今回は『桜珈琲』の魅力と、富田林店でのグルメレポートをシリーズでお届けしています。前編では、なぜ郊外型カフェである『桜珈琲』が絶大な人気を誇るのか解説をしました。
独自のブランディングを軸にした空間づくり、パンをはじめとする多彩なメニューなど、『桜珈琲』の魅力をひも解いてきました。
後編では、実際のグルメレポートをお届けします。今回訪れたのは『桜珈琲』富田林店。富田林店ならではのカフェ体験をまとめてみました。
『桜珈琲』グルメレポート
『桜珈琲』富田林店。
大阪府道203号富田林狭山線沿いにお店はありました。
最寄駅からは離れており、遠方からは自動車かバイクでなければ足を運ぶことは困難です。飲食店は、駅近であることが理想と考えられています。利便性が高いからです。
しかし郊外型カフェである『桜珈琲』は、この発想を逆手にとって、”わざわざ”通わなければ行けないカフェという戦略を採っています。不便性が、『桜珈琲』ならではの魅力づくりに寄与しています。
以前、駅から遠くにあっても繫盛する飲食店のノウハウについてコラムにしたことがありますが、人気店を作るために一等地である必要はありません。郊外でも『桜珈琲』のように、ポイントを抑えればファンを作ることは可能です。
とくに富田林店が好きだという友人Rさんと、”わざわざ”訪れてみました。ランチ・カフェの時間帯は満席が予想されるため、平日の18時ごろを狙って訪問。
お店は、豊かな自然に囲まれた住宅街の中に、ポツンとありました。周辺の緑に溶け込みながらも、設えから趣のある雰囲気を醸しています。
店構えから、独特な雰囲気を醸す『桜珈琲』
お店に入ると、広い店内の様子が目に飛び込んできました。満席ではありまありませんが、それでも5~6割くらいの客席は埋まっていました。
お店の中央には、噂に聞いていた通り桜の木。夜にはライトアップされて、美しく幻想的な表情をみせます。
そして石庭を囲むようにして、店内が設計されていました。テーブル席にソファ席、カウンター席と様々なタイプの席があります。屋外にはテラス席もあるようです。
待つことなくテーブル席へと通してもらえました。まだメニュー表も開いていませんが、すでにリラックスモードの筆者。これから素敵なカフェタイムが始まりそうな予感で、胸が踊っています。
石庭を囲むように設計された客席
問題は、メニュー選びです。あまりにも豊富なメニューがあり、今回だけで『桜珈琲』の魅力は味わいきれそうにありまありません。
とりあえず今後のことを考えて、食事系とスイーツ系でそれぞれ1品ずつを注文することにしました。
この時期しかないという「季節限定おすすめメニュー 桜たまて箱」と、「ジェラートセット」です。どちらもドリンクが1杯付いています。
「季節限定おすすめメニュー 桜たまて箱」
「和カツサンド」
まずは「季節限定おすすめメニュー 桜たまて箱」から。
和カツサンド、珈琲わらびもち、きなこわらびもち、吹きよせスウィーツ、ドリンク付きのお得なセットメニューです。さっそく頂くことにしましょう。
和カツサンドを口に入れた瞬間に驚かされたのは、その美味しさ。和風ベースのソースが、肉厚なカツによく染みわたっています。カツサンドと言えば、洋風ソースということに慣れた舌がビックリ。
お肉やソースだけじゃなくて、パンや生地との相乗効果もあるのでしょう。深みのある旨味が、口いっぱいに広がります。ここ最近食べた中では、ナンバー1のカツサンドだと断言できます。
「ふんわりシフォンケーキ」
「珈琲・きなこわらび餅」
和カツサンドの奥にある桜たまて箱のフタを開ければ、ふんわりシフォンケーキがお出まし。新鮮な季節のフルーツと、生クリームをたっぷりと乗った吹きせよスウィーツです。
ガッツリとした和カツサンドの後でも、アッサリと食べられるシフォンケーキ。滑らかで甘さを抑えた生クリームが、キウイフルーツ、マンゴー、メロン、イチゴの酸味や甘さを際立たせてくれます。
もう1つのスウィーツは、珈琲・きなこわらび餅。夏季限定で提供されているメニューです。モチモチとした食感に、ひんやりとした冷たさが心地よくてお口直しにピッタリです。とくに珈琲のわらび餅は、ビターな刺激を楽しませてくれて、とても気に入りました。
