なぜクラシック音楽をBGMにすると売上がアップするのか~はじめての人でも、今日から使いたいクラシック音楽も紹介~①

なぜクラシック音楽をBGMにすると購買意欲が上がるのか|テンポ・音量編

2018年、韓国・平昌で開催された冬季オリンピック。
17日にわたって熱戦が繰り広げられ、その幕を閉じました。

テレビの前で応援をされていた方も、少なくないのではないでしょうか。
フィギュアスケート

日本勢が獲得したメダルは、過去最多の13個でした。
とりわけ話題を呼んだのが、フィギュアスケートの男子で大活躍をした羽生結弦選手宇野昌磨選手

大絶賛された演技で使用された楽曲は、ショートプログラムでは羽生選手がショパンのピアノ曲「バラード1番」

宇野選手がヴィヴァルディの「四季」から「冬」

そしてフリーでは、それぞれ映画『陰陽師』より「SEIMEI」、プッチーニのオペラ「トゥーランドット」

唐突ですが、使われている音楽について気づかされることがあります。フィギュアスケートでは、クラシック音楽が好まれる傾向にある点です。

演技の印象づくりに極めて重要な役割を果たすためだと考えられます。

前置きが長くなりましたが、ここで飲食業界の話題へと移っていきましょう。今回のコラムで取り上げたいのは、店内で流すBGMについて。

フィギュアスケートのように音楽によって、お店の雰囲気や料理の印象は変わります。
ただ変わるだけではなく、お客様の購買意欲や満足度にも影響を与えます。

とくに近年、注目されているのがクラシック音楽です。どのような影響をクラシック音楽が与えるのか、どうやって活用をすればいいのがおススメの楽曲も紹介していきます。

クラシック音楽について知識がなくても問題ありません。はじめての方でも、効果的な活用方法を説明します。

なかでもイタリアンやフレンチ、ドイツといった洋食を提供するお店(バルやビストロからリストランテ、洋食居酒屋など)で、効果を狙ってBGMを流したい場合には必見です。

テンポの遅いBGMで、お客様は長時間滞在して、お酒を多く飲んでしまう

テンポの遅いBGMで、お客様は長時間滞在して、お酒を多く飲んでしまう
そもそもBGMは、飲食店において消費者の購買行動にどのような影響を与えるのでしょうか。

BGMのテンポと音量ジャンルが大きく関係します。
1つずつ見ていくことにしましょう。

シカゴ大学出版局で公表されているロナルド・E・ミリマンの研究(1)では、テンポに着目をしています。

週末の夜、ある高級レストランでBGMに楽器の生演奏を流す実験を行ったところ、2つの結果が導かれました。

1つは、テンポの速いBGMに比べて遅いBGMを流した方が、顧客が途中で帰らずに、席に案内されるまでの待ち時間、および着席後の滞在時間を延長できる。そして、アルコール飲料を飲む量と利益が多くなる。

またオックスフォード大学のチャールズ・スペンス教授は、音量が味覚に影響を与えるという研究(2)を発表しています。

被験者が大きい音と小さい音のホワイトノイズ(テレビの砂嵐など、すべての師周波数で同じ強度となる雑音)を聴きながら、クッキーとチップスを食べるという実験を行いました。

結果は大きい音を聴きながら食べた被験者は、塩味や甘味を感じにくかったと報告しています。そして調子が外れた音、またはテンポが速すぎる音は、酸味を強く感じさせることも述べられています。

さいごに

テンポと音量
テンポ音量に関するBGMの研究を紹介しました。
ぜひ長時間の滞在やお酒の追加オーダーを狙いたい場合は、参考にしてみてください。

例えば、クラシック音楽ではありませんがスロージャズというジャンルがおススメです。一度動画サイトなどで検索をしてみてください。

個人的には世界3大ジャズフェスティバルの1つ、モントルージャズフェスティバルのYouTube公式サイト(https://www.youtube.com/user/montreuxjazzvideos)が一押しです。すべてスロージャズではありませんが、世界最高峰のジャズプレイヤーの演奏が視聴できます。

次のコラムでは、音楽ジャンルがどのような影響を与えるのか、さらには、BGMとして使いたいクラシック音楽を紹介していきます。

シリーズ②では、BGMのジャンルがお客様の味覚や消費行動に及ぼす影響をまとめています。

シリーズ③では、クラシック音楽初心者でも聞きやすい楽曲をまとめて紹介しています。

BGMについて、こちらの記事もオススメです。

【参考文献・リンク】
(1)Ronald E. Milliman『The Influence of Background Music on the Behavior of Restaurant Patrons』 Journal of Consumer Research, Vol. 13, No. 2 (Sep., 1986), pp. 286-289

(2)An expanding volume of research suggests sound has a significant impact on taste|Public Radio International

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