【パン屋の仕事内容】1日の流れ、やりがい、個人店・チェーン店の違い

パン屋の仕事について徹底解説します。仕事内容から1日のスケジュール、やりがいまで具体的に解説します。

パン屋の仕事は、パンを作る・焼くだけではありません。意外と重労働できつい一方で、やりがいもあります。また個人店とチェーン店では、働き方がまったく異なります。今回はこういった実情について、パン職人さんにインタビューしたので、リアルな声をお届けしますね。

これからパン屋で働いてみたい方は必見です。最後には、仕事探しのポイントも伝授します。

●目次

●今、パン屋の人気が上昇中!?

今、パン屋の人気が上昇中

近年、日本ではパン屋のニーズが増加していることをご存知でしょうか。

総務省統計局「経済センサス」の調査によると、近年のパン屋の商品販売総額は、2012年で3,125億、2014年で4,171億、2016年で4,723億と右肩上がりに拡大しており、年々パン屋の需要が上がってきていることがわかっています。

(参照:総務省統計局|令和元年経済センサス-基礎調査 調査の結果

また、昔ながらのお持ち帰り専用のパン屋だけでなく、出来立てパンを提供するベーカリーショップや、イートインでカフェのように食事も楽しめる業態が増えており、幅広い消費者のニーズを捉えていることも要因だと考えられます。

言い換えれば、パン屋での仕事が多様性を増しているということ。

一概にパン職人だから、ひたすらパンを作る・・・というだけでなくパン屋の仕事にも様々な選択肢と可能性があるということがわかります。

●パン屋の具体的な仕事内容とは

パン屋の具体的な仕事内容とは

パン屋の仕事といえば、パン職人という名前の通りパンをつくることが本業です。パンづくりと言っても、焼くだけが仕事ではありません。

生地づくりや生成、焼き上げ、飾りつけといった一連の作業があります。パンを焼き終わった後には、梱包や陳連、販売、接客、会計も対応しなければなりません。イートインスペースがあるお店では、ドリンクの提供やテーブルの片付け・掃除も行います。

シフトによってはお店の開店準備から閉店の片付け、清掃をします。このようにパンを焼く以外にも、たくさんの仕事内容がパン屋にはあります。

●パン屋の仕事はきついって本当?

パン屋の仕事はきついって本当

パン屋の仕事は、きついという意見があります。紹介した仕事内容だと、それほどきついように見えません。

しかし、小麦粉などの重たい材料を運んだり、立ちっぱなしで重量のあるパン生地を扱ったりと「力仕事」でもあると言われています。

一般家庭でのパン作りとは違って、パン職人は素材も調理も異なる数十種類のパンを同時進行で大量に作ります。

なおかつ、開店時間や提供時間に合わせ、限られた時間でパンを仕上げなければならないことから、美しく仕上げる技術はもちろん、段取りの良さといったスピード感や工夫も求められます。

また、職場・従業員数によっても異なりますが、限られた時間で商品を作るために、複数のスタッフとコミュニケーションを取りながら協力してパン作りを行う場面も多くあります。

体力とスピード感、そして精度の高さ、連携プレーが求められる現場。こういうった仕事内容に、きつい、大変そうだと感じる方がいるかもしれません

しかしパン屋といっても働き先の経営状況によって大きく仕事内容が変わります。法人経営のチェーン店か、個人経営のベーカリーに大きくわけられます。

その違いとは一体どこにあるのでしょうか。

●法人経営/チェーン店のパン屋で働く場合

法人経営/チェーン店のパン屋で働く場合

大手のパン屋さんは、材料や作る手順、形などを本部が指定していることがほとんどです。

場合によっては、あらかじめ工場で作った均一の生地が各店舗に配送され、店舗での作業は形作りと焼あげのみ(ベイクオフ製法)、ということもあります。

これは店舗や作る人によって品質に差が出ないようにするためです。

パン生地工場から冷凍された生地を仕入れるので、店内での作業が少なく大きな設備や技術がいりません。会社としては、パン製造におけるコストを抑えることができます一方で、パンの仕様が一律に制限されてしまうため個性が出しにくいというデメリットがあるのも事実。

しかし会社によっては、売れ行きの傾向から店舗限定商品を作ったりと独自のアイデアで工夫をすることが可能です。新商品開発の社内コンペが行われる企業では、積極的にアイデアを発信するチャンスがあります。

また調理と接客とで分業している店が多いのも特徴です。販売だけのスタッフもいれば、1日中製造を行うスタッフもいて、みんなで1つの店舗を運営しているといったイメージが近しいでしょう。

