月に1,000件の予約を断る人気店の経営術

月に1,000件の予約を断る人気店の経営術

これから年末年始に向けて、忘年会・新年会の予約が多くなる時期です。
言い方を変えれば、飲食店にとっては書き入れ時。

なかには満席で予約を断らなければならず、嬉しい悲鳴を上げているお店もあることでしょう。

イメージ戦略と、店づくりの優先順位

今回は、12月から1月にかけて月に1,000件以上の予約を断る居酒屋の経営者様にインタビューをさせていただきました。

神戸市内にある和食居酒屋で、予約がとれない店として知られています。

年末年始の予約状況を見せていただきましたが、営業時間内は予約でびっしり。
10月頃から予約をスタートさせ、12月までには完売。
あとは、ひたすら断っていく業務に追われると言います。

10月頃から予約をスタートさせ、12月までには完売

お話を伺う中で、面白いと感じたポイントが1つあります。
満席になっても、集客を促進させるPRを打つというのです。

「お客さんには、この店は予約がとれないと思ってもらうことが最重要です。
なぜなら、お客さんは予約がとれない店に行きたいからです。
行列ができるお店に、何時間でも並んで入りたい心理と同じ。
だから、つねに予約がとれない状態にしています。
まず空席をなくして、断る状態をいかに作るかに注力しているのです。」

予約が取れない店だから、予約が集まるという好循環。
いわゆるイメージ戦略と言ってもよいでしょう。
もちろん予約が取れることもあります。

「一方で、予約が取れた場合、お客さんからどう思われるでしょうか。
確実に喜ばれます。一番の肝は、お客さんが連れてくるお客さんの反応。
うちは大手企業のお客さんが多いので、取引先との会食や接待に使って頂いています。
苦労して予約をとってくれたという稀少価値の高さが伝われば、それだけで高い満足度が得られます。
すべて戦略的に仕掛けています。いずれにしても、予約が取れない状態は、優先的に作るべきことなんです。」

では、なぜこれほどまでに人気を集めているのでしょうか。
質問をしてみると、意外な答えが返ってきました。

「みんな料理人の腕前とかをアピールするでしょ。うちにも、もちろん一流の板前がいます。
でも、これではお客さんは集まりません。もっとも大切なのは・・・空間です。」

感動する空間を演出

じつは不動産事業も手がけている経営者様。
今までに、いくつもの飲食店を不動産という視点から見直して、事業再生をしてきました。

培ってきたスキルの中で、第一優先すべきなのは空間の設計であり、その演出だと言います。

「お客さんは、雰囲気のいい店で食事をしたいんです。他の店にはない空間を作るべき。
落ち着ける椅子にテーブルはどんな大きさで形をしているか、寛げる照明はどれくらいの明るさか。
徹底的に考えなければなりません。店の設計はすべて私がやりました。食器もすべて自分で揃えています。」

囲炉裏を中心にした掘りごたつで、まるで旅籠を訪れたかのような感覚に陥る店内。
食器やインテリアはすべて古美術で統一。有名な写真家が写真集にしたいというくらいの名品ぞろいです。

「神戸の中心地、しかも駅前の繁華街でこんな空間づくりをしている店は、ほかにありません。
みなさん感動して、また来たいと言って帰られます。記憶に焼きつく店づくりを演出すべきです。
だから、まずは空間。ほかでも体験できるような空間では、絶対に駄目です。
この次に、レベルの高い接客。そして一流の食材にメニュー。最後に料理人の腕です。
これを逆に考えてしまっては誤り。お客さんの気持ちを理解していません。」

ご自身の優先順位を明確にしてくださいました。

お客様が過ごすディナータイムをどう演出したら満足してもらえるか、
という発想を起点に、辿り着いたのが空間づくりです。

さいごに

腕利きのシェフがいて、料理のレベルが高いにも関わらず、集客が思うように出来ていない飲食店があるとすれば、まず空間を見直すべきという気づきを得られます。

新メニューの開発やコース内容の変更など、ソフト面のアップグレードを図るのも1つの方法ですが、空間設計・演出といったハード面、さらにはイメージ戦略についても考えてみられてはいかがでしょうか。

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