「食」で辛い「春バテ」を予防する方法
今回は、これから本格化していく「春バテ」に注目。
春が本格化していくと辛くなるイライラ・ストレス。
飲酒や買い物で発散していませんか?
普段の「食」を通して、予防する方法について解説します。
まだまだ寒い時期が続いていますが、
暦で言えば季節は春を迎えました。
2019年2月3日は平成最後の節分、
そして2月4日は立春。新しい季節の訪れが、告げられました。
このタイミングから注意をしたいのが「春バテ」です。
なってから解消するのではなく、なるまえに対策しておくことが得策。
まずはイライラ・ストレスを溜めやすい「春バテ」の症状や問題について解説をしています。
「夏バテ」よりも辛い「春バテ」とは
春と言えば、卒業・入学、入社、年度初めなど新しい環境・生活がスタートします。
やる気が出て、活発に動きたくなる季節。
一方で花粉症や体調不良に悩まされる方も少なくありません。
株式会社アイリックコーポレーションが、20歳~60歳の男女各300人を対象に取ったアンケート⁽¹⁾を参考にしてみましょう。
冬から春にかけて体調不良を感じているのは男性の66.7%、女性については84.7%に上ることがわかりました。
体の困りごととしては、肩こり、花粉症、冷え性、腰痛、疲労感・倦怠感が上位にランクイン。
さらにはストレスを溜まることがあると回答した人は、78.7% (472 名)となりました。
とくに節分・立春を過ぎた頃から怒りっぽくなり、イライラしやすくなるのが特徴です。
一般的には「春バテ」と呼ばれている症状です。
知恵蔵⁽²⁾には、こう解説されています。
春に感じる心身の不調のこと。夏バテに似た症状が春先に起こることから生まれた造語で、医学用語ではない。激しい寒暖差や気圧の変化、生活環境の変化によって生じるストレスなどが原因で自律神経の働きが乱れ、だるさ、疲労感、肩こり、不眠、気分の落ち込み、イライラなどの症状が引き起こされる。
感情・精神的なストレスにアレルギー反応をともなう「春バテ」は、人によっては「夏バテ」よりも辛いかもしれません。
先ほどのアンケートによれば、男性はお酒、女性はショッピングで「春バテ」のストレスを解消しているようです。しかし、これでは一時的な気休めとなり、根本的な解決にはなっていません。
今回は「春バテ」の原因を探って、予防する方法を迫っていきます。
陰陽五行で「春バテ」に対策をする
東洋医学の陰陽五行説から紐解いていきましょう。
以前、『冬に活躍する「腎」と「食」の関係』(https://colum.shokujob.com/wp/tips/2017/01/276/)
というコラムでも紹介をしましたが、下図の横軸(色付けされた部分)が互いに関係して、心や身体に変化のサインを送っています。
五臓では【肝】、五腑では【胆】が春に活躍します。
春でも寒い時期は続きますが、身体に負担をかけるのは、気圧や日照時間などの気候変化だけではなく、日中と夜間の寒暖差です。
この差が激しくなることによって、酸素・栄養素を運ぶ血液、さらに余分や老廃物・毒素を排出するリンパ液に影響を及ぼします。
体に必要な酸素・栄養素を循環させ、不要な老廃物・毒素を分解する役割を担っている内臓が肝臓、そして胆のうです。
肝臓・胆のうでは新陳代謝によって、これらの働きをコントロールしています。
春には、健康体であったとしても肝臓のバランスを崩しやすくなります。
肝臓・胆のうの機能が低下すれば、自律神経系を乱したり、目や筋肉、爪に不調が現れたりして、これらが「春バテ」の引き金なってしまうのです。
結果的に眼精疲労やドライアイ、頭痛、めまい、むくみ、疲労感、怒り・イライラといった症状が発生。
新芽のように、まだ土からは出ておらず、エネルギーを内に溜め込んだような状態に陥ります。
栄養も不必要なものに滞っている状態だからこそ、肝臓・胆のうの機能を正していく必要があります。
そこで役立つのが、食べ物です。
じつは肝臓の不調を改善、予防してくれる食材や料理があります。
これを東洋医学では、食養生と言います。
食養生をするために春の五味は、すなわち酸味が効果的です。
酸味のある食べ物や生薬と言えば、青いものや芽吹く食材です。
おススメの食材を紹介します。
【野菜】
ほうれん草、さやえんどう、ピーマン、ブロッコリー、三つ葉、ニラ、小松菜、せり、セロリ、春菊、ヨモギ、梅、小豆、ごま、発芽玄米、山椒、麦
【果実】
すもも、イチゴ、ぶどう、りんご、レモン
【海鮮】
シジミ、アサリ
【肉】
鶏肉
【調味料】
酢
どれも旬で旨味が凝縮されているため、過食することがあります。
食べ過ぎてしまうのを抑えるために、甘みを加えると効果的だと言われています。
料理では酢の物や甘酢あんかけ、甘酢漬け、ハニーマスタード炒めといったレシピが挙げられるでしょう。
レシピ例をいくつか取り上げます。
*鶏肉とチンゲン菜のごま酢炒め
https://www.kurashijouzu.jp/2018/10/recipe-1312/
*イチゴと山うどの酢の物
https://cookpad.com/recipe/3085443
*ハチミチ鶏と春キャベツのバルサミコ酢煮
https://www.kurashijouzu.jp/2016/04/recipe-725/
酸味を食事に取り入れることで、肝臓の機能が活躍・回復していきます。
結果的に血液や栄養が巡り、毒素が排出されて、自律神経が正常に働きます。
これこそ食養生による「春バテ」対策。
イライラ・怒り、ストレスを発散するのではなく、溜めこまない身体づくりをしてみましょう。
さいごに
新しい環境、新しい心境で始める、大切な季節。
節分・立春から「春バテ」にならないため、花粉症で苦しい想いをしないためにも、春の食生活を意識してみてはいかがでしょうか。
飲酒やショッピングをしてストレス発散もいいのですが、普段の食事を通して対策は可能です。
ストレスを抱え込まない、肝臓・胆のうに負担をかけない身体づくりをしてみて下さい。
また飲食店を経営されている方は、春バテ対策メニューや花粉症予防メニューとして、春限定メニューを考えてみられてはいかがでしょうか。
【参考文献・リンク】
⁽¹⁾女性の8割以上が不調を抱える季節!冬~春の体の困りごとは「肩こり」「花粉症」「冷え性」|株式会社アイリックコーポレーション
https://www.irrc.co.jp/pdf/press393.pdf
⁽²⁾知恵蔵miniの解説|コトバンク
https://kotobank.jp/word/%E6%98%A5%E3%83%90%E3%83%86-1824469