仕事をする立場から見れば、「1つの仕事・業務に専念しやすい」、「マニュアル化があるので安心して働ける」のが法人経営・チェーン店の魅力ですね。

●個人経営/独立店のパン屋で働く場合

個人経営/独立店のパン屋で働く場合

個人店では、材料の仕入れ、商品開発、価格の設定など、パン屋を運営する上で必要な作業、すべて(オールスクラッチ製法))を行います。

パンの基本の”小麦粉”は産地によってタイプが異なるので、作りたいパンによって種類を使い分けたり独自配合を行ったりします。素材の選定や配合率の調整もパン職人ならではの仕事。

小規模なお店では、お客様が同じパンに飽きないように新メニューの開発や、キャンペーンなどの企画といった工夫が大切です。最近ではどんなパンが、どんな理由で人気なのか・・・など、世の中の流行を敏感にキャッチできるアンテナを張っておかなければなりません。

また接客・販売の両方を行います。マルチタスクを求められることも少なくなく、お客さまとのコミュニケーションも大事な仕事内容となってきます。

パンを作る、パンを販売するといった2つの軸に変わりはありません。しかし、1人に求められる仕事やスキル・工夫、仕事の回し方、商品のオリジナリティの幅に差が生まれます。

個人店では、お店独自のやり化やルールがあります。どのような仕事に携われるのか、もしくは関われないのかは、働く前に把握しておくことをオススメします。

●パン屋の仕事:1日の流れ

パン屋の仕事:1日の流れ

パン屋で仕事をする場合、1日の流れをご紹介します。

筆者の姉夫婦は、この道5年のパン職人をしています。パン・製菓の専門学校を卒業し、大阪府で法人経営を行う某ベーカリーで勤務後、今では和歌山県で個人経営のパン屋に就業中。

今回は2人に、1日の勤務スケジュールを聞いてみました。

①法人のパン屋で働いているとき(仕事内容)

筆者の実姉が法人で働いていたときのスケジュールを取材してみました。

大阪の八尾エリアで複数店舗を持つ法人経営のパン屋での勤務スケジュールは以下の通り「早番」と「遅番」に分かれていたとのこと。

〔4部制のシフト勤務〕
〔早番〕
3時半~15時
4時半~16時

〔遅番〕
5時半~17時
6時半~18時

パン屋の仕事:1日の流れ

オープンの時間は毎朝6時。小麦粉や卵、バターなど材料の用意からパンの仕込み、開店の準備までを行うため出勤時間は、早くて朝の3時半、遅くても6時半です。

働き方のスタイルは分業制で、出勤時間によって「仕込み」「焼き」「成型」と持ち場がかわるのだとか。とくに、「仕込み」の担当の日は一番はやい出勤だったといいます。

筆者「…朝、早すぎない?私、普通に寝てるわ。」

姉「まぁ、早いけど慣れたかな。早番遅番があるから、夕方遅くに来たお客様にも焼きたてのパンを提供できるし、そこはこのお店のいいところと思う。」

また、彼女の働いていた環境では、早番と遅番で分業されていたため、お客様の対応を製造者が対応できるというメリットもあったようです。

ちなみに、勤務時間のうち各シフトいづれも休憩は1時間で、お客様の入店状況などによってはサービス残業もあったとのこと。

ただ基本的には当番制のシフトが組まれていて、時間割もきっちりとしていることから法人ならではの安心感があると感じました。

①法人のパン屋で働いているとき(きついこと・やりがいは?)

法人のパン屋で働いているとき(きついこと・やりがいは?)

パン職人の姉にパン屋で働いてきついと思ったことや、嬉しいと思ったことはないか尋ねてみました。

筆者「パン屋の仕事ってイメージつかないんだけど、辛かったこととかないん?」

姉「う~ん、初めてやる持ち場は緊張感があって、慣れるまでは要領が悪くて、思うように動けなかったこととか?覚えが悪くて何度も失敗して悔しかったわ。少しずつ、自分なりに工夫していったけど」

パンを焼くと言っても、お金をいただいてお客様に商品として提供するのが職人の仕事です。商品としての価値のあるものを作れなかったとき、配合を失敗してうまくパンが膨らまなかった時はそれがそのまま損失となってしまうのでプレッシャーも甚大なるものなのです。