こちらのセットには、本日のコーヒーを選択。コーヒーは、インドネシア・ワハナ農園産の豆を使用。メニュー表には「インドネシア有数の農園「ワハナ農園」の希少品種ロングベリー。カカオを感じる芳醇な香り、バターのような重厚な口当たり。口の中にしっかりとした甘さが残ります」と解説されていました。
スウィーツと一緒に味わうには最適な1杯です。続いてジェラートセットも試してみましょう。
「ジェラートセット」
「黒ごまと抹茶あずきのジェラート」
「ジェラートセット」は、お好きなジェラート2種、手作り焼き菓子、ドリンクが付いています。
ジェラート好きな筆者にとって悩まされたのは、ジェラートのラインナップ。苺ミルフィーユ、はちみつ伊予柑、フランボワーズ、ショコラ&ショコラなど、魅力的なジェラートたちが目白押しでした。
悩んだ挙句、選んだのは黒ごまと抹茶あずき。ほかのジェラートたちも、次回必ずや制覇していきます。なんの宣言でしょうか・・・。
「濃い目の抹茶に、ほんのり甘いあずきが隠れている」
「優しい甘さの中に、黒ごまの風味が香る」
和スウィーツな気分だったこともあり、どちらも正解でした。シンプルだからこそ、お店の実力もわかります。カフェですが、パンやパフェ、ケーキだけではなくジェラートにも本気の『桜珈琲』。
抹茶あずきは深みのある抹茶に、あずきの粒が絡んで、何とも言えない甘みが広がります。黒ごまは、優しい甘さの中で、黒ごまの香ばしい独特な風味が香ります。
「色んな焼き菓子との組み合わせが楽しい」
ジェラートは、いつもカップよりもコーン派の筆者。嬉しいのは、色んな焼き菓子が付いていることです。しかも、すべて手作り。
コーンは、ワンパターンしか楽しめません。しかし焼き菓子にもこだわる『桜珈琲』の強みを活かして、色んなジェラートの楽しみ方をさせてくれます。
どの焼き菓子に、どちらのジェラートが合うのか。いろいろと試させてもらえました。個人的には、黒ごまは単体で、抹茶あずきと焼き菓子の組み合わせをするスタイルが気に入りました。
味だけではなく楽しみ方を含めると、大変、満足度の高いジェラートだと言えるでしょう。
「桜の和紅茶」
ドリンクには、桜の和紅茶を選びました。コーヒーではなく、あえてジェラートと合わせて和テイストで統一。和紅茶という珍しく、でも『桜珈琲』ならではの1杯です。
桜の香りが広がる花びらがブレンドされています。これは、何も加えずにストレートで頂くのが正解。とても華やかで、上品な紅茶です。桜の木の横で、桜を感じながら、優雅なひと時を過ごすことができます。
「レシートの裏には、洒落たメッセージが・・・」
「季節限定おすすめメニュー 桜たまて箱」と、「ジェラートセット」を通して、充実した夕方のカフェタイムを送ることができました。
料理はもちろんですが、空間も気に入り過ぎて、気が付けば3時間ほどが経過していました。女子会のように盛り上がってカフェタイムを過ごしてしまった筆者。『桜珈琲』の魅力に、すっかりと虜になってしまったのかもしれません。
会計をしようとレシートに手を伸ばすと、裏面にはメッセージが書かれていました。「人生には3つのものがあればい 希望と勇気とサムマネー」。サムマネーをお支払いして、帰ろうとしたのですが・・・。
「充実のテイクアウトコーナー」
レジ横にあるテイクアウトに目が移りました。生菓子から焼き菓子、ジェラートまでかなり充実しています。
はじめはウインドウショッピングと思っていましたが、いつの間にかシフォンケーキを買ってしまっていました。自宅用はもちろんですが、お土産やプレゼントにもきっと喜ばれることでしょう。
お店を出るなり「次はいつにしますか?」と、次回の訪問までRさんと相談。本当に良い時間を過ごすことができました。富田林店をはじめ、『桜珈琲』全店を制覇していくのも面白いでしょう。
またお店を出る際、発見したのですが富田林店限定メニューもあるとのこと。『桜ミルフィーユジェラートセット』。こちらは次回のお楽しみとして、リベンジさせて頂きます。
【さいごに】
今回は『桜珈琲』の魅力と、富田林店のグルメレポートを、シリーズでお届けしました。郊外型カフェながらも、顧客の心を掴むためのヒントは散りばめられていたのではないでしょうか。
ぜひマーケティングからメニュー開発、店づくりなど飲食店経営のヒントにしてみてください。
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