設置など工夫する。
- 大皿料理は避けて料理は個々に提供するほか、従業員等が取り分けるなど工夫する。
- 個室を使用する場合は十分な換気を行う、など。
4)会計処理
- 会計処理に当たる場合は可能であれば電子マネー等の非接触型決済を導入する。
- 現金やクレジットカード等の受け渡しにはコイントレイ(キャッシュトレイ)などを使用する、など。
5)テイクアウトサービス
- テイクアウトではできるだけ事前予約注文を受け付けるなどの仕組みを導入する。
- テイクアウト客と店内飲食客の動線を区別して接触を避けるように工夫する、など。
6)デリバリーサービス
- 可能であればデリバリー専用カウンターを設けて手指を消毒してから料理を受け渡す。
- 配達員についても手洗い等の衛生管理を実践してマスクを着用する。
- 食中毒等の防止のため料理は早めに消費するようお客様に注意を促す、など。
従業員の安全衛生管理
- 食品を扱う者の健康管理と衛生管理を徹底する。
- 従業員は必ず出勤前に体温を計り、発熱や風邪の症状がみられる場合は店舗責任者に報告をして勤務の可否等の判断を仰ぐ。
- 店舗ではマスクやフェイスガードを適切に着用して頻繁かつ適切な手洗いを徹底する、など。
店舗の衛生管理
- 店内(客席)は適切な換気設備の設置及び換気設備の点検を実施して徹底した換気を行う。
- 店内清掃を徹底して多数の人が触れる箇所は定期的に消毒液などで清拭する。。
- 卓上には原則として調味料・冷水ポット等を置かないようにする、など。
- ビュッフェやサラダバー及びドリンクバーは利用者の飛沫がかからないように保護などをする。
- トイレのハンドドライヤーは使用を中止してペーパータオルを置く。
- トイレ、厨房の調理設備についても衛生管理を徹底する。
- 感染防止対策に必要な物資(消毒剤、不織布マスク、手袋など)は常に一定の必要量を備蓄しておくことが望ましい、など。
外食業の事業継続のためのガイドラインを元に営業スタイルを見直そう
ここまで外食業の事業継続のためのガイドラインの内容を一緒に学んできましたが、コロナ以前のような営業スタイルに戻ることはとても難しいということがよくわかりました。
感染防止のために「密閉、密集、密接」の「三密」を避けるという新しい考え方が生まれた今、アフターコロナの世界で飲食店が営業を継続するために「三密」の回避を徹底しなければいけません。
座席や人同士の間隔を広く確保することや店内の定期的な消毒など、今後の営業に向けた課題は多くあることでしよう。
その中でも売上を上げなければなりませんので、例えば店舗の回転率を上げたり料理や食材の単価見直したりするなども合わせて行わなければいけませんね。
アフターコロナにおいて飲食店が目指す営業形態とは
今回は外食業の事業継続のためのガイドラインの内容を学びながら、アフターコロナの世界における飲食店の営業スタイルについて考えてみました。
今までのような営業スタイルを捨て、新しい営業スタイルを作り出すことは決して容易なことではありません。
しかし、これからの状況を改善していくためにも飲食店の営業スタイルや方針を変化させていくことが必要です。
ご紹介した外食業の事業継続のためのガイドラインなどを参考に、経営方針や営業スタイルの転換を考えてみてはいかがでしょうか。
以下のURLから「外食業の事業継続のためのガイドライン」の全文を見ることができますので、飲食業界関係者の方は一度目を通しておくことをおすすめします。
出典:外食業の事業継続のためのガイドライン一一般社団法人日本フードサービス協会
https:///www.jfnet.or.jp/contents/_files/safety/FSguideline_20514.pdf