筆者「逆に嬉しかったことは?」

姉「焼きが美味しそうに、綺麗に、出来たとき。あとは、バゲットのクープが上手く入ったとき。(クープとはバゲットの切り込み)上達が形として目に見える仕事だから嬉しかったよ。」
姉「あとは、働いていたお店が店内を見渡せる厨房だったから、お客様の表情や喜んでくれている気持ちが伝わってきて、やりがいを感じる。」
お客様との距離が近い環境だったため、自分の作ったパンが買い手の手元に届くまでを見届けることができるのは大きなやりがいにつながります。

その他にも「自分の考案したパンが商品として店に並び、完売したら嬉しい!」という意見もありました。やはり、悔しさも喜びも作り手としての結果に由来するものであることを感じました。

②個人のパン屋で働いているとき(仕事内容)

個人のパン屋で働いているとき(仕事内容)

個人経営のパン屋で働いている姉夫婦の旦那さんにも同じようにタイムスケジュールと仕事の辛いこと、やりがいを聞いてみました。

彼の働く職場は、和歌山県にある個人経営のベーカリー。なんと山の中にあるちょっと変わった特殊なパン屋です。

自然派のベーカリーをコンセプトにしており、使用する素材や雰囲気作りにもこだわりがあるのだとか。店内にはカフェスペースもあり、山の頂上から自然の絶景を眺めながら食事を楽しむことができます。

出勤時間やシフトについて聞くと、交代制はなかったとのこと。早番遅番もありません。

【交代制なし】
5:00~終わり次第終了

旦那さん「個人店で人数も少ないから、交代制とか早番遅番はない。朝は5時からで終わり次第終了って感じかな。定時とか決まりはなくて、早ければ16時には終わるし、繁忙期は19時って時もある。」

“朝の早起きはきつい”という声もありますが、慣れてきたら平気だと姉夫婦の旦那は言います。休憩は1時間(実質50分程度)でランチタイムなどは込み合うため時間をずらして休みをとっています。

②個人のパン屋で働いているとき(きついこと・やりがい)

個人のパン屋で働いているとき(きついこと・やりがい)

やりがいを聞いてみると、お客様が自分の作ったパンを喜んで食べてくれることはもちろん、個人店ならではの「こだわり」が強く”パンを作ること”自体がとても楽しいといいます。

さらに天然酵母のパンを販売しており、材料はすべて国産小麦のオーガニックのものを使用しているお店だそうで・・・・。

天然酵母で作ると、時間も手間もかかることから1日の生産量は決まっています。追加で新しい生地を作ることはできません。

同じパンでも日によって、気温や天候や湿度によって仕込み方を調節するのでやり方が毎日異なります。生産性や安定性の部分ではやや大変さを感じますが、その分、作り手の面白さというものも倍増します。

旦那さん「他にも、パンを焼くための「薪割り」を自分たちで行ったり、自家農園のキンカンを栽培して、ジャムやコンポートを作ったりと、都会的な店舗にはない事も仕事に含まれてるよ。」

例えば、ブルーベリー、キンカン、バジル、パセリ、ミント、フェンネル、シナモンバジル、などを自家栽培するといったことや、あんこ、カスタード、バターも豆やミルクから手作りしています。カスタードについては、牛乳だけじゃなく地元のヤギのミルクでカスタードを作ることもあり、素材選びにもこだわり抜いています。

1つ1つ手間ひまかけたパンは、量産することは厳しいものの、個人経営だからこそできるこそできる強みだということがわかりました

●大事なことはどんな環境で働きたいのか

大事なことはどんな環境で働きたいのか

人気の職業「パン屋さん」の具体的な仕事や1日の流れ、やりがい、個人店・チェーン店の違について、ご紹介しました。

法人と個人の経営では別の職場かと思うくらい仕事内容に違いがみられましたね。パンを作るといっても、できることできないことは職場によって変動します。

そこで仕事選びをする際に大切になるのは「どんな環境で働きたいのか」ということです。

より多くのお客様に届けられるような環境か。
いつでも焼きたてのパンを提供できる環境か。
大勢ではないけれどこだわりのパンを販売できる環境か。
自分のアイデアや工夫で、お店の経営に関われる環境か。

「自分にとって何がもっとも理想であるのか」というところで職場探しをしていくと理想の働き方に近づけるのではないでしょうか。例えば、お客様と距離が近いお店なら、焼きたてのパンを提供するカフェやレストランも選択肢の1つになります。自分の軸を持つことが重要ですね。

「パン屋さんになりたい!」とお考えの方はぜひ、現役パン職人のリアルな声を参考に仕事探しをしてみてくださいね。